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王様イベント

やっぱ召喚的なあれだと、これじゃないでしょうか


冒険者という響きにはさすがに惹かれる聖名明です。

でも登録はしたくないんだけどなー。


「セーナ、いい加減に観念しろ」


朝の喧騒が終わり、昼の支度の真っ最中。

今日も今日とて戦場の食堂に、何かキラキラした方が現れました。


「…あのー。支度終わらないんでどいてくれません?」

「なっ!?」

「貴様、無礼だぞ!?」


んな事言ったって、下ごしらえしてる最中にお偉いさんなんて来たらさー。

全員平伏しちゃって料理にならないんだよ。

なあ。



なんで食堂の調理場に王様が来てるのかな?

俺の気のせいかな?

ああなんか色々涙で前が見えないわ…。


「じゃあ昼ご飯が作り終わらなくて騎士たちに苦情を受けるのは全部王様がおってくれるんですね?」

「…何故だ」

「邪魔してるのに責任はこっち持ちとか酷くありません?」


下ごしらえを続けようと芋を取った処、切れた近衛兵に芋を剣で切られた。

おい食糧に何する…。

辛うじてボールに落ちたので目線のみで抗議するが、彼らは返って怒りをあおられたらしく、俺の首筋に剣を突き付けてきた。


…なんなんだよ。


「何だその目は!?」

「よせ」

「…ハッ」


王が止めたので剣がひかれるが…。

一触即発の雰囲気に、調理場中が固まっている。

俺はと言えば。

料理するのを邪魔されたので、いつもののんびり加減をどこかに置いてきてしまっていた。


…料理の邪魔をする奴ぁ敵だ!!!


「用があるならとっとと言って下さい」

「わかった。セーナ、前から言っているが冒険者として…」

「だが断る」

「き、貴様っ!」


又その話かよ。

嫌だって言ってんじゃんかよ。


王様に最後まで言わせずに断ると、近衛が切れたように俺をにらんでくる。

が、さすがに一度で懲りたのか抜刀はしていない。

俺が顔をあげると、王様は微妙な表情をしていた。


「…なんで登録がそんなに嫌なんじゃ?」

「必要ないからです」


正確に言うと冒険者登録するとギルドがステータスが閲覧出来ちゃうから、なんだけどね。

俺も冒険者ギルドがあると聞いて、こっそり登録しようかなと思った時がありました。

神様の説明でステータス見えるから気をつけてね☆れっつごぅ冒険! と書かれているのを見て登録を諦めました。


…神様号泣してたけど。

だからさあああ!?

俺のステータスってどう考えてもおかしいだろ!?

こそっと騎士団長に見せてもらったステータスカードが軒並み2ケタ時々3桁だったけど、超人レベルらしいよ!?

全ステータス3桁の俺は何か、神様レベルか!?


ぽぽーん♪

『クエスト:冒険者ギルドに登録しに行こう!』

『内容:セーナのステータスは魔王の上の魔神レベルだね! 一泡吹かせちゃおうよー!』


一泡どころか緊急退避レベルの危険人物だろうがバーロー!?


『いや、どっちにしろ神鳥死んでも王都滅ぶレベルだしどこをとっても核弾頭だよね!』


フォローになってねぇ?!

後冒険者ギルドって王様権限で指定強制受諾とか可能なんだよ!

なんでそんなの来るのわかってんのに登録しなきゃいけないの!?


「…むむ…この手は使いたくなかったが…」

「?」

「…食堂の雇用から騎士雇用に変更してやろうかのう…」

「…………………………………………」


無言の抗議。

勿論食堂の雇用と言えども、雇い主は王様。

王様権限で移動は可能と言える。

……料理人を騎士にするとか聞いたことないけど。


「…わかりました」

「おお!?」



「出 て い き ま す!!!!!」



エプロンを取り去り、椅子にひっかける。

料理人として働くのは、王城でなくてもいい。

制限がかかるかもしれないけど、元々まだ荷物は大したものは持っていないし。


出て行った方が早いだろ!!!


