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元お助けキャラ、死んだと思ったら何故か孫娘で悪役令嬢に憑依しました!?  作者: 冬野月子
第7章 黒猫

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07

 黒猫を見ていたカインは、私へと視線を移しその目を軽く見開いた。


「これは、マリアンヌ様」

「こんにちは。もしかしてこの猫ちゃんは先生の猫なのですか?」

「ええ……最近学園に来ることを覚えてしまったようで」

 カインはそう言って黒猫に手を伸ばした。

「ほらセレスト、学園には来ちゃだめだといっただろう」

「ニャア」

 低い声で一鳴きすると、黒猫は私にしがみついた。


「おい……」

「ここは中庭ですから、少しくらいなら大丈夫ですわ」

 建物の中に入ってしまったらまずいかもしれないけれど、ここは人気も少ないし。

 背中を撫でると黒猫は機嫌良さそうに喉を鳴らした。


「セレストというの?」

「ニャア」

「ふふ、素敵なお名前ね」

 水色の瞳から取ったのかしら。

「そのリボン……マリアンヌ様からいただいたのでしょうか」

 カインが私を見て言った。

 今日は、前にセレストにあげたのと同じ赤いリボンを髪に結んでいる。


「ええ、欲しそうに見ていたので」

「すみません……ありがとうございます」

「今日もつけていてくれるのね」

「毎朝きれいに結ばないと怒るんです」

「まあ、オシャレさんなのね」

 抱き上げるとセレストはニャアと甘えるような声で鳴いた。

「とても人懐こい子なんですね」

「いえ、そんなことは……っ」

 ふいにセレストが威嚇するような声を上げた。

 同時にカインがバッ、と校舎の方へと顔を向ける。


 何事?

 私はシャルロットと顔を見合わせた。


「あの……」

「――嫌な視線を感じました」

いつもより低い声でカインは言った。

「嫌な視線?」

「おそらく……マリアンヌ様を見ていましたね」

「私?」

 どうして?


「マリアンヌ様は色々な意味で注目を集めていますからね……変な視線も集めますよね」

 シャルロットが口を開いた。

「え? どういうこと?」

「自覚はないのでしょうが、マリアンヌ様はモテるってことです」

 少し呆れたようにシャルロットは答えた。


「そうなの? でも……誰かに告白されたとか、ほとんどないわよ?」

 フレデリク殿下から熱烈に愛を伝えられているのと、セベリノさんに求婚されたくらいだし。

「過保護なのも問題ですよね、当人が自覚持てないんですから」

「え、どういうこと?」

「ニャーア」

 セレストが何か訴えるようにカインへ向かって鳴いた。


「……マリアンヌ様、少しよろしいでしょうか」

「はい?」

 カインの手が伸びてくると額に触れた。

 ――身体に何か、温かなものが流れてくる。

 これは……。


「あの……」

「おまじないです」

「おまじない?」

「母から教わったお守りです。おまじないですが、効果はありますから」

「え、あの」

 その時、午後の授業の予鈴の鐘が鳴り響いた。


「ああ、時間ですね。セレストおいで」

 カインの声に、セレストが私の腕の中から飛び出した。

「マリアンヌ様、どうかお気をつけて下さい」

 セレストを抱きかかえると、カインは私達に背を向けて中庭から立ち去っていった。



「今の……黒魔術?」

 カインに触れられた額を触る。

 あの感覚は、前にセベリノさんに触れられたのと同じだ。


「――セベリノ様に相談しましょう」

「そうね……」

 顔を見合わせたシャルロットに私は頷いた。


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