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プロローグ。
20××年、突如世界中に病が蔓延し始めた。
感染原因は不明、治療法も存在しない。
感染者だけではなく、非感染者までもが敵となりうるこの世界で、何を信じ、何を守り、何のために生きるのか。
昨日まで生き抜こうと話していた隣人が数時間後に感染者となり、明日は我が身の極限状態で、私がすべきことは。
助けなんて来ない。誰も助けてくれない。誰も助けられない。そう、自分を助けられるのは自分だけ。
警察官の夫は、この騒動が起こってから、必ず帰ると約束して涙ながらに仕事へ行った。どこかで落としたのか、スマホは繋がらない。
夫の帰りを、無事を信じて私は、今日も愛犬と共に、この滅びゆく世界を生きていく。