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相澤紫織

会社の行事でBBQが開催された。


海辺に行き、山門さんの手伝いをする。


その間、一度も山門さんは私の顔を見ない。


話をしても空返事、避けられてるという考えが頭をよぎる。


とりあえず、楽しもうと山門さんは頭の片隅に。


「山門ー」


そう言って山門さんのそばに寄ってきたのは、イケメンエリート山門さんの同僚の六条さんだった。


2人楽しそうに会話をしているところを見たら胸がギュってなった。


そんな顔で笑うんだ。六条さんとはそういう顔で話すんだ。


大きな疑問が邪念に変わりグルグル頭の中を渦巻く。


私は、2人を置いてその場を去り出来た肉を食べまくる。


「食いっぷりいいねー」


「ほーでふは?」


セクハラ上司はもっと食えもっと食えと私の肩を抱きながらお皿に盛り付ける。


焼きそば、肉、ピーマン、玉ねぎ、在るものを私にくれた。


お腹は悲鳴をあげたけど、食べずにはいられない。


「おい、もっと呑めよ」


同僚の湯海ゆうみが私のコップにお酒を入れる。


満腹感とアルコールで若干気持ち悪くなりながらも注がれたお酒をグイグイ飲む。


「お前、なんか悩みあるのか?」


「無い」


「なんかあったら俺に言えよ」


心配そうな顔で私を見てそう言うけど、なんかあったってなんかある前に言いたい。


「吐きそう」


胃が痙攣し始めて、逆流してくる。


「マジか。山門さんー」


「どうしたの?」


「ちょっと、相澤に付き添ってやってもらえませんか?」


湯海の言葉に、分かったわと了承する山門さん。


なんか気まずい。


トイレまで付き添ってもらって、私はリバースした。


山門さんは何も言わずに私の背中をさする。


優しさが痛い。


リバースした後、山門さんにお礼を言う。


「山門さん、ありがとうございます。迷惑かけてすみません」


「気にしなくていいわ。よくあることよ」


そう言って笑ってくれた。


六条さんの時よりも笑顔になってくれたそれだけで胸が張り裂けそう。


暗くなってきた海岸に座りみんなを眺める。


「山門さん、私のこと避けてます?」


私の問いに山門さんは目を大きく見開いた。


「避けてないと言ったら嘘になるかもね」


やっぱり避けてるんだ。


「私なんかしましたか?」


「何もしてないから困ってるのよ」


「え?」


「貴女が他の人に幸せにされるところを間近で見たく無いの」


前をまっすぐ見据えて話す山門さんの横顔は、ほんのり頬が赤く染まってるように見えた。


どう言う意味だろ、頭の中で考えるが分からない。


「私、みんなのところに戻るわね。落ち着いたら戻ってきて」


そう言うと、浜辺を颯爽と歩いて行った。


後ろ姿がとても凛々しくて、長い髪がやけに綺麗に見えて、私は一つの感情を思い出した。

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