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70話 『ボロボロの男の子』

「ここのスイッチを押してっと……お、消えた消えた」


 上に出るために、暖炉の火を消して出て行った。村長の家から出ると、外は夕日のオレンジ色に染まっていた。土の香り、外の空気、ちょっと強い風、地下に数時間いただけでも、地上が懐かしく感じる。

 さて、食料はどこにあるんだったっけかな? 沢山あるとは言ってたけれど、肝心の場所を聞いてないじゃない! もうマヂ無理……そこらへん散策しよ……

 村の中を歩き回ってみる。畑の作物は枯れ、殆どの家は所々壊れている。腐食も進んでいるし、ここってどれくらい前に襲われたんだろう。それか、破壊、腐食効果を持つ魔法やスキルを持つ敵がいるかなんかか……

 あーそういえばセナさんどっかいった! あの時メルちゃんが吹っ飛ばした方向は北だから、丁度山の方方角だ。

 ちょっと探してみようか。

 私は村から山に更に上るための道を探し、その道に沿って歩いて行った。もちろん灯りなんてついているはずがない。探すのに手間がかかりそうだ。食料もね。


「おーい、セナさーん。どーこーでーすーかー?」


 大声で呼びかけても反応はない。やはり相当遠くまで飛ばされてしまっているようだ。探すの手間取りそう。もうやめよっかな。

 私は道を歩きながら考えた。

 セナさんのこの世界での姿も見たことはないし、なんだかそこまで信用できてないし。そういえば、セナさんのタレント、途中から変わったとか何とか言ってたっけかな。元々は人間に効果のある反射攻撃だったんだっけかな。どうせ自分のシステム情報を書き換えたのだろうけど、異世界で人間の敵から味方になるってそういうことなんだろうな。

 ――だらだら歩いているうちにだいぶ暗くなってしまった。魔法で光を灯そう。


「ライト!」


 私の頭の天辺にスライムみたいな光るプヨプヨが乗った。手で触ってみた。柔らかくてゼリーみたいだ。

 あれ、こんな魔法だったっけ。私がマグさんと戦った時は、丸い物体が光を放っているように見えたのだけれど、実際はこんなぷよぷよな物体だったんだ……。

 頭が光るのは少々物申したい所なのだけれど、魔法で造ったものなんて感情があるわけでも話せるわけでもないだろうし、云っても意味ないよね。あー重い。


「ぉぃ」


 どこかから小さな声が聴こえる。東の方角かな。男の子っぽい声だった気が……


「おいってば! ここだよここ! お前の目の前にある岩の上だよ!」


 言われた通り、目の前を目を凝らしてみると、小さな男の子が立っていた。顔色は悪く、シャツとズボンは傷つき破れていた。


「ちっちゃすぎて分かんなかったよ。僕、ここにいたら危ないよ? 最近物騒だし」

「俺は大丈夫なんだよ。それよりさ、お前が探しているのって、コレか?」


 そう言って、今まで後ろに隠していた手を前に出した。その手には、白くて長いものが握られていた。

 ウサギの耳だ。

 体はなく、耳だけが千切られていて、白い綿が切り口から出ていた。


「それは……!」

「ほら、返してやるよ!」


 その男の子は持っている耳を私に投げつけてきた。


「体は、体はどこに……!」

「さぁ? そこらへんに落ちてるんじゃない? まっ、探してみろよ。雑魚のお嬢ちゃん」


 このクソ餓鬼……!


「さて、俺はやることがあるから戻るとするよ。また、会う時がくると良いね。その時は、お前の命日だと思え」


 その男の子は、黒い霧を出して高笑いをしながら消えてしまった。

 もしかして今の子って……

 それはそうと、今はセナさんだ。そこらへんに落ちてるかもしれないし、早く拾って今の子のことを皆に伝えなきゃ!


次話もよろしくお願いいたします!

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