帰り際
今日が最後だ___。
夕焼けに色づく帰り道、
何を聞いた訳でもないのに、そう感じた。
僕らは、もう二度と来ない2人の明日に気づいていながら、日常を繋ぎとめた。
それが僕らの在り方。
今まで築き上げてきた、2人の関係。
「また明日」君はそう言った。
明日なんて来ないのに。
「また明日」君はそう言った。
消える運命と知っていながら。
近づく死が怖くないのか、それとも感情すら消えたのか。あっけらかんとしたその表情は、今日すらも見ていないようで。
「また明日」僕に返す。
1人の日々を浮かばせながら。
泣きもせず、焦りもせず。
ただ交わす不格好な挨拶。
こんな時でも僕らは、さようならも言わないんだな。
こんな時でも僕らは、さようならは言えないんだな。