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“禁術の書”アーク

 ドゴン!!


『調べてみたら盗まれたのは魔女の宝玉だけの様だよ』

「そうですか」


 今僕は、“知恵の塔”に設置してある映像型連絡装置でガードナーと話をしている。

 “知恵の塔”には禁書が数多くあらゆる問題対策がされてある。

 この映像型連絡装置もその一つだ。窃盗や禁書の暴走が起きたらいち早く知らせる為の物だ。


「良くわかりましたね」


 僕はそれを使ってガードナーに今回のオークション会場の話を聞いているのだ。

 “大魔導師”は“賢者”や一般の人達と違って普通は得る事が出来ない情報が得れる。


 ドカン!


 それが“大魔導師”の魅力の一つだ。


『オークション会場で商品の数が合わなかったら大問題だろ?探したらちゃんとそう言う表があったよ。金庫の裏の壁の隠し金庫に』

「盗まれたら困りますもんね」


 まさか、違法オークションの会場の慎重さに助けられて捜査がスムーズに進むとは。


「盗んだ相手が誰だかは分かりますか?」

『良いや……残念だけど全く』


 しかし、それでもあの仮面が誰であったのかはわからない。それらしい証拠も全くなくまだまだその方向での捜査では暗雲が立ち込めているそうだ。


「そうですか……他には?」

『一般の職員の大半は釈放されたよ』


 ドカカカカカン!


「本当ですか?」

『あぁ。一般の職員にはあそこがVIP専用の秘密オークション会場と教えられていたらしい。大抵の職員はそれに納得したらしいね。納得いかなかった職員は事務処理をさせていたらしいよ』

「まぁ相手は確かにVIPですもんね」

『ハハハ、そうだね。そう言えば相手の国ではVIPで禁書で死んだ』


 カァァァァン!


『人達は事故で亡くなった事になってるよ』

「自国でですか?」

『うん……自国でね』

「まぁ戦争を避けたから良いですね」

『うん平和が一番だよ……ところで』

「何ですか?」


 チィィィィィィン!


『さっきからずっと何の音だい?結構ノイズが入るんだけど?』

「あぁそれは“賢者(笑)”の所為ですよ」


 ダレガ、カッコワライダァァ!


『そうか頑張ってね~』

「はい報告ありがとうございます」


 今の音で大体察したガードナーと挨拶を済まして電源を切った。

 そして、僕は大爆音の現場に向かう。

 そこには案の定、黒髪の女性が倒れていた。


「酷いじゃないかエメル。私を“賢者”の紛い物みたいに言って」


 彼女は倒れたままそう言う。

 彼女の名前はヴァイオレット・リリィ魔導連盟から“菫の賢者”の称号を貰っている天才魔法使いだ。

 僕の好敵手である。

 よく言えば天真爛漫、悪く言えばトラブルメーカーの人格だ。

 顔や体型は世間でも悪くは無いと思うが彼女はとんでもない事をするので世間では結構危険な人扱いじゃ無いだろうか?


「はぁ……やはり初日、山に埋めておけば……こんな事には……」

「山に埋めるって何だ!?海に沈めるぞ!」

「どっこいどっこいじゃないですか!?」


 彼女は自分が作った生きた魔法書を持っている。

 それならまだ大丈夫だ(そんなことはないが)だったのに彼女は作った魔法書にやらかしてとんでもない魔法を使える様にしてしまった。

 それが相手の魔法をコピーする魔法だ。

 そんなのが世間に知られたら一気に世界が戦争、火の海になってしまう。

 それを彼女は『“知恵の塔”なら何とかなるのでは?』と唯一の職員である僕を呼び、その後オークション会場の件でガードナーにヴァイオレットと同居すると勘違いされて今に至る。

 それで件の生きた魔法書『モアさん』はと言うと。


「……!……!?……!!」


 壁に埋まっている。

 しかも頭からだ。


「抜きますよヴァイオレット手伝ってください」

「あぁ」


 僕達は彼女の足を掴んで抜く。


「うわぁぁぁん!」


 抜いた後、彼女は僕に抱きついてきた。

 怪我らしいけがはしていないが彼女の金髪が爆音の原因の所為か汚れている。


「エメルざぁぁぁぁぁん!あるじをとめでください!ごのままじゃあるじ人類消しまずよ!?」

「そうですねー。やっぱり彼女は悪魔が転生した姿なんでしょうか?」

「誰が悪魔だ」

「あなたですよ?」

「私か」


 僕は彼女の頭をよしよしと撫でる。


「彼女達が来てから数週間経つがもう爆音程度じゃ驚けない体になってしまった」

「良いことじゃないか?」

「崖に落としますよ?」


 そう言ってモアさんを落ち着かせた後にこの散らかったら部屋をヴァイオレットに片付けさせた。


 あぁほんと……どこかに手頃な山は無いだろうか?




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