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拾った犬は、狼皇子でした  作者: 秋月 忍
クラーケンのマリネ

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20/20

花火 1

短め。すみません。

「夏祭り?」

 朝食の後、今日の予定を聞かれたアガサの答えに、ダンは驚きの声を上げた。

「そう。森の近くの街で夏祭りがあるの。一応、屋台も出るのよ。夕方まででよければ、レックスと二人で見てくるといいわ」

「あれ? どうして?」

 ダンは首を傾げる。

「私は夜まで仕事なの。街の城主の住む城の近くにある湖の対岸で花火を上げることになっているから、一緒にはいけないわ」

 花火の魔法は危険を伴うため、空の開けた水辺で行う決まりだ。城の対岸まで行くと民家はなく、深い森の始まりになっている。そこまでいけば、多少、派手な魔法を使っても危険は少ない。

 ただし、移動に時間がかかるし、何よりも入念な準備が必要だ。明るいうちに打ち上げ場所に行って、作業しなければいけないから、アガサは屋台を楽しんでいる暇はない。

 花火は、城主は城から、庶民は、湖岸の広場からと、打ち上げ場所からかなり離れて安全に鑑賞することになっている。

「逆に一人で大丈夫なの?」

 レックスは心配そうだ。

「毎年一人でやっていたのだから、大丈夫よ。花火の開始が日暮れからだから、二人は先に帰るか、ラーサの丘の上から見るといいわ。少し遠いけれど、遮蔽物はないし、人もいないはずよ」

 日が暮れるとレックスは人の姿ではなくなってしまうから、人の多いところで花火鑑賞をすることはできない。また、未成年のダンを一人で街に残していくわけも行かないから、夏祭りを楽しみたいのであれば、それ以外に方法はない。

「僕も花火を上げたい! 授業でやったからうまくやれる!」

「え?」

 意外な言葉にアガサは首を傾げた。

「祭りを楽しむ暇はなくなってしまうわ。実際のところ、上げる時間より準備するほうが大変よ。それに、人間の街は活気があるわ。見ておかなくていいの?」

「そりゃあ、見たいけれど……」

 ダンは迷っているようだった。

 彼にとっては、どちらも魅力的なのだろう。

「ねえ。一発だけでいいからやらせてよ。一緒に行って準備をきちんとするから。街は別にいい」

「おい、ダン」

「僕は、魔法使いだから、どっちかだけなら、魔法を使うほうがやりたい」

 ダンはアガサに訴える。

「これは私の受けた仕事だから、あなたの実力が私よりたとえ上だとしても、必ず私の指示に従うと約束できる?」

「……うん」

 ダンは頷く。

「わかった。そんなに言うならついてきて。ただし、途中で街に行きたかったとか言われても時間的に無理よ。レックスにはタイムリミットがあるし、私も準備で忙しいから、あなたの都合では動けない」

「男に二言はないよ」

 ダンは嬉しそうににこりと微笑んだ。

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