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79話 『ステータスの確認』

 下り道は登りより早く進めて気持ちが良い。調子に乗って走ったら転げ落ちてしまいそうだけど。

 ――集落は相変わらず、静かなままだ。セナさんが物語の制御ができても、ここの集落の人たちを少しでも長く生かすことはできなかった。あの三か月は、私達の時間だけが止まっていた。カグラさんにとっては、何もできなかったことが、心残りで、悔しくて悔しくてしかたないだろうと、私は思った。

 私は大きい家に行き、そこから地下に降りて行った。

 下についてから、途中で、私はブックを開き時刻と自分のステータスを確認した。

 時刻は十時。少しゆっくりしすぎた気もする。作戦会議は午後から開くとしよう。皆もそろそろ目が完全に覚めるころだろうし。

 ステータスは……? いつの間にレベルが二十七に……そろそろ次の装備品が装備できるようになるぐらいまできてしまった。二十一レベル装備のワンピースとかどこで装備するのって思ってたけど、本当に装備しないまま終わってしまうかもしれない。今度ワンピースのお墓でも作ってあげようか。

 私は、表示されたスクリーンを下に向かって目を動かしながら見た。

 そして一つ、可笑しな部分に気が付いた。


「あれ、私の魔力がちょっと減ってる。しっかり寝たし魔力回復薬も……」

「どうしたの?」


 ポーチからひょっこり顔だけを出してきたセナさんは、私のステータス画面を見た。


「MP変ね」

「最大値が百四十七なんだけど、知らぬ間に半分くらい消費されてたよ」


 セナさんは首を傾げて、頬杖をついた。


「私といた時は何も使ってなかったし、バグだとしてもこんな初歩的なステータスのプログラミングを間違うはずはない。ありえるとしたら、誰かに吸収されたとかね」


 そんな! 私もセナさんも誰にも会ってないし誰かと接触した覚えもないのに、勝手に魔力が吸収されているなんて、謎現象! 怖すぎる! 魔力吸収以外の危害を加えられなかったことを不幸中の幸いだと思うしかない。


「もしかしてあの時の……」


 私は、北に行ったときに感じた視線や寒気の事を思い出した。あの時に魔力を何者かに奪われたと考えるのが妥当だろうと思った。


「原因や実行者が曖昧なんじゃ考えてもキリがないわね。まずは皆と合流しましょうか」

「うん」


 私は家の中に入り、リビングに入った。リビングには誰もいなかったが、食器は全て表れていた。水洗いだったのか、まだ油でベトベトしていた。たぶん、カグラさんかお兄ちゃんが洗ったのだろう。メルちゃんは脂が取れるまで洗うタイプだった。

 おそらく各々の部屋に籠って寝そべったり、座って飲み物を飲んだりしているかもしれないと思い、私は二階に上がって、まずはカグラさんの部屋から見に行った。

 部屋の中にカグラさんの姿は無かった。

 ベッドの下とか、カーテンの裏とか見てもいる気配すらない。カーテンの裏になんているはずないけれど。

 私はメルちゃんの部屋に行った。

 扉を三回ノックしてメルちゃんが「どうぞー」と言ってから入った。メルちゃんは部屋にあるイスの上で本を読んで座っていた。


「あ、なつめどうしたの?」

「カグラさんはどこに行ったのかなって」

「カグラは村長さんの家に行くって言ってたよ」

「ほうほう、ありがとね。ちなみに、それは何の本を読んでいるの?」


 メルちゃんは本に指を挟み、本の表紙を見せてくれた。本の題名は、『ルナセスサーカス』というものだった。話を聞いてみると、とある一人の奇術師がサーカス団に入り、始めは皆にバカにされてきたものの、努力の末にサーカスの頂点まで辿り着いたという逆転ものの物語の小説らしい。本は、自分の家の図書室から持ってきたのだとか。昔から何度も何度も読んでいた本で、もう何百回も繰り返し読んでいるらしい。そんなに面白い物語なのだろうか。


「今度私にも見せてよ。読んでみたい」

「いいよ!」


 メルちゃんは笑顔で頷いた。

 それから私は部屋から出て、お兄ちゃんの部屋には寄らずに家を出て村長のいる家に向かった。

毎度話が短いかいのに話数だけ多いですね。いちいち題名つけるのに苦労するんですよね。

次話もよろしくお願いいたします!

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