採取クエスト
眷属の眷属って奴隷なんだろうか他人なんだろうか。
なんとなくその辺が気になる聖名明です。
前回の続き
騎士団長にチートってばれちゃったどうしよう!
……。
どうもしません。
剣持たなきゃいいんだろ?
こう。
料理する台所の近くにこっそり剣があったり、うっかりとか言って運ぶ最中に足が出てきたりしても俺は知りません
もたないよ! そしてこけた上で料理は死守するよ! ばーろー!!!
「あ、セーナ」
「はいなんです?」
「ちょっと頼みがあるんだが」
ある日料理長が言いました。
嫌な予感しかしません。
「…なんですか?」
「騎士団長が」
「お断りします!!!」
「まだなんも言ってねぇ!!!」
騎士団長は俺のトラウマ☆
イイから近寄んな!
「はあ。なんか騎士団長が頭おかしい事言ってるのは聞いてるな?」
「内容は知りませんけど予測は多少」
「うん。で、手伝えと」
「何を」
「光ゴケの採取」
…光ゴケ?
ってそれ、確か3大珍味のあれ?
「…珍味採取?」
「珍味って言っても、あそこは超危険だからな。ただ鮮度高い方が美味いんで有名で、取ったその日に食うとマジ美味いらしいぞ?」
…な、ん、だ、と?
それはつまりついてきたら、その場で料理して食っていいと。
…そういうことか?
「勿論持ち帰る分は団員がフリーズかけて凍らせるんだけどな。一度その場で食べてみたいという浪漫がだな」
「うう…」
「で、普通の料理人にはそういう話来ないんだが、セーナは多少心得があるらしいって話だからな。どうだ」
やばいそれは…
それは食べたい…。
ひ、一人で行ってこようかな?
「…ちなみに場所は王族極秘事項だからついて行かないとわからんぞ」
「ナニソレ酷い」
ぽぽーん。
『クエスト:採取&調理クエスト【光ゴケ】』
『内容:騎士団について行って光ゴケを調理しよう♪ ちなみに効果は美容!』
(美容とかマジどうでもいい!!!!!! でも手が勝手に受注押してるうううううううううう!)
「で、どうするよ?」
「行きます…」
だって異世界珍味とか…!
浪漫すぎるだろ!!!
☆
と言う事で付いてきました。
「…その頭の上の鳥は…」
「あー、マスコットです。気にしないで下さい」
「…なんでそんな軽装なんだ…」
「死んだら自己責任で大丈夫なんで気にしないで下さい」
鎧で固めた方々に囲まれて、俺はるんるん気分で歩いていた。
だってさー。
美味しいものはやっぱ食べなきゃ駄目だろ!
平和が好きだけど!
「…マジ大丈夫なのか…」
そんな事言われてもなあ。
ざっと見まわすが、特に敵影も見当たらないし。
気配も殆ど遠くだし
危険なんて見当たらないような?
「大丈夫ですけどー。それにしてもなんもいないですねー」
前スノーを捉えに来た時は、はいった途端に気配を感じまくったものだが。
森にはいってすでに10数分、俺が察知できる100m以内に感じるものは何もない。
「…変だな」
「始まりの森は好戦的な魔獣が多いからすぐに交戦する事が多いんだが…」
へー。
前中央に出た時は、ステータス見てる間にも特に出てきた記憶ないんだけどなあ。
なんでだろ。
なんかスキル持ってたっけ?
しかしここでステータスオープンしてぼーっと突っ立つわけにもいかないし、気にせず行こう。
そして歩く事早1h。
「…なんも出ない…」
「ホントですねー」
「くるー」
洞窟自体はさほど遠くないらしいので、半分の過程は過ぎ去った模様。
1回も交戦しないのは予想外だね?
「…敵の中に放り込む予定が」
「マテコラ!? 料理人に何さらす!?」
「ハッ!? な、なんでもないぞ!?」
「イヤ今アンタハッキリ言ったじゃん!!!!!」
むしろ交戦したら脱兎のごとく逃げるよ俺!
「俺、戦い始まったら影に隠れてるんでヨロシク!」
「なんでだ!?」
「なんでじゃねーよ俺は料理しに来てんだよ!!!」
むしろ何のために来たと思ってんだよ!!!!
舌打ちするな残念そうにするな!
そしてそのまままた1h
「…何も会わずに来た…」
「ラッキーですねー」
「何故だーーー!!!」
むしろ敵に会わなかった事を喜ぶべきだと思うんだ。
なんか割に会わないな。
イイから中はいろうぜ。
「で、中で何か注意あります?」
「中は暗いからとりあえず光が必要だな。松明は奥にいる主を呼びよせかねないので、魔術師たちが持ち回りでライトを使う」
「ほほう」
光を出す魔法かー。
それくらいなら多分ずっと出せるけど、まあ、いいや。
大人しく後ろからついて行こう。
「とりあえず松明投げ込んで見るか…」
「団長! それは死にます!」
「団長! やるなら一人でやって下さい!」
…あのさ。
俺一人で取ってきていいかな?
