騎士団長と密談
今日も今日とて騎士団長には襲撃される聖名明ですご機嫌いかがですか。
平和・プライスレス☆
イイから帰れよ! 俺はご機嫌ななめだよ!
「いい加減諦めません?」
「登録ぐらいいいじゃないか…」
ジャガイモの皮むきをしている俺。
その横でにんじんもどきの皮をむいている団長。
あれ?
絵面おかしすぎるよね?
何してんの団長。
「料理長が邪魔だからここに居座るなら手伝えと…」
「…そこまでして知りたいもんですか…」
料理長におびえる騎士団長が、心なしか幸薄そうなオーラを発揮している。
いやまあ。
料理長ってぶっちゃけ騎士団長より強いかもね、ステ50以上なわけだから…。
ちなみに騎士団長のステ3桁は筋力みたいです。馬鹿力。
「…お前は知りたくないのか?」
「え?」
「自分の強さを、知りたくはないのか?」
知りたいかって言われてもいつでも見れるしなあ…。
あ、そういえばレベルが10になったよ!
ちなみに俺の一番高いステータスは感性(MND)だった。
魔法防御力? とかRPGでは思うけど、どうやら生活系にも影響する精神ステータスの模様。
いまいちステータス把握してないよねそういえば。
知ったからどうだって気がするし(失笑)
「別に」
「な、何故だ!?」
「俺、強くなりたいとも思わないし」
ががーんと神鳥ばりにショックを受ける団長に、俺はため息をつく。
「むしろ強くなって何するんです?」
「え」
「俺ぶっちゃけ魔物切るとか絶対できませんよ? そっりゃあ、肉捌いたりするんで血を見たりは大丈夫ですよ? でも生きてるものに対して何かしろって言われても正直パス」
「……」
異世界だからかなあ。
俺も相手が食べ物だーと思えば多少は出来ると思うんだよね。
日本でも鳥とか豚とかの締め方とか学んだし。できるかどうかは別問題だけど。
それでも食べることに関して貪欲な俺は、自分でできる範囲のことを知りたいと思って修業した。
けれど。
強くなって誰かを守れと言われても、俺はいやだと答える。
そりゃあ、死ねとか言われて剣を出されたら応えるとは思うけど。
実際問題そんな状況になるわけないし。
「…普通はそういうことを言われると腹が立つはずなんだが…お前は不思議な奴だな」
「は?」
「ぐはっ!?」
気づくと騎士団長が手を止めていて、料理長に足蹴にされていた。
…え。
いやいやいや、そこは手を止めたらあかへんて!
料理長の働かざる者食うべからず存在するべからずいいから帰れ攻撃は半端ねぇっす!
「働かん奴は出ていけ」
「ぐ…」
「料理長、そもそも動けなくなったので出ていけなくなってます」
「お? やりすぎた。セーナ、コレも頼むわ」
「…俺の仕事が増えただけとかなんですかそれー…」
まだまだ残っている人参を受け取りつつべちゃりとつぶれた騎士団長を見ると、彼はなんだか泣いているようだった。
「…強くなれないってなくやつも大勢いるってのに…」
「ンなこと言われても俺は、変わる気はないですから」
下ごしらえを続けながら騎士団長を見ると、なぜか悲劇のヒロイン化しているようで…。
正直うざい。
何故強いのにと嘆く彼は、たぶん強さをいつも求めているのだろうけど。
俺は、俺自身を守ることぐらいしか今は考え付かないわけで。
誰のためでもなく、自分のためにしか動けない俺は団長の望むようにはなれないと思う。
…とかかっこつけてぶっちゃけ剣とか持って死ぬの嫌なだけなんだけどねー。
「俺は、料理食べてる人を見るのが好きなんですよ」
「……」
「俺自身が無理をして相手を笑わせたいとは思わないんす。俺は出来ることしかしたくない」
話は終わりですよね?
と立ち上がると騎士団長は俺の足をつかんで止めてきた。
「?」
「わかった、お前の足りないものが」
「???」
どうでもいいけど人参がボールの中からひっくり返って落ちるんで離してくれないでしょーか。
つーか。
いやな予感しかしないんだけど、俺の気のせいかなぁぁぁぁ!?
「お前には守るものがないんだ!」
「え、まあ」
「よって!」
大声になんだなんだと集まってくる同僚たち。
そして騎士団長様は一言おっしゃいました。
「セーナ!! 見合いしろ!!」
…………………What?
ぽぽーん。
『クエスト:お見合いに行こう【強制】』
『内容:お見合いパーティにて恋愛フラグ立ててみよう☆あ、美人ばっかりなので安心して!』
『報酬:PTメンバー』
おいいいいいいいいいいいいい!?!?!?
報酬! 報酬がなんか不穏なんだけど!
っていうか強制にすんな馬鹿神様あああああああああああああ!!!
書き忘れてたので短い。
来週は見合い。
1週間に1回縛りしてたの忘れてーたー・・・