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根回しは大事です

相も変わらず、異世界で手探り状態の聖名明です。

いい加減冒険者ギルドに行かねばならないかとおもいつつも、足が遠のく今日この頃です。

地図ってなんでギルドにしか存在しないんだろうね。

図書館とかにもあるのかもしれないけど、そもそも図書館がギルド身分証とかがないと入れない仕様であった。



「冒険者ギルド以外の身分証が欲しい気もするけど…厄介事の匂いしかしない…」



そもそも外に出るのすら敬遠されそうな状態ですしNE☆

大体身分証とか作ったら、それを餌に何を要求されるのかさっぱりすぎるよね。

でも一応、聞いてこようかな?



「…こう言う場合って直属上司に聞くんかな?」





……という事で聞いてみた。



「料理長ー、雇用契約は契約書で成立してますけど、この国で身分証明ってどうやってやるんすか?」

「ああん? なんだ突然」

「図書館に行きたいんですけど、入れなくて困ってるんです」


昼下がり、夕食までの空き時間。

賄いを食べるのに料理長と一緒になったのは、今回は狙ってだ。

婚約者サルディナさんが、お昼一緒にどうかなーとかちょっとこっち見てたのは見なかったふりをした。

え、だって、外堀が埋まる感じがして嫌なんだもん!


「冒険者ギルドでギルド証作るのが嫌なんでー、なんか他に証明できるものないかなーって」

「ああ。ギルド証はめんどくせーしな、強制が」

「そうなんですよーねー」


王様襲来イベント時に庇ってくれた料理長の事、何かいい手を考えてくれるんじゃないかと思ったんだが。


「端的に言う。ない」

「ふぇ!?」

「ムリだろ。俺は王直属、王城専属料理師って事で通行証とか持ってるが、あの王に頼み事とかやめとけ」

「……」

「俺はこの国の軍師扱いになってたりとか、貴族にいつの間にかなってたりとかしても驚かんぞ?」


とてもわかりやすい 結論を ありがとう。

ってだめじゃねーか!

振り出しに戻ってる!


「大体セーナ、署名書類とか見てねーだろ」

「署名ー?」

「時々寮に来てんだろ?」


ああ。

あれですね。

最初届いた時は燃やして燃料にするの? という量だったよね、うん。


「だってわけわからんものばっかりで見る気しねーっすよ。給料詳細だけかな、署名するの」

「それは俺が渡すからだろ」

「いえっさ!」


いつの間にやら届く、手紙の束は再利用するために騎士団長おとうさまに押し付けてあるので大丈夫!

いやあ、神鳥の持ち主とわかった当時はクソメンドイ貴族様とか普通に押しかけてきてたもんねー。

護衛についてた騎士が丁重にお帰り願ってたらしいけどね。

俺? 俺は知らないよ、だって金ないから寮と王城間で移動してただけだもん。

ある意味最強の近さだよね、専属寮。出待ちとか目立ちすぎて不可能だもんね。


で、ある時王様が言ったんだそうだ。

直接押しかけた場合は神鳥の機嫌を損ねる可能性があるので文面にしろ、と。

以降届く手紙は団長経由になり、俺のもとに届くモノはすべて輸送される事になりました、と。

稀にどうだ? と数枚騎士団長から届くだけになったのは非常にありがたいよね。

時々どう考えても騎士団長が紛れ込ませやがっただろうという文書とか存在してるけどね!


あれ?


「もしかして騎士団長が忙しいのってそのせい?」

「サルディナの嬢ちゃんがお前を嫌ってたのも、あの馬鹿みたいな量の手紙のせいだな」

「ええ!?」


な、なんだってー!!

好感度低いって胸に飛び込んだからじゃなかったの!?

衝撃的な事実だよ!


「まあ、最近はそうでもないっぽいけどなーあ?」


にやにや、と擬音がつきそうな感じで悪く笑う料理長。

ま、まあ、さすがにこう注文受ける時に目線があったりしたらちょっとサービスぐらいするよね!

誘ってくれないかなー、みたいな感じで上目遣いで見られたらさすがにドキドキはするよね!


…。

や、まあ初恋♪ みたいなあまーい時間を過ごせる年齢でもないんでちょこっとスルーしてるけどね。

つーか埋まる外堀がマジ怖い。

そのうち気付かないうちに結婚式の予定とか組まれるんじゃなかろうか。

戦々恐々である。



「まあ、団長やつの事だし、こそっと書類に婚姻誓約書とか混ぜ込むかもしれねーから、頑張ってハマらんように気をつけろよー」

「うぃっす」

「ああ。でも外に行きたいなら、あいつに通行証もらえばいいんじゃ。セーナの希望自体は聞いてんだし、融通きかすんじゃねーか?」

「そんな事言ってー。通行証発行証明だとか言って婚姻誓約書が絶対に出てくるに決まってんじゃないっすか」






「「………………」」





俺たちは顔を見合わせた。




「賭けるか?」

「休日2日欲しいっす。俺、出してくる方で!」

「む…じゃあ、休日返上1回で」




「「いざ、勝負!!」」







「いよーし! 休日2日もらったし、地道に飛ぶ練習して街へ行くぞー!」

「くるぅぅ♪」



あ、結局地図手に入れてない。

まあ、なるようになれ!


せーなは 念願の 週休2日を 手に入れたぞ!

今度こそ街に着く事を祈る。

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