「な…」

「勿論冒険者ギルドには絶対登録しませんけどね!!! お世話になりました!!!」

「ま、待ってくれ…!!!」


クルリと方向転換したところで、料理長の声がかかる。


「待てセーナ、契約違反は罰金がかかる。今辞めていくなら払って行け」


……………。

え、払えるわけないじゃん。

違約金とか給料3カ月分ですよ、貯めてないから無理。


「……ムリ」

「無理でもやめるなら払ってけ」

「そう言われましても」


大体無理強いする王様が悪いんだって。

料理長、冷静に対処しないでほしい。


「そ、そうだぞ今辞めると指名手配かかるんだぞ!」

「…………………………………」

「だから大人しく冒険者登録を…」


「嫌です。やっぱり踏み倒して出て行きます」

「な……」

「王様、いいですか」


近衛が構えた処で料理長の冷静な声が響く。

……ん、と?

なんで王様以下全員びびってんだ?


「な、なんじゃ…」

「セーナは料理人です」

「……」

「抜けられると困るんで我儘言わんで下さい。っていうか戦力不足だからって料理人に無理言うな邪魔だからカエレ!」

「ちょ!?」


りょ、料理長ーーー!?!?

頼りになる…と目をうるうるさせた処でなんかこの人投げたよ!?

俺よりひでぇよこのひと!?


「し、しかしじゃ…」

「俺が保障しますが、コイツ敵に回したら王都滅びますよ?」

「………………………」


びく、と王様がこちらを見る。

いやいやいや、さすがに王都破壊はしないって。

……逃走しようとしたら、何壊すかわからんけど。


「滅ぶって…」

「俺のスキル、知ってんでしょう。こいつ素のステータス見えないんで、ぶっちゃけステータス3桁ありますよ」

「「何だ…って…」」


ぎゃー!?

何バラしてんのこの料理長ー!?

って言うか何のスキル持ってんのー!?


「……す、すすすきる?」

「鑑定スキルの一種だがな、自分より明確に倍以上のステータスは?で表示されるんだ。お前、『オール?』だ」


いやあああ!

非人間認定もらってしまったー!?!?!

しかも王様ズが怯えてるって事はこの人意外に強いとかそういうオチですよねぇえええ!?

って言うか倍で3桁ってあんた50以上ステータスあるのかよそれはそれで化けものじゃねー!?


『セーナって時々……自分棚上げだよね。ところで冒険者ギルドは登録しておかない?』


黙れ。


「……し、しかしじゃのー…強い奴が一人いればそれだけでほら、自国の防衛レベル的なアレソレがー」

「それならこいつの眷属がこの国にいる事だけ言えばすむんじゃないですかね」

「?」

「時々空を飛んでるあの鳥もステータス見えないんで。神鳥じゃないですかねアレ。前にセーナがあれ死ぬと王都滅ぶって言ってたし」


「「「「!!!!!」」」


あ…あうあう…。

どこまでばらされるのか…。


「神…神鳥だと…?」

「伝説の…」

「手を出せば世界が滅ぶとまで言われる天上種…」

「神鳥の保護する国に手を出すべからず…災厄が降る…!」


なんか壮大な展開になってるのはわかったんだけど…。

結局さ…。


「…俺は結局料理人を続ければいいの? それとも出てきゃいいの?」


ざわめき。

そして王様から裁可は下される。



「…いてくれるだけでいいぞ!」

「料理したいです!!」


即日却下。


「えー」

「えー」

「えー言うな! 働かざる者食うべからず!!」



こうして俺の平和はまも…。


…られてない気がするけどまあいいや…料理長がいる限り俺多分平和だと思う…。

イベント回避完了。

あ、でもステータスバレしたから駄目かも。

次はきっとギルド関係。

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