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君と彼らが僕の心に火を灯す  作者: 牧村せつら


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映画館

 結局、木曜日と金曜日の放課後で雄介と女子3人組のかつら仕込みが完了した。クラスの大部分の学生が完了したらしい。終わっていないのは後、1~2名で月曜日の放課後行うらしい。2日間の放課後とも坂崎が実習場で指導してくれた。和也は雄介と女子3人組の指導役をしていたが、他の男子学生からもコツを質問された。

「和也は良い先生になれるね。なかなかかつら仕込みのポイントを押さえていないとそうは教えられないからね。教えることで復習になるから自分のスキルも上がるよ」

琴葉に教えていた和也に坂崎が笑って言った。


 土曜日 バイト中、心太から

「実習どこまで進んだ」

と聞かれた。

「かつら仕込みまで終わりました」

「あーかつら仕込みね。じゃあ次は裏押しか」

「裏押し?」

「頑張ってな。一番つらいと思う作業だから。でも刃物の切れ味は、この裏押しで決まるからしっかり身に付けて」

「そんなに辛いんですか?」

「慣れるとどうと言う事無いんだけど、初めはキツイかな。コツは体重載せる事だから」

「そう、僕の担任、坂崎先生になりました」

「あれ、主任やってなかったっけ?」

「保治井先生が転勤で、代わりに佐倉先生が来て主任になったので、坂崎先生が担任になりました」

「そうか、主任って年功序列だからな。でも坂崎先生は主任よりも担任があってるよ」

昼休みに、心太が自分の鑿を見せてくれた。綺麗に丁寧にかつらの仕込みがされている。

「ほらこれが鑿なんだけど、この先の三角形のところがしのぎ面って言って、砥石で研ぐ面なんだよ。でこっちが裏と言われる面で」

そう言って裏側の面を見せてくれた。まるで鏡のように光っていて、顔が映る。

「この面が平らになっていることが大事なんだよ。鏡のようになっているでしょう。これが平らになっている証拠。平らでないと曇っていて像が歪んで見えるからすぐに分かるよ」

「ほんとだ鏡みたいになってますね」

「こういうの鏡面仕上げって言うんだよ。この面に微妙な凹凸があると、歪んでしまって綺麗に鏡のように映らない。それだと刃物を材料に当てて加工するときにピッタリと裏面が当たらないから綺麗に加工が出来ないんだよ」

「なるほどそういう事なんですね」

「かつら仕込みが終わると、次の時間から4~5回で裏押し実習になるだろうから、次回のバイトの時に裏技教えてあげるよ」

「楽しみにしています」


日曜日

 この日、和也は恋と風香の3人で映画を見に来ていた。風香のリクエストで昨年話題になったテレビアニメの映画版だった。沙紀は用事があるとかで駅前まで送ってくれた。

「ヒャー並んでるねー」

行列のほぼ中央に並んでいた。小学生だけでなく大人までもいる。

「さすが鬼殺」

「これじゃあ映画見るまでに疲れちゃうね。和也大丈夫?」

恋が気遣って尋ねてくれた。最近、和兄ちゃんから和也に昇格した。

「あのーそれより2人とも、なんで両側から腕組んでくるのかな」

「だって和也とこうしてないと迷子になっちゃうそうで」

「お兄ちゃんだって美少女2人と腕を組めて何か不満でも?」

「いいや、あのー何か気恥ずかしくて。誰かに見られたら」

「私と腕組んでいるのを見られたら困るの?」

恋が体を寄せてきながら不安そうな顔になった。

「いやー全然困らないけど、むしろ恋は同級生とかに見られて恥ずかしくないの?」

「和也と一緒なら見られたら平気。だって私、恋人だもん」

「私は全然平気だよ。何か言われたら私のお兄ちゃんですからって言っちゃうもん」

「あ、そうなの、あははははははは」

嫌な予感は的中するもので

「あれ~小暮君?」

声の方を見ると同級生の女子2人だった。

「鈴木さん、由利さんこんにちは」

「やっぱり小暮君だ。わー彼女さんと一緒。腕組んでラブラブだね」

「誰この娘達?」

風香が厳しく追及してきた。恋の表情も険しくなる。

「あ、うん。彼女達、建築施工科の同級生。鈴木さんと由利さん」

そう言って恋と風香を交互に顔を向ける。

「あれ、小暮君大学生の彼女さんは?」

「あ、それ誤解だから。彼女は僕のお隣の幼馴染。彼女じゃないから」

「じゃあ、今日の2人が彼女さん」

2人とも興味深々と言った感じだった。

「えっとこっちが月島恋。みんなが誤解している沙紀姉の妹で、僕の幼馴染…」

恋の表情が曇りかけ負のオーラ。

「で、今は僕の彼女で許嫁。こっちは僕の妹の風香」

「兄妹で仲いいんだ」

「はい、うちは兄とラブラブです。ね、恋ちゃん」

「いつも和也がお世話になっています」

先ほどまでとは違い、幸せオーラ全開。

「それで鈴木さん達も映画なの」

「うん、前の回で鬼殺見てきたところ。小暮君達これからでしょう。面白かったよ。楽しんできてね」

そう言うと2人は行ってしまった。これは科内でこの話が持ち切りだろうなーと不安になる。

「お兄ちゃん」

風香の方を見る。

「良く言った。さすがお兄ちゃん」

「何のこと」

「恋姉のこと」

「?」

「もし恋姉のこと、幼馴染としか言わなかったら、正直この後…」

「だって本当のことだし。それにあの2人に気があるわけでもないし」

「和也」

恋が一層密着してくる。

「恋、どうしたの」

「彼女って紹介されたからうれしい」

その後3人で映画を見て、買い物をして帰った。


月曜日

 次の日登校すると、教室の中で昨日の件が広まっていた。

「和也、おまえJKの彼女いるんだってな。何で言わないんや。妹ちゃんともラブラブなんだって」

「幼馴染の美人JDとJKにJK妹って反則すぎるわ」

予想はしていたけど反響がすごい。

「ごめん、僕はそういう事あんまり言わない方がいいよって言ったんだけどあの二人が‥」

琴葉が謝りながら頭を下げて胸の前で手を合わせて見せた。視線の方向にはあいりとほのかがいた。和也と視線が合うとあいりが手を振って見せた。

「おい和也どうなの本当のところ」

朝から男子数人に囲まれる始末。これはもう説明をしないと事態の収拾がつかないと考えた。

「幼馴染の恋とは、昨年から正式につきあっているよ。と言うか昔から隣同士で家族ぐるみの関係だから親公認で昔風に言うと許嫁って言う感じ。僕の妹の風香は、恋の姉の沙紀と恋と本当の姉妹みたいな感じ。ブラコン気味だから仲はいい方だと思うけど、普通の兄妹の関係だよ。沙紀姉は3人の保護者って感じ。別に恋愛感情はないよ。むしろいつも泣かされて来たわけだし。性格は男の中の男って感じだから」


第21話目の投稿になりました。

クラス内で恋の存在がオープンになってしまいました。

この先どうなっていくでしょう。

次回は 学生の最も嫌いな大工実技「裏押し作業」です。

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