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65話 『意味のある迷路なんて無かった』

 ここまで深いと酸素不足にならないのかなー。どっかからか供給でもしてるのかなー。それとも人間が吸う空気事態違う素なのかなー。いやそりゃないない。私たちがここの空気を吸って生きていけるのだから、そんなことはないか。


「で、カグラさん。いつ頃着くんですか? もう五分はこの狭い通路を歩いていると思うんですけど」


 カグラさんに訊いた。


「もうすぐなのだ」

「そのもうすぐを具体的に聞きたいんだけども」

「そうだな……できれば少し離れたところで行いたいところだったのだが……致し方ない。ここで使わせてもらおう」

「はい?」


 カグラさんが突然刀を掲げた。


「我が刃ここにあり。我に深道の解を導き給え!」


 私たちの前にある通路がどんどん変わっていった。今まで完全に一方通行でまっすぐの道のりであったのに、道がいくつもに別れた。もはや迷路と化しているのでは! さっきよりも面倒になったのでは!?


「カグラさん、これってどういう……」

「今までが迷路だったのだ」

「はい?」

「いやいや、どう見てもさっきのが一方通行の直通でこれは人を迷わせるための施設だろ」


 お兄ちゃんは真顔でそう言った。


「そうだと思うだろうな。普通なら。でもな、あれは簡単に言うと、『答えがない一方通行の迷路』だ」

「意味わからん……」


 私もまったくその通りだ。


「あ!」


 何かに気づいたようにメルちゃんが唐突に声を発した。


「どうしたのメルちゃん!」

「それってつまり、無かった在る迷路を迷路としてちゃんと復元させたってことだよね?」

「そうだな」


 高度すぎる会話に全くついていけない。

 きっとお兄ちゃんも唖然と……してない!? 悠々と首を上下に激しく振っている。あれは理解をしている動きと言うのか、それともアホらしく分からないことを誤魔化そうとしているサインなのか、いやもはや何のサインなのかすら分からない!


「でも、これは迷路ではない。答えが完全に決まっている迷路だ。わっちの剣に従っていけばすぐつく。ざっと十秒ってところだな」


 カグラさんは得意げに大笑いした。普通に攻略しようとしたらどこまで続くか想定もできない迷路に、その笑い声はどこまでも響いていった。

と、いうか、十秒でつくんだったら今までの移動は何のための!? ましてや私たちの目の前にある三方向に分かれた分岐点は一体……?

カグラさんが掲げていた刀の先を前に出すと、一本の光輝く線が道を示しだした。三方向の道のうち、その一本の光の筋は右の道を、露骨すぎるくらい矢印で主張するし、繋ぎ文字で『こっちだよ』って書いてるし。主張が激しいし。しかも字が地味に下手だし!


「これに沿っていくとすぐ着けるぞ。なんたって解がすぐ分かる迷路だからな、はっはっは」


 カグラさん以外みんな苦笑いしている。

 まっ、いいや。とりあえず行くことにしよう。ここで立ち止まっていても全く意味がないし。

 私は十字路のド真ん中に立ち、右の通路を見た。


「これは……」


 そこには、扉があった。

 鉄でできた扉だ。でも、鍵穴がないドアノブがついