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ソノナハ

1% ソノ名ハ


〔煌〕


水色の髪をした少年がいた。


身長は俺より小さく、髪は2つに結ばれている。顔立ちで少年だとわかったが、シルエットだけだったら完全に女子に見える。

その手には少し電撃が纏わり付いており、崩れた瓦礫に乗っている。

…どうみても犯人としか思えない。

そいつはゆっくりこっちに歩いて来た。

俺の方、いや俺に向かって来てるとしか思えない。

心臓がバクバク言ってる。

ビビってる?日本一の俺が?

こんな事ごときで俺はビビらな…


「なあ、お前駿河煌か?」


………は?


「いや、そうなんですけど…あなたは誰ですか?」

「俺か。俺は…」


「@q☆2]!」


「なんて言った?」

全然聞き取れなかった。

なんて言っているんだ。

「悪い、人間には聞き取れないな。」

そう言うと改めて、

「俺はイマジン・ハリクルスブガンだ。」

いまじんはりくるすぶがん?

外国人かよ、とツッコミたくなったがやめといた。

「そうだ。なんで、こんなことしたんだ?」

と、俺が言うとイマジンは、

「電脳起動」




駅と一緒の形だったが、先ほどまでと様子が違う。

瓦礫がなくなっている。

さらに俺とイマジン以外の人がいない。

「……なあ、ここはいったいどこなんだ?」

と、聞くと

「あっちを見てくれ」

と言って指を指した。

俺がそっちの方向を向くと、謎の飛沫のようなものをあげる生き物がこっちに来る。

「………なんだ…あいつ」

「退け、煌」

そう言うと、イマジンは高く飛び、


「轟け、《雷鳴》」


バァァァァリィィィィィィ!!!


刹那、雷鳴が鳴り響き、その生き物は黒く焦げていた。

「なん、だ…これ…」

スタッと着地したイマジンが、俺の言葉に答えてくれた。

「今のは《雷鳴》。雷雲を発生させ、雷を振らせる技だ。」

「いやいや、そういうことじゃなく…」

イマジンは首をかしげた。


「お前ならこの程度驚かないだろ?」


………は?

「いやスッゴイ驚いたんですが!?なんで俺が驚かないっていうことになってんの!?」

ああ、そうかと呟いたイマジンは、

「お前って【十四戦士】って知ってるか?」

何それ?

「ゲームか何か?」

「昔の伝説なんだが…お前は知らないのか」

と言うとイマジンは、

「とある話をしよう。」


———昔、魔王の暴走により宇宙が崩壊しかけた。その宇宙を治める王は国の精鋭部隊を魔王の城に送ったが、歯が立たなかった。どうするか悩んだ王は、十四の属性、火、地、雷、草、氷、水、毒、龍、鉄、光、風、格闘、妖精、闇の属性を扱える戦士達を集め、【十四戦士】と名付けた。魔王と互角の戦いを繰り広げる十四戦士達だが、遂にどちらも倒れた。その時、王は自らの命を犠牲にして魔王を永久封印した。


という伝説があることをイマジンは教えてくれた。

「…そんな伝説があったのか」

「そうだ」


そして、俺は大事なことに気づいた。


「なんで今になってその話を?」

イマジンは真剣な眼差しで、

「一つはお前が十四戦士であること。もう一つは、魔王が復活したということ。」

俺は一瞬、何を言われたかわからなかった。

「俺が…その1人?」

「そうだ。駿河煌、お前は“火”の十四戦士なんだ」

火?俺が?

確かに空手を習っているため同年代だったらほとんど力を出さないで勝てるだろう。

ていうか同年代だったら負ける気がしない。

でも、火とか扱えない。

ゲームの世界だけだわ、そんな火を使うとか。

「嘘だろ?」

「いや、本当だ。俺は“雷”の十四戦士。お前は“火”の十四戦士なんだ」

「お前も十四戦士…」

十四戦士がどれくらい強いのかわからない。

魔王の強さもわからない。

だが…

「なぁ、一個思ったんだが、なんで俺が十四戦士なんだ?十四戦士っていうのは昔の人なんだろ?だったら俺は十四戦士じゃないだろ」

そう言うとイマジンは黙り込み、

「…お前でもわかんないのか」

「…だが、一つわかる」

「何が?」

「昔のように、十四戦士はちゃんと揃っている。…だが、昔のような王がいないため、集めるのがとても難しくなっているんだ」

…いや、

「俺が十四戦士だから何をしろって言うんだよ。」

俺がそう言うと、イマジンは少し微笑み、


「俺の方へ来て欲しい。十四戦士集め、といったところか」


「…それってさ、宇宙に行くってことだよな?俺まだ学校も行ってるし友達もいるからな。そんな簡単に地球を離れられねーわ」

俺が少し困りながら言うと、イマジンはこう言った。

「大丈夫だ。1人地球にいるし、何よりお前の強化。パワーアップが最優先だ。」

「そうか…なら」

俺はとても大事なことに気がついた。

「待ってくれ、お前なんでさっき駅ぶっ壊したんだ?」

「あぁ、あれは力が少し暴走しただけだ」

「ふー…って!なんでだよ!」

「俺の星とは重力が違うからだ」

なんか色々な話を聞いたせいで納得できてしまう。

「分かったけど、俺の強化って具体的に何をするんだ?」

「そうだな…じゃあ」

と言ってイマジンは俺の身長くらいの人形を出した。


「まず物理攻撃から。一応お前は空手をやっていたんだろ?」

「まあそうだな。じゃあ、行くぞ!」

一発一発をしっかり相手に叩き込んでいく。20秒くらいやって、イマジンは、

「人間にしてはいい方だ。じゃあ、本格的な属性の特訓をしてみよう」

と言った。




「まず、手のひらに神経を集中させるんだ。そうすれば…」

と言って、イマジンは手に電気を纏わせた。

「自分の属性を出すことができる。」

「俺も………全然、出ない」

自分より身長の小さいイマジンにやられると簡単そうに見えるが、実際、とても難しい。

「大丈夫だ、お前ほどの戦闘能力があればすぐに習得できるだろう」

そして、10分くらいだった頃だろうか。

「ん?なんか煙が出てきたけど…」

イマジンは、

「ここまで早いか。さすがだな。」

「え?火はまだ出てないけど大丈夫か?」

「煙が出てるなら火もじきに出るだろう。」

イマジンはポケットから携帯のようなものを取り出し、

「これは電脳世界の入り口を開く道具だ。他にもこれを持ってるやつと連絡をすることだってできる」

「そうか。ありがたく…」

貰おうとしたが、イマジンは俺にくれず、

「おいくれよイマジン。それは俺のものなんじゃないのか?」

「全く…これだからゆとりは、それが使えるかどうか調べなきゃいけないだろ?これもお前へのテストだ。」

「めんどクセェ…」

「俺からこれを取ってみろ」

と言った瞬間、

「まずい、煌、飛べ!」

俺は言われるまま飛んだ。


その瞬間、水飛沫が飛んだ。




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