表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/25

第17話 おままごとの専門家

「その冷気をさっさと止めねえと、感染が早まるぜ! 俺の相棒は、冷えて乾燥した空気が大好物だからな!」


 感染ってことは……男が持つ魔剣の本当の力は不可視のウイルスなんだ。


「くっ……ぁ……」


 ジュレンの喉から掠れたうめき声が漏れる。急速に侵食する病魔に意識を刈り取られ、彼は力なく膝をついた。手から銀の剣が滑り落ちる。


「刃先が微かに掠っただけで勝負ありだ。あとは勝手に腐敗して、惨めにくたばっていく。呆気ねえもんだな」

「ジュレン!!」


 倒れ伏した彼のもとへ駆け寄ろうとした私の前に、男が大きな壁のように立ち塞がった。


「まあ、大人の俺に比べりゃ……お前らなんざ、寝小便が止まらないクソガキ。最初から勝負にすらなってねえ」


 男はゆっくりと私に歩み寄り、死神のような視線で私たちを見下ろした。


「体に大きな傷の一つもねえ。眼光も鋭くねえ。おままごとの専門家なんだろ?」

「あんたは……違うとでも言うの?」

「当たり前だろうが! 俺はあらゆる理不尽を喰らい尽くして、底辺から這い上がってきたんだよ!」


 突然に、男の背後の陰惨な情景が透けて見えた。今、そこに立っていることすら奇跡に思えるほどの、圧倒的な死の色と匂いを感じる。


「世界は子供に優しくなんかできてねえんだよ。鴉にでも食われてな」

「……いい加減にしなさいよ!」


 足元に転がっていた太い木の枝を拾い上げ、無我夢中で男へと殴りかかる。でも渾身の一撃は、マメだらけの分厚い掌に難なく受け止められてしまう。


「次はてめえの番だ、メスガキが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