崩壊は突然に。
初投稿です。
拙い文章且つ、世界観がフワッとしていますので、 サラッとお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
ピピピピピピピピピピピピピ………、
けたたましい音で鳴る目覚まし時計を勢いよく止めて、もう一度布団に潜りたい衝動をなんとか堪えて起き上がる。
寝ぼけ眼でカーテンを開け、眩しすぎる朝日に、ただでさえ閉じかけている瞼が一旦完全に閉じ、そのままの状態で10秒ほど朝日を浴びてからゆっくり動き出す。
まだまだ起きる気配のない夫をチラッと確認し、朝食とお弁当を作るために居間へ行くと、寝室で私と寝ていた愛犬がとてとてと付いてきて、おはようの挨拶をしてくれる。
子どものいない私たち夫婦にとって、愛犬は子どものように愛おしく、かけがえのない存在だった。
「おはよう、今日もかわいいねえ!!」
そう言ってわしゃわしゃと撫でると、嬉しそうに頬ずりしてくる。あまりの可愛さに時間を忘れて遊びたくなる衝動をなんとか抑えて、テレビをつけてから、うがいと洗顔をしに洗面所に向かった。
冷たい水でしっかり洗顔して目がシャキッとしたところに、こちらもしっかりと化粧水と乳液を塗っていく。少しでも年齢に抗いたい思いから、しっかり塗るこの作業は怠らない。
洗面所からキッチンに入る前に、テレビのニュースが目に飛び込んできた。緊急事態が発生したらしい。とても気になるが、朝食とお弁当を作って夫を起こさないといけないので、キッチンからチラチラとテレビを観つつ準備することにした。
卵焼きを焼く音で上手く聴こえないが、何やら世界中で良くないことが起こっているらしい。嫌だな、と思っていると、いつもは自分で起きない夫が自ら起きてきた。
「なんか今、緊急の連絡入ってさ、今日は少し早めに出勤するよ。」
おはようと言ってそう告げると、そそくさと洗面所へ行ってしまった。
急いでお弁当を完成させ、時間が無い時のためのドライフルーツ入りのシリアルを2人分用意し、調整豆乳をかけてテーブルに運ぶと、ちょうど洗面所から出てきた夫と共に席に着いた。
「なんか大変なことが起こったみたいよ。」
テレビを観ながら夫に言うと、「そうらしいな。」と言ってシリアルをかき込む。コーヒーも淹れたら良かったなと思っていたら、夫がスプーンを動かすことを止めた。
不思議に思っていたのも束の間、私もすぐに動きが止まった。テレビに映る信じ難い光景。これは現実なのか?人が人をーーーー……。
動けないまま呆然とテレビを観る私たちとは裏腹に、自分のごはんはまだですか?と元気にはしゃぐ愛犬だけが、時を刻んでいるかのようだった。