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7話 デスゲームは続く

審判が起きようとしていた。

人が間違いなく死ぬ、アレが。


「待って、待ってくれ、待ってください」

審判なんておこしちゃいけない。

慌てて止める、だけど。

「今、ここで何が起きてるんですか、なんで審判がまた?とにかくやめてください」

俺が騒いだところで、険悪な雰囲気はどうしようもない。

俺に説明したところで解決の糸口にはならないと評されているようで、無視されている。


「これ以上人が死ぬの、良くないですよ」

俺は言った。

言ったが。

だからなんだ。

何も変わらない。

皆に俺の言葉が届かない。

俺は無力。


だけど。

「とりあえず、飯食ってから考えようや、だいたいのヤツはまだやろ?」

ふと、弁護士の人が言った。

その一言で数人が納得したらしく、ぽつぽつと険悪なムードのまま解散していく。


でも、待ってくれ。

今のはなんだったんだ。

審判になりかけたじゃないか。


「ちょっといいですか?」

とりあえず、今にも缶詰を取りに行こうとしていたなずなさんを呼び止める。

この人が今の俺に一番味方してくれそう……な気がしたから。

ほら、この前追いかけてきてくれたし。


「大した用がないなら呼び止めないでほしいっス」

意外と冷たい!まぁ、べつに友達でも無いから彼女が俺に優しい必要も無いが。

「いえ、さっきの喧嘩の原因はなんだったんですか」

「私もよくわかんないんっス、だけどサラリーマンの人と妊婦の人でなんかも揉めてたらしいっス」

「なんで……いや、じゃあちょっと調べましょう」

なずなさんは少し驚いたように口を開け、それから。

「嫌っスよ、めんどくさい」

本気でかったるそうだ。眉間にしわもよっている。

「でも、このまま放っておいていいわけあるんですか?」

「じゃあ言うっスけどむやみやたらと人の問題に首を突っ込むのは、余計状況を悪化させるかもしれないっスよ」

正論だ。だけど、だからといって何もしないワケに行くのか。

このままはこべさんのように死人がでるかもしれないじゃないか。そしたら嫌だ。


なずなさんは、少し天井の方に視線をやってから。

ん――、と唸った。

「……ま――、なんか聞きに行くなら妊婦の人っスかね」

「なんでですか?」

「そりゃまぁ、あの人の方が話して問題起きにくいと思うんっスよね」

なずなさんは、俺を否定しつつもなぜか協力的だった。

はこべさんが死んだ直後俺を追いかけて来てくれたし、相当優しい人なのかもしれない。



でも今後の方針は決まった。

妊婦の人から調べよう。


「じゃあ、行ってきます」

俺が女性の寝室に続く廊下へのドアに手をかけると。

なずなさんが何やら言いたそうな目で俺を見ている。なぜだろう。

もしかして。

「……ついて来るんですか?」

もしかして俺に協力してくれるんだろうか。

「私の寝る部屋もそっちッスから」

あ、あぁなるほどそうか。


そして俺は移動を開始した。

休憩に向かうなずなさんと共に。

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