☆
で、光ゴケは無事に回収。
その場で調理開始デス!
「主も来なかった…」
「なんであんた落涙してんだ…とりあえず料理するんで、火の回りで円陣組んで下さいよ」
火はまあ、適当につけよう。
てい。
鍋と水は手持ちにあるよー。
ちょっとゆでてみたら、苔っていうかコレはキノコの一種だと思うんだけど。
でも確かに面白い味してる。コラーゲンとキノコのあいのこみたいな不思議味。
なめこともちょっと違ってキノコの形もしてないが、味のあるスライムみたいな感じだ。
うん。
異世界舐めてた。
なんでこんな妙な形状なのに美味いのかコレ!?
ぽぽぽーん。
『光ゴケの調理に成功しました!』
『クエストクリア! 聖名明は隠しステータス『料理人の名声数値』が上がりました』
へえ。
隠しステータスとかあるんだ。
料理人としての名声なら別にいいじゃん。
ふへへへ。
「う、美味いけどなんか納得いかぬ…」
「王様に怒られる…いや、食べてイイ許可はとってあるから大丈夫だけど…」
「泣くな…泣くんじゃない…」
…。
なんか騎士が食べながら皆号泣してるんだけど何なの…。
美味いんだから文句言うなし…。
「いや!まだ帰りがある!!」
「そうだ!! 帰りに敵に会うかもしれない!!!」
「おお!!」
……。
いやだからなんなの…。
敵に会いたいのかよ…。
俺は美味しいものを食べたのに周りの反応が納得いかず、微妙な顔をしながら王都へ帰還したのだった。
敵?
会わずに帰ったよ。
☆
散々文句を言う騎士団長と別れて寮の部屋。
飯は美味かったけど納得いかず、俺はステータスを見る事にした。
「ステータスオープン」
『akira seina(聖名 明)
種族:人間
性別:男
Lv:7
称号:神鳥のご飯係Lv3
status
skill
加護:神様が気まぐれで生温かく見守っています・美食の女神からの微笑み・神鳥の飼い主
眷属:スノーホワイト』
『スノーホワイト
種族:神鳥
性別:両性
Lv:3
称号:聖名明の眷属
status
skill
加護:神様の慈愛・眷属からの信仰』
「ううううん? 何も変わってないし」
「くるー?」
「なんで敵に会わなかったんだ??」
あの後どうも俺を連れていくために、その場で調理するなんて話になっていたらしく。
珍味を味わった騎士団員は特に文句があったわけでもなかったらしいのだが、結局主目的だった俺の強さ? の確認は出来なかったので王様に大目玉を食らったそうな。
いや知らんよ。
俺は戦わないって言ったじゃん!
ちなみにレベルがちまちま上がってるのはほぼ料理による経験値です。
戦わないと頭打ちになるらしいが、生活するだけでレベルって上がるもんなんだって。
まあ、成長すれば力も強くなるしそんなもんだよね。
むしろこの年齢でLV一桁ってのがありえないらしいからね。
ステータスは基本自分しか見れないようになってる(ギルドに登録すれば別)ので、特に何を突っ込まれたわけでもないが。
「かみさまー。敵いなかった理由ぷりーず」
ぽぽぽーん。
『加護:神様の慈愛』
『内容:そんな聞き方しても教えてあげないんだからね! でもこのスキルだよ』
…。
どうやらスノーのスキルのせいだったようだ。
微妙な教え方するなあ相変わらずこの神様は…。
「ま、どうでもいいや。スノー連れてれば敵に会わないなら採取とか超楽そうだよなー。他も集めようかなー」
『内容:えっホント! 冒険してくれるの!! このスキルは神様に愛されてる故に自分より弱い敵はエンカウントしないんだよ♪ 眷属の場合は主の強さが適用されるよ~~~。殆どの場所であんぜーん!』
…げ、現金な…。
って、始まりの森の敵殆ど俺より弱いのかよ!
行く前に騎士団長に散々脅されたのに!!
『チートなんだもん。イキロ』
「だあああ!!!」
否定が返ってこないのを嘆きつつも。
いつも通り日は暮れていくのであった。
その後も悉く採取系につれ回されたが敵とは全く会わず。
終いには敵に会わないから何故か危険地帯にまで呼び出されるようになってい…こうとしたが、断った。
ドラゴンの皮の採取とか料理人必要ねーだろ!!!
ふざけんな!!!
今日も何か別意味で追いかけられる俺の明日はどっちなんだろう…。