第六話 開幕、決勝トーナメント!
私たちの大会での戦闘から何日か経った後、ようやく決勝トーナメントが開始した。
この何日かは、ほとんどの人が大会の戦闘があったり、それの観戦をしていたので久々に修行ができた。私は主に能力の制御の修行をしていた。
そしてその修行の時に分かったことがあり、私は今まで自分の能力を『私が弱ければ弱いほど身体能力が上がる』ものだと思っていたのだが、どうやら微妙に違うらしく私の能力は『弱ければ弱いほど、力もしくはエネルギーが扱える』といったものっぽい。
これを上手く能力の制御が出来れば私の出来ることが増えると思って私は能力の制御を何度もした。
ーー大会会場ーー
ついに決勝トーナメントが始まる。
ここからはこの前ほど簡単には勝てない。気を引き締めていこう。
そしてトーナメントの組み合わせが決定した。
私たちの出番は10戦目。まだ時間はある。これから何をしようかな?
そう考えながら会場周辺を歩いていると、前から私を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい! 勇華ー!」
そう言いながら理奈が私に突っ込んできた。
「ちょっと理奈! 危ない! すごく危ない!」
私は咄嗟に避けた。もしあのまま当たっていたら結構な怪我を負いそうだ。それくらい勢いのある突進だった。
「いや〜、ごめんごめん。なんだかずっと1人で何か考えているみたいだったからちょっと頭休ませてあげようと思って」
と理奈がそう言う。反省が全然感じられない。ごめんってなんなんだろう……?
「頭休ませるどころか全身が吹っ飛ばされそうになったけどね……」
そこで私は少し気になった事を尋ねた。
「そういえば私ってそんなに頭抱えてた?」
「うん。緊張してるんじゃないの?」
私は少し考えてから言った。
「うーん……どうだろう? 緊張してるのかな、私」
「こういうのは細かいことは気にせずに楽しんだ方が良いと思うんだけどなぁ……。あ、そろそろ私行かないと! じゃあね!」
そう理奈が私に言って走り去ってしまった。
「そういえば理奈は1戦目だったっけ」
きっと理奈たちは勝つだろうな。だって理奈たちは強いから。私よりもずっとずっと強い。
そう思っていると後ろから不意に声をかけられた。
「ん? 王木さん? こんなところで何してるんだ?」
振り向いてみるとそれは結崎さんだった。
「あ、いや、なんでもないです。ただちょっと考え事をしていて……」
と私が答えると結崎さんが言った。
「そうか、でも今、宝城さん達が戦ってるのに見に行かないのか?」
「うん……理奈たちは強いから、きっと勝てる」
「……何に悩んでいるのかは分からないけど、強さだけがすべてではないからな? 俺はあいつらの戦闘を見にいった方が良いと思う。お前が見に行けばあいつらも嬉しいだろうし」
結崎さんはそう言ってどこかに行ってしまった。
「強さだけが……すべてじゃない……?」
戦闘において強さが重要だと思っていたが違うのだろうか。……分からない。他に何が重要なのか……。
その後、大会会場の方に行くとまだ理奈と冷奈が戦闘をしていた。そして見事勝利を収めた。
「戦闘において重要なもの……」
その戦闘の間、ずっと考えていたがまだまだ答えは出そうにもなかった。
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