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ウィンドーショッピング!

毎回挨拶から始まるのはどうかと思います、聖名明です。

本日の休日は、なななんと。




買い物。




に行きたいと思います。

…。

…。

長かったな…王都に働き始めて早2ヶ月…。

最初の1か月の分は住みこみや日々の糧に対する借金で立ち消え…。


本日がまともな給料をもらって初めての!

休日!

なんだよやったね!!


「くるー♪」

「お前には買わないよ?」

「!?」


相変わらずorzの体勢が得意な眷属なんぞ俺には見えん。

俺は!

俺のための!

買い物をするんだ!!!


あ、ちなみにレベルは5になった。

ステータスの伸びはほとんど感じられないが、元々ステータス3ケタとか元の数値がでかすぎて変わってても気づかないだけかも知んない。

まあいいんだよ。

戦おう、と思わない限りは馬鹿力が発揮されるわけじゃないらしいしね。


うん。

こういうのって意味わからない筋力に物壊すとかそういうのあるじゃん?

なかったんだよね

少し考えてみたんだけど、あれだろ、料理人だからだ。

ちょっとの炒めミスとかで味が変わる繊細な動きをする俺が力の限り動く事とかありえないんだよね。


閑話休題。


じゃ、行こうかね。

商店街パラダイスへ!!





「とりあえず買い食いは基本だな!」

「くるるるーぅ♪」

「あ、てめ、勝手に食うなよ!」


竹串に刺さった鳥肉ウマ。

これだよね、買い食いは心のオアシスだよね!

この世界の調味料の使い方もだいぶ慣れたし、食べたいものは殆ど自前で作れるがそれとこれは別!

そして相変わらずの共食いが好きな駄目鳥である。


ご機嫌で頭の上に乗る鳥を放置しつつ(既に頭が鳥の巣化してるのには目をつぶれ、だってこいつどんなにいやがっても乗るんだもん)、俺は店の建ち並ぶ道を練り歩く。

一応城下町に出てきた事はあるんだけどさ、金がないからいつも立ち去るだけだったんだよね。

いやあ、もう、なんていうか素晴らしい!

異世界満喫ってこう言う事を言うんだね!


「さて、どこへ行こうかなー」

買い物の目的は特にないのだが、いい加減自衛手段も覚えた方が良いだろうか?

また変なクエストが発生するかもわかんないしねー。

そういや、俺、まともなクエストやってないような?


ぽぽぽーん。


「…空気読みやがった…空気読みやがったよ、神様の野郎…」

「くるるぅ?」


空間に浮かぶ、チュートリアルクエストを受注しました、の文字。

あの、さ?

俺この異世界来てから2か月立ってんだけど?



今 か ら チ ュ ー ト リ ア ル かよ!!!!!



チュートリアルって意味わかってんの!?

慣れてからやる意味まるでないよ!?


『日常クエスト:買い物の仕方を覚えよう♪』

『内容:だって君まともに冒険してくれないんだもん~』


…。

しかも拗ねてやがる…。

まあ、確かに料理以外の事はしてねーけどさ。

大体俺間違われてこの国来たんだろ?

好き勝手にやらせろよ。


『【強制】日常クエスト:買い物の仕方を覚えよう♪』

『内容:とりあえず道具やと武器やと防具や回りまーす』


…聞いちゃいねえ…。

しかも何気に強制クエストに変更してるんじゃねぇよ!

いいよわかったよまず道具やな!





「おお、なんだこれすごい」



道具やは、きらきらでした。



…何度でも言おう。

キラキラでした。



うん?

なんでキラキラなのかよくわかんないよな。

武器が光ってるわけでもなく、防具が光ってるわけでもなく。

何が光ってるかって言うとあれだよ。


瓶が光ってる。


…うん、ちょっと待とうか。

虹色を始め、道具っていっぱい持って出かけるものだよね?

一々袋から出すたびにキランキランしてたら超うざくね?

この世界ってなんで一々突っ込みどころが激しいの?


「ようこそ王都随一の道具やへ! この店は高級素材を使用した瓶が特徴で――」

「うんごめん来るとこ間違えた」

「早!?」


よく見たらひと瓶の値段超やべえ。

いくら王都の食堂勤務とはいえ、それなりの給料が瓶3本ぐらいで吹っ飛ぶわ。

ないないない、ここで買い物はないわー。


「待っていかないで10日ぶりのまともな客!!!」

「随一なのに人来てねェな!?!!」


くるりと方向転換したのに、光の速さで腕を掴まれてしまった俺。

逃げられません。

っていうか離して! こんなもん買ったら俺の全財産がぶっ飛んじゃう!


