第三話 最高峰と最底辺!
私が気がついた時にはもうすでに夕方になっていた。
「ここは……多分保健室なのかな?ベットがいくつか並んでるし、多分そうだよね」
しかし周りを見渡しても保健室の先生の姿がない。一体どこに行ったのだろう。探そうとした時、突然保健室の扉が開いた。
保健室の先生かと思ったがそうではなく、私のクラス担任のアレス先生だった。
「ようやく起きたのか。他の生徒はみんな寮の方に行ってしまったぞ」
「そうだったんですか。もしかして先生は私に寮の部屋を案内するためにここに?」
私がそう聞くと先生はこう言った。
「それも含めて学校の案内を全てやる。それだけでもしとかないと色々と困るからな」
「あ、ありがとうございます」
「お礼はいらん。さっさと着いてこい」
そうして私は先生に学校の案内をしてもらった。
寮に着いた頃にはもう夜になっていた。
私は軽めに夕飯を作ってそれを食べた後、シャワーを浴びた。
その時私は先生に学校を案内してもらった後の別れ際に言われた事を思い出していた。
ーー案内が終わった直後の時ーー
「最後にここがお前の寮の部屋だ。場所はしっかりと覚えたな?」
と先生が言う。
「はい。本当にありがとございます、先生」
と私が言うと先生がこう言った。
「お礼はいらんと言っただろう。それにお前には色々と期待している。そんな生徒を応援するのは教師として当たり前だ。ほら、さっさと部屋に行って」
「分かりました。それではおやすみなさい、先生」
ーー現在ーー
そう言う感じで先生と別れたのだが、期待とは一体……?自分からしたらそこまで期待できるところはないように思えるんだけど……試験でも負けちゃったし。
「まぁいいか。明日も早いし今日はもう寝よう」
シャワーから出た私はパジャマに着替えてそのままベッドで寝た。
そして翌日……
ーー教室ーー
みんなが教室に集まると先生が来て話し始めた。
「さて今日は全校順位を発表する。全校と言ってもお前たちの学年しかいないが、とにかくこの順位は昨日の試験、検査の時に出た身体能力を基にして作られている。ちなみに文句は厳禁だ」
そう言って先生は順位を電子黒板に映した。
私はいきなりの事で少々混乱しているがみんなは待ってました、みたいな反応なのできっと昨日私がいない所でこの事を言われたのだろう。
私は自分の順位を探すと……
見つけた。私はその順位を何度も何度も見て物凄く泣きたくなった。
「え?全校順位……」
下へ下へ目線を下げていってそして一番端のところでその目線を止める。そう私の順位は……
「最下位……!?」
自分の順位にショックを受けていると先生がみんなに話しかけた。
「さて、みんな自分の順位を確認したな。それが今のお前たちの順位だ。そしてここからが本題だ。今からお前たちには明日までにペアを決めてもらう。相手はクラス内の生徒であれば誰でも良い。ペアが決まったら私のところに言いに来い」
すると1人の生徒が先生にこう言った。
「どうしてペアを組む必要があるんですか?それにまだ名前もわからない人が多いのに明日まではちょっと厳しいです」
それに対し先生はこう言った。
「良いかお前たち。この世界は今7割が魔王軍によって支配されている。もちろんこの場所も何度も何度も狙われている。本来ならこんな所でのんきに学校をしている場合ではない状況だ。だからこそ私たちはこの状況を覆すためにお前たちをこの状況より深刻になる前に育て鍛え魔王軍に対抗しようとしている。決してお前たちは1人で戦うわけではない。必ず集団で戦わなければ私たちは魔王軍に勝つことなど出来ない。だから君たちには誰かと協力する事、それを知って欲しいんだ。他に何か質問等はあるか?…………いないな。ではまずは互いの事を知るために自己紹介あたりをしてもらおうか。私から見て右側の1番前から後ろへと順にやってくれ」
こうして自己紹介が始まった。特に目立ったのは次の3人だ。
「俺の名前は結崎 真冬だ。趣味は……特にないな。まぁ、よろしく」
私の試験相手であり、全校順位1位を取った人だ。
次はこの人。
「俺の名前は剣内 闘樹。趣味はゲームだな。よろしく」
試験で私たちの1つ前に戦っていた人で銃と剣が合わさったような武器を使っていた人だ。ちなみにこの人の全校順位は2位。
次はこの人。
「僕の名前は音矢 奏太と言います。趣味は読書とかかな。よろしく」
この人も試験で1つ前に戦っていた人で弓を使っていた方で全校順位は5位。
この3人は順位が高くとても目立っていた。
そしてしばらくして私の番になった。馬鹿にされたらどうしようとかそんな事を思いながら自己紹介をする。
「わ、私の名前は王木 勇華です……。えーっと趣味は……と、特にないです。よろしくお願いします……」
周囲がざわつく。やはり自分は悪目立ちをしてしまったようだ。はぁ……落ち込むなぁ……。
そうして自己紹介は終わった。その後、座学の授業がいくつかあり、今日はそれで放課後となった。
私が寮に戻ろうとしていると突然後ろから声をかけられた。
「えーっと、王木さん……で良いんだよな?」
「は、はい。そうですけど……」
そこで声をかけてくれた人が私の試験相手の人だと気づいた。確か名前は……結崎 真冬さんだったはず。何の用なんだろう。
「王木さんは今ペアが出来てないのが誰なのか知ってる?」
え?突然何の話だろう?そんな事を言われても……。そう私が悩んでいると結崎さんが先に答えを言った。
「実はもう俺と王木さん以外はみんなペアが決まったらしいよ」
「え?ほんとに?」
「ほんとに」
みんなすぐには決まらないみたいな事を言っていたのになんか裏切られた気分だ。
すると結崎さんが私にこう言った。
「て事で俺とペアを組むことになるけどそれで良いか?」
良いも何もそれしかないのであれば別に私は構わない。ペアなんて出来ないと思っていた私にとってはペアが出来るだけありがたい。
「うん。私は問題ないよ」
「分かった。それじゃあ先生に報告しに行くか」
そうしてその日、全校順位1位と300位、最高峰と最底辺のペアが生まれたのであった。
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