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終焉者の訪れ
*
「…ははっ、あははははははっっ」
戦場に、哄笑が響く。
それは、その場には不釣り合いなほど可憐な少女の声。少女は、高く積み上がった戦死者の山の頂上に立ち、今もなお狂ったように笑うことをやめない。
他に人影はなく、その戦死者たちは間違いなく彼女が屠った者たちである。巨大なライフル銃を杖にするようにして立つ彼女は返り血でどす黒く染まった顔で空を見上げた。
空は禍々しく紅に染まり、少女の瞳もそれに同じく真紅の輝きを放つ。
ぐいっと乱暴に顔を拭い、笑うことをやめて息をつく。その横顔は先ほどまでと違って狂人の雰囲気は抜け落ち、いっそ悲壮感も感じさせるようだった。
頬に伝う一筋の涙は、少女の顔に刻まれた無数の傷を舐めて赤く染まり落ちる。
「は、は……、また、またなの……」
少女は、ゆらりと顔を前に向けて、誰にともなく呟いた。
―――ー終わらせに、いこう。