「お願いしますううぅぅぅ! 買ってくれないと店が、店がああ!」

「こんなバカ高い物かえるかぼけぇえええ!!!」

「え、高い!?」


ショックを受ける店員。

イヤ、高いだろ。

何言ってんだこの兄ちゃんは。


「高くないですよ! この瓶の素材は―――」

「そういう問題じゃねぇよ! 回復剤の中身に外の値段関係ねぇじゃん!」

「えっ。でもおしゃれですし!」

「お洒落で財産使うのは趣味。回復剤は趣味で使うものじゃない!」

「ええええー!」


何一々当たり前の事聞いてんのこの兄ちゃん。

っていうかぶんぶん腕振らないで、瓶に当たって割れたらどうすんの!?

俺弁償する気なんてないからね!!!


「うう…ど、どうしたら売れるんだ…」

「趣味なら花瓶にでもして売れば。見た目綺麗だし」

「花瓶…」

「中身が同じなら俺は粗末な瓶の安いものを買うし。消耗材としてこんだけ無駄なものはネタにしかならん」

「はあうー…」


ぐすぐすしている兄ちゃんを放置して俺は店を出る。

…うん。

なんか罪悪感を感じるけど、何が出来るってわけでもないしいいよな。

ふう。


ぽぽーん。


ん? 買い物してないけどクエスト変化?

なんだ?


『道具屋との友好度が上がりました』

『以後は1割引きになります』


…。

……??????


「マゾか? あの道具屋」

「くるー?」


よくわからんけど日常クエストの進行度が30パーセント進んだので次いけってことだろう。

さっさと行こう。





「…まともだな」



次やってきたのは防具やでした。

うん、さっきみたいに看板だけで選んではいるのは危険だと思って道端の爺に初心者向けの防具や聞いてみた。

道具屋も最初からそうすれば良かったね!

で、教えられたのがここ。

店員さんも落ちついたドワーフっぽい人だった。

…ドワーフ?

食堂にいろんな人がいるし、武器防具の整備の兄ちゃんがドワーフなので見たのは初めてじゃないぞ!


「いらっしゃい、何にするね?」

「あー、えっと」


…しかし料理人なので防具とかいらんのだよねえ。

でも一応剣術とか持ってんだよな、俺。

魔法も使えるし、ある程度の装備は持っておいた方がいいんじゃなかろうか?


んー。


「料理材料の採取とかするのに、最適な軽い防具が欲しいんだけど」

「料理材料?」

「うん、俺料理人なんですよね」


武器も今は持ってないので、あくまで補助的なものでいいんだよな。

ただ、調味料の材料とか結構魔物が材料だったりもするので、今後行動範囲が広くなったら街を出る事もきっとあるだろう。

そんなつもりで聞いてみたのだが。


「料理っつーとあれか、山脈の頂点に位置する幻キノコとか、始まりの森の洞窟にある光ゴケとかそういうもん取りに行くんか兄ちゃん。すげーな」

「はァ?」

「いやはや、自分で取るのは大変だよなあ。兄ちゃん料理人の鑑だなあ」


まってまってー。

なんか話でかくなってるよー。

っていうかなんでそうなったー。


「イヤ、そんな大層な事はしないけど」

「んん? でもすげぇ美味いって言う話だし、料理人に取っちゃ憧れってきいたが?」


えっ、美味いの。

あれかな、三大珍味的なレア食材?

まじでー。

それはちょっと食べてみたい食べてみたい。


ぽぽーん。


『クエスト:レア食材の採取』

『内容:幻キノコ・光ゴケ・ダル草の3種の採取・調理』

『報酬:珍味ハンター』


…珍味なんだ。

ま、面白そうだし考えてみようかな?


「とりあえずそこまで戦闘力ないんでー、近場に出かけられるくらいの防具ないかな?」

「ふむ、まあ見るからに細腕だしな。魔物を倒すの前提じゃないなら、山道を歩けるブーツ・スタミナ減少を軽減させるリストってとこだな。あんた何が使える?」

「あー、えっと。剣を少々」

「…獲物がないが」

「これから買いに行くんですよねー。あんまり重いもの持ちたくないんで、軽鎧がいいでーす」


剣振り回す前に魔法で攻撃しそうだけど。

なんか元々の魔法威力高そうだし、防具で威力アップとかされるとめんどくさそう。

なので剣は使える、と言う事にしておく。

実際使えるしね! もった事ないけどね!


「じゃ、この辺だな。~~これぐらいになるが」

「ほむほむ。思ったよりしないんですね」

「あくまで補助的なもんだしな。ある程度の衝撃緩和ぐらいしかしねーぞ。もっといいのが良ければみつくろうが」

「んーそこまで予算ないし、これで十分でっす」


HPに関してはなんかいっぱいあるっぽかったしな

どんだけチートなんだろ。

平均数値とか一切わからんから、見た目が冒険出来るっぽければいい気がした。


と言う事でレザーの上半身だけ覆う軽鎧と、ブーツとリストバンドを購入し装着、出る事にする。


勿論クエスト進行は65パーセントまで上昇した。





「…剣専用武器やとかどんだけー」

「なんだ、文句あるのか」



最後は武器や。

武器やどこですかぁ~と聞いたら得物は何かと聞かれた王都。

王都怖いよ王都。

まさか武器の種類ごとに店あるとか思わないじゃん!

剣にいたってはいっぱいあるぞ、と言われて一番みすぼらしいところを選んだ俺は小市民。


…だからそんな金に余裕ねーんだよ!


武器も別にそんな拘る必要ないし、予算は給料の2割を予定。

…5割はそれなりに使用するとみて、5割いないに収めたいんだよ。

ちなみに防具やでは3つで2割を使用していた。

俺の1カ月の給料はそこそこ良いみたいなので、日本換算にするとひと月30万と見て、防具は6万ぐらい?


金の単位はおいおい。

あんま日本と変わんないしそのまま使ってるけど、札がなくて金貨銀貨ばかりな感じ。


「しかし兄ちゃん、こんな店選ぶとはまた変な奴だな?」

「貧乏なんで!」


胸を張って答えてやると、店員苦笑。

いやでもこの店もドワーフなんだよな、そこそこいい武器売ってるんじゃないかな?


そうして周りを見るが。


「…高ェ…!?」

「騎士ご用達なんでな」

「この外観でかよ! 詐欺だ!」


立ち並ぶ武器はどれも10万から100万単位でした…。

買えません。無理。

何これ無理げー。

しかし購入しないとクエストが終わらん気がする摩訶不思議。


『内容:よくわかったね♪』


…うん。黙ろうか。

ぽんぽんクエストウィンドウが点滅するのうっとおしいんじゃい!


「んー…予算外できついんで、もうちょい安いのとかないですかね」

「武器はいいもの持たねぇと修行になんねーぞ?」

「え? そうなんです?」


武器で修業度変わるとか面白いシステムだな。

っていうか別に経験値はいらんのじゃないかな、MAXってそれ以上上がらないって意味だろ?

あれ、なんで俺剣必要だったんだっけ?


…ハリボテ用?


「メイン武器ではないのでー…そこまで予算が割けないと言うか…」

「剣がメインじゃないのか」

「一応、魔法ですね」

「魔法剣士か? 珍しいな」


魔法使える剣士って珍しいんだ。

でも魔法メインだと剣系魔法士? む?

まぁめちゃくちゃどうでもいいな。

魔法剣士の方が響きがいいんでその方向で!


「じゃあ軽い剣の方がいいのか?」

「あー、いや、重くても多分持てます」

「重いと動きが阻害されて魔法を使うにも不便だろ?」

「あー…」


全然わかりません。

っていうかメイン戦わないんで!

むしろ隠密マックスで動きたいんで!


「んじゃまあ、ここにならんでるの振ってみろ」

「はーい」


一通りの剣が立ち並ぶ場所に移動。

あれだろ、やれるだけやってみろ! 的な!

うんまあ、剣振ってみるって結構憧れだよね!! やるわ俺!


ぶんぶん。

ぶんぶん。

ぶんぶ…。

……。

何俺こんな身長よりでかい剣軽々振っちゃってんの?

あ、つかステータス3ケタってやっぱチート!?


「…」

「…」


見合わせた目線が生ぬるい。


「兄ちゃん、怪力だな」

「…はっははは…」


何をどう頑張っても隠せないこのチートっぷり…。

どうしよう…。

乾いた笑いしかでないよ…。


『内容:してやったり☆』


…。

最早何も言うまい…。


「でかい剣にするか?」

「邪魔にならない剣がいいです!」

「じゃあこれは?」

「見た目貧相な剣で十分です!!!」

「しかし兄ちゃん…」

「ホントにメイン剣じゃないんでええええええ!!!!」


至極残念そうにする店員の目が痛い。

幸いなのは目撃者がいない事だな…!!!


「しかしそんだけ剣使えるなら騎士にだってなれ…」

「なりたくないんで頼むから言わないで下さい!!!!」


絶叫。

叫んだ途端に、肩をたたく、何かの手。


「…」

「…」


振り向くとそこには、どっこかでみたような、騎士団長さーん、のすっがたがー。

…。


おわた…。

絶対おわた…。


「失礼しますううううううううう!」

「あ、こら、セーナ!」



>聖名 明は にげだした!


ぽぽーん。

『日常クエストはクリア出来ませんでした』

『いいところだったのにー…』


クリアなんていらねぇええええええ!!!!

俺の日常の方が大切だぁぁぁぁぁ!!






「あ、セーナ、お前実は怪力ってホントー?」

「剣を振れるだけ! です!」


騎士団長のなまぬるーい目線を受け、俺は誓った。



絶対に剣は持たない…!

俺は! 料理人で! いるんだ!!!


チート能力者は本人がやりたくなくても巻き込まれるものですよねー。


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