あいきゃんふらーい
初投稿です。
悪い点、改善点など指摘してくださると幸いです
よし、一度深呼吸しよう。
僕は飛べる。あと一歩で僕は飛ぶことができるはずだ。
現在時刻は23時を過ぎ、辺りは真っ暗で頭上にある月だけが輝いている。背後には冷たい感触のフェンスがある。僕の眼下には普段は見上げるような木が今は自分よりも低い位置にある。
「すぅー、はぁー。よし、飛ぶぞ」
もう何度目になるのかわからない深呼吸と決意をして足を前に動かそうとした。その直後だった。急に背中を押すように突風が吹いた。ちょうど片足立ちだった僕はバランスを崩し、空を飛んでいたーーー否、落ちていた。このままではダメだ。飛び降り自殺する時に決めたあれを言わないと。僕目を閉じながら腹に力を入れて叫んだ。
「あいきゃんふらーい」
その声は絶叫にもならずなんだか弱々しく夜の街に響くのだった。
こうして、僕ーー相楽涼太の人生は幕を閉じたのだった。
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視点変更
「はあーっ!」
俺は目の前にいるモンスターを蹴散らし、一種禍々しく感じられる城を目指していた。倒しても倒しても湧いて出てくるモンスターに俺は八つ当たり気味に剣を振るう。
「せいっ」
剣を振るうだけでモンスターの体は小さな光となって消えていった。あと少し、あと少しでラーナを助けられる。そんな想いが俺を急かしていた。気づけば俺は城の最深部に来ていた。ゆっくりと扉を開けると目の前には檻の中には一年前に攫われた妹のラーナがいた。
「ラーナ!」
ラーナを視界に捉えた瞬間、今まで戦ってきた疲れが吹っ飛んだ。俺はラーナに駆け寄ろうと足を動かした。ラーナは俺に気がつくと呆けた顔をしてポツリと呟いた。
「兄、さん?どうし、て?」
ドンっと体が押されたかと思うと俺の胸には剣が生えていた。足元は血だまりができており、体がうまく動かせない。
ーーー熱い、なんだこれ
すでに力の入らない体をなんとか動かし、後ろを振り返ると、三日月のような笑みを浮かべた魔王がそこに立っていた。
ーーーおまえか!絶対に殺してやる。
ラーナとの再会を邪魔された俺は怒りと妹への愛情だけを胸に聖剣を横に薙ぐ。すると魔王の首が落ちた。俺は朦朧とする意識の中で首のなくなった魔王を見る。
ーーー終わったんだ
ラーナは泣いていた。自分の心配をしてくれているのだろう。そんな妹に愛しさを感じ、つい妄想してしまう。妹と一緒になりたいと。そのまま俺は妹の涙と一緒に光となって消えていった。妹の怨嗟の声も聞かずに。
ライン・ディクレインは重度のシスコンでした。
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視点変更
ーーー天界
所謂神様や天使なんかが住んでいる場所のことです。みんなは比較的仲が良く喧嘩などもほとんど起こらない、平和な世界でした。そんな天界には序列というものがあるようで、誰が神様の近くで働くか、天使たちは毎日競っていました。私は天使の中で特に幼かったが、漠然と神様の下で働きたいと思っていました。でもお姉様達はイジワルで私が20歳になるまでは神様のもとで働いてはいけないんだって。
ちなみに20歳の理由はどこかの世界での大人とみなされる年齢を基にしたんだって。
私は今、お姉様に下界のシステムのコントロールの方法を教えて頂きながら機械を操作しています。機械の画面には人の情報、環境、社会的地位などが細かく映し出されています。あ、ちなみに雑用です。
うーん、なんでこんなにも情報が多いのー?たった一人じゃん。2行くらいの情報でいいじゃん。もー面倒くさい。ん?
私はある人の情報のところで辺なスイッチのようなものがそばにあることに気づいた。
ーーー押すな
赤いスイッチで押すなと書かれていた。瞬間私は押したい衝動に駆られました。
なに、これ。すごい押したい。押したらなにがおこるのかな。
私はワクワクしながら手をスイッチの方に向けた。
お姉様についてはよそ見をしてーーというか彼氏と話していて見ていなかった。つまり、この悲劇?は誰にも止められなかったのでした。
ーーポチッ
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ん?何処だここ?
僕の眼前には緑が広がっていた。青い空、白い雲そして一面の草原とファンタジー世界にありがちな、世界樹っぽい巨木が一つ。あーこれ天国だな、だって屋上から飛び降りたし、紐なしバンジーだったし。
とりあえず巨木のところまで行ってみるか。だらだらと僕は巨木に向かって歩き出した。
するとすぐに野生の〇〇が現れた!みたいな事はなく、穏やかすぎる日差しにあたりながら巨木の根元まで辿り着いた。
「ふぁーあー」
眠い。23時は普段はベッドに潜ってる時間だ。眠くないはずがない。僕はそのまま巨木を背にして目を閉じた。
視点変更ばかりで申し訳ないです。
読んでくださった方々には心より感謝します。
ありがとうございました。
毎週月曜日更新予定です。