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第15話 魔剣

「まずは、食料や水を確保しないと」


 ジュレンと共に薄暗い森を散策すると、小さな池が現れた。水面に近づこうと、一歩を踏み出したその瞬間。ゾワッ、と。空気がねっとりと歪むような、嫌な寒気が背筋を駆け抜けた。


「……!」


 直後、この世のものとは思えぬほどに不気味ながらも美しい刃が、ジュレンの鼻先を音もなく掠めていった。数本の金糸のような彼の髪が、ふつりと切られて宙を舞う。


「チッ。気付いたか」


 茂みから姿を現したのは、ひどく醜悪な男。元々の造作だけでなく、感染症か何かで顔の至る所に赤黒いデキモノが爛れている。異様だったのは、その男の指という指に無数の指輪がはめられ、ギラギラと下品に輝いていたことだ。


「なんのつもりだ?」


 ジュレンが、私を庇うように素早く前に出る。本当にいい人ね。


「お決まり通りにゲームを進めてるだけだろ。行儀が悪いのは、お前らの方じゃねえのか?」

「鵜呑みにするつもりか? あの男の、殺し合えという命令を」

「鵜呑みも何も……魔剣が目覚めちまったんだから、戦うしかないだろうが」

「マケン?」


 私たちは、お互いに何を言ってるんだ? という顔で見つめ合ってしまった。男の手に握られている武器のことを指しているのだろうか。


「お前たち、まだ自分の力に気づいていないのか?」


 男は異形の剣を再び構える。父が地下空間で言い放った、「戦えば己の血に眠る力が目覚める」という言葉。あれは、比喩ではなくこういうことなの?


「いや、選ぶことも選ばれることもなかっただけの生ゴミか。なら、ここで終わりだ」

「っ! 逃げよう」


 ジュレンは私の腕を強く引き、駆け出した。魔剣がどんなものかハッキリとは分からない。けれど、丸腰の私たちが、あんな鋭い武器を持った殺意の塊を相手に、素手で生き残れるわけがないことだけは明白だ。

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