第二の街を探索しよう
異世界について初めて第二の街にたどり着きました、聖名明です。
街。
…まち…?
「おいスノー…」
「くるぅ?」
左を見渡すと、砂。
右を見渡すと、荒野。
目の前にあるのは寂れた門。
「…ここ、人いんの…?」
門と小さな家が10軒ほどしか見えない場所を果たして街と言うのだろうか…。
☆
「やあ、よういらっしゃったね」
「はあ」
とりあえず人と遭遇しなくてはならないため、門を潜ってみると意外にすぐ第一村人とは遭遇した。
…ん?
だって気分は某テレビ番組のようなんだもの。
俺を見たそのお爺ちゃんは相好を崩すと、すぐさまこの場所へ案内してくれた。
10軒の家の内で比較的でかいその家は、どうやら宿と酒場が兼用になっているような古風な建物だった。
…つーか…よく倒れんな、この建物…。
他に誰も客はいないが、棚に埃等はつもっていない。
床を見れば汚いながらも掃除してある形跡はある。
つまり絶賛営業中ということだろう。
ふむ。意外に地雷じゃないかもしれない。
「昼間はあらくれどもがおらんで暇でのう」
「昼間は?」
ひょひょひょ、と笑う爺ちゃんに首傾げると、爺ちゃんはうんうんと頷いている。
「昼間は砂漠に荒野に、狩がさかんじゃからのう」
「荒野で狩…っすか?」
何か違和感がある言葉だな。
砂漠も荒野もあまり生き物がいるようなイメージではない。
いるとしたら国から国へ渡り歩く商人とか、旅の人とか…。
って…。
まさか…?
「…夜は、狩らないんですか?」
「夜は逆に警戒されやすいでの」
……。
なんだろう、嫌な予感しかしない。
嫌な予感しかしないが、俺は自分に落ちつけと言い聞かせる。
「じゃあ、昼間は料理とか食えないんすか?」
「いんや? おまえさん何か食べたいものがあるかね」
「……あ、えっとじゃあ、何かこの辺で食べられる特産物で」
目線を合わせないようにしつつ、とりあえず料理を頼んで見る。
あ、しかしそんなに高かったら困る。
だから最初から値段を聞いておく。
「…高いっすかね?」
「いんや、ボアの焼き物ならこんくらいだね」
言われた値段はリーズナブル。
って事は他のモノを頼まなければそれだけの請求ですむ…筈だ!
この世界に席代とかそういったものはないしな。
じゃそれで、とにこやかに笑いつつ。
爺ちゃんが背を向けた途端に、生活魔法から毒見系の魔法がないか急いで調べたのは秘密である。
☆
結論から言うと。
めっちゃくちゃ特産物は美味かった上に、安かった。
そりゃ夜になったら盛況になるんじゃないというくらいには。
しかし…。
「その鳥、珍しい品種じゃのう。売ったら高かろうの」
「く、くるぅ!?」
にこやかに笑いながら言う言葉が物騒だったり。
「そろそろ荒くれどもが戻ってくるで、ゆっくりしたいなら端っこに」
と刺された場所がどう考えても逃げられないような扉とは真逆の端だったり。
「い、いえー先をいっそぐんでー! 俺かえりまーす!」
「くるー!」
背中に冷や汗ダラダラかきながらも、俺は宿を出て脱兎のごとく逃走し、転移で戻る事にした。
…メモは忘れない!
忘れないけど、二度と来ない気すらする…!
ぽぽーん。
『クエスト:知らない街を攻略せよ
内容:ちょ、ご飯しか食べてないじゃない何してんのー!?』
しらねええええ!!!
怖すぎるんだよばかあああああ!!!
☆
後日2カ国ぐらい通りすぎた事とか。
特産物から、荒野の昼間にしか取れない一攫千金の魔物を狩るための小さな集落だっただけとか。
そういう情報を知る事になるのだが、俺の脳裏にはトラウマだけが刻まれたのだった。
―――称号『臆病者』を獲得しました。




