クラシキ ユウヤ (死)
喉が渇いた。
喉が潤いを求める。
普段運動をしない人間が長距離を全力で走れば喉も渇くだろう。
なにか飲まなければならない。メロンティーあぁメロンティーが飲みたい、だがあれはあの公園にしかない。
餅賀公園はここから少し戻った所にある。公園にいくよりは家に帰ったほうが速いのだが、まぁそこまで変わらない。なら大好きなメロンティーを買いに行こう。
いつから彼がそんなゲテモノジュースを好きになったのか彼は覚えていない覚えているのは一人だけ。
まぁそれはおいておこう。
公園に着く。
そこには二人でキャッチボールをしている子供しかいなかった。いつもこの時間は誰もいないのにずいぶんと珍しい…
そのとき暗式 雄夜は違和感をカンじた。
あたりを見る別に変わったことはない。
キャッチボールをしている二人だってべつにおかしくない。
なら
公園に入る。
―世界が変化した―
血死体傷痕生首流血目玉脳ミソ胃肺首左手髪の毛右足皮膚右手左足死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体死体
死死死死死死死死死死死
世界が死で染まっていた。
公園だった場所は赤く染まり、ベンチだったものには首が座り、人だったものはバラバラになっていた。
嘔吐する。
なんだこれは、なんなんだこれは、なぜなんだこれは、どうしたんだこれは、これはなんだ?
死だ。
地獄だ。
生きてる人は?
いないいるはずがない。
よく見ろいるはずだ。
いた、女が立っていた、いや女ではない悪魔だ。
笑っている、地獄の真ん中で声をださずに口元を歪ませている。
逃げろ。
逃げろ。
逃げろ。
体に命令する。
だが体は動かない。
悪魔がこちらを向く。
悪魔は新しい獲物を見つけた。
悪魔がこちらに歩いてくる。
逃げろ。
逃げろ。
逃げろ。
逃げろ。
逃げろ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――逃げるな、
ここで死んだ者たちのためにも。
悪魔を討て。
恐い恐い恐い恐い恐い、だが恐れるな。
死をはねのけろ!
いやはや、姫様がこんな所にいるとはね。
驚いたよ。
だが、人間はおもしろいねこんな土壇場にいつもの何倍もの力を発揮するとはね。
火事場の馬鹿力と言うやつかな?
いまの暗式 雄夜は通常の五倍の力を持っていた、いまの彼なら百メートルで九秒の壁を破るかもしれない。
たぶん人間相手なら負けないよ、人間ならね。
で、彼女が人間なわけないだろぅ。
吸血鬼の姫様だよ勝てるわけがない。
次から一応本編です