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人狼 Zwei (ツバイ)  作者: 冬忍 金銀花


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To continued Your mind.

拙い文章を読んで頂き感謝いたします。次章をUPいたしましたらすぐに読んで頂いておりました。今回の章で終わります。ありがとうございました。



            

 1955年8月(昭和30年)東京都・神田区


*)母(ホロ)と智治


 地方の農家とかは台所は土間だ。薪で炊飯の用意をするのが普通。ただ、東京の木之本家の家の造りはどうだったのだろうか。


 木之本家の今日の夕食の準備風景は?


「おい、この大きい鯛はなますにするのか?」

「ああ、そうするよ。残りはアラ炊きな!」

「カマスは塩焼きだね」

「それは、俺が焼くから、鯛の刺身を造ってくれないかい」

「は~い、これ!おいしそうだよ。食べ放題ね!」

「お! マグロか、でかいな。これは簡単だろう。ニキータさん、刺身にしてくれ」

「そうだね、切るだけだから、私が作る」

「ホロさん、魚を焼く前にお肉を焼いてくれ。魚が先だと臭いが酷くてまずくなるからさ」



「お母さん」

「うん?」

「ホロお母さんは、最後に桜子と孫や玄孫に会わなくてよかったのですか?」


 ホロは肉の下ごしらえ作業の手を止めて、上を向くようにして話し出した。


「霧は、霧はね・・」

「赤子の時に、一度は諦めたさ。落ちた飛行船が炎上し、辺りは火の海だったからね。霧を夫の弟に託せた、あの時は運が良かったと思っていたんだよ。でもね、あれも運命だったと後で気が付いたよ。あれから二十四年にはなるかのう」


「はい、その話は教授から何度も聞かされました。家でも大学でも霧はいつも明るくて、とてもいい子でした」

「霧は皆さまから大切にされて育てられて、幸せだったでしょう」


「そうですね、霧が産んだ娘も大きくなり育って行きました。感無量! です」


「ええ、そうです。私は二十四年、ひと目逢いたさで孫の存在の感じを頼りに知らない街まで出てきたのだよ。そして、見つけた時はもう嬉しくてその場を動けなかった」


「そうでしたね。でも、お母さんは声を掛けました」


「そうだよ、一時の思いで声を掛けたら別れる時は、とても辛くなるから、我慢出来ずにきっと泣くだろう、その後はどうしよう、と思っていたよ。だから、本当は声を掛けるのは止めようと考えていたさ」

「・・・・・・」


「もう、孫の二人を見つけた時は、こころの中は嵐だった。目は潤んで見えなくなったし。生きた心地がしなかった。目を逸らそうかと、何度も何度も横を向いたもんさ」


「あの時は済みませんでした。お母さんはきっと何も言わないと、考えたんです。でも、可愛い双子に目を潤ませてあった。だから、話が済むまで私が出て行くのは止めようと」


「いいのだよ」


「そうです、今日みたいに重たい荷物を持っていたんですよね。休みたいな~と思って顔を上げたら、お母様らしい姿が見えて」


「私はきっとホロお母さんが探しに来ると、思っていました。だから毎日、毎日肌身離さずに霧の髪を持ち歩いていたんです」


「ああ、あの時に初めて娘の死を知ったよ。霧はきっとどこかで生きていると願ってやまなかったのに。でもさ、あの子が生きている気は何処へ行っても感じられなかった。夫の国の日本へ行けば、きっと逢えると信じていたんだがね。 あの子の赤い髪を見て、泣いて、泣いて、悲しくて動けなかった」



「あの時に智治さんが見つけて貰わなければ、今は生きていないと思うよ」

「それは・・・」

「そうだよ、お前が私に生きるように、手を差し伸べてくれた。ただ、ただ感謝の念でいっぱいだよ」


「こちらこそ感謝をしているのです。霧には命を助けられました。そして、二人の娘も授かって。霧を救えなかったのが、とても残念ですが」



「そうよね。霧には会えなかったのですもの」


 ホロはうつむいた。少しして顔を上げて、


「智治さん。もう淋しくなるから、家族の事を話すのはやめましょうよ」



「いいえ、私は止めません。もう会えないからと、淋しくなるからもう家族の話はしないとか、それは間違いです。家族と歩んできた道程(みち)を否定いたしません。私は独りになりましたが、これからも、最後の家族の亜依音を見守って生きていきます」


 智治は母の正面に立って言葉を投げつけた。


「お母さん。お母さんには亜依音を育てるという大きな仕事がありますよ。孫を傍で成長するのを眺めて、今度は玄孫を育てる。もう大変な仕事になるはずです」



 同時にホロの頭の中に言葉が聞こえた。


「お母様! お母様には娘の私と一緒に亜依音を育てるのですよ?」


「? 麻美の声が聞こえた? ユキ! ユキ! ユキなの?」

「そうですよ、ユキです。ユキはまだ生きていますよ。もう、お忘れですか?今は麻美です。早く北海道へお帰り下さいな」


「ああ、そうですね。私はまだ死ねませんでした。娘も亜依音も待っていますわ」


 智治は母の顔が明るくなったのが分かった。


「お母さん。帰ったらたくさんの楽しみが待っていますよ!」



 亜依音にはどのような人生が待っているんだろうか・・・・・・。そうです。私たち親子にはまだ思い出が、長く続いていくのです。いつの日か巡り逢うその日まで。



「ホロお婆ちゃん~、早く肉を焼いて下さい。カマスは焼いてしまいました」


「智治? なんだいその鯛の刺身は。厚みがバラバラだね!」

「うるさい。大きいのは俺と母の分だ。文句あるか!」


「いや、・・・・なにも・・もんく・は、無い。包丁が怖いだけだよ・・・」








 垣根の上を翔ぶ女 亜依音


                 1968年4月8日(昭和43年)東京都   


「キャッホー! 憧れの高校だー! 東京だー!」


 短めの髪型。きりっと引き立った赤い瞳。色白でどこまででも聡明な顔立ち。

髪の色はどこまででも黒く天使の輪がとても可愛い。短めのスカートで赤のリボン

がとても似合う黒のセーラー服。


 亜依音の十五歳。高校入学式の制服がとてもよく似合う女の子。


 横には身なりの立派な背広の紳士と老婆。老婆は車いすに乗り、後ろには白髪の男が立っていた。そして、亜依音の右横には白髪の男女が立っている。



              

 記念写真の撮影するもう一つの家族があった。そこには二人の可愛い女の子。

名前が碧(あおい)と翠(みどり)という。


「ねぇ~? あなた。どこかで逢ったことあるかな~」

「いいえ! 私! 東京は初めてだから」

「嫌だ! 碧ったら。もう女の子をナンパするの?」

「翠お姉ちゃんには関係ないわ」

「あらイヤだ! 怒ったかしら」

「ねぇ、あなた。入学式に行くわよ!」


 亜依音は訳も分からずに、目を丸くして手を引かれるのだった。


 亜依音の物語が・・・・・始まる。 次作は、 垣根の上を翔ぶ女 亜依音


 人狼と少女はまだ続く予定です。まだ先になりますが、亜依音と碧と翠が主役です。碧と翠は双子か幼馴染か?は未定です。この子たちはあの巫女の生れ変わりです。今後もよろしくお願いします。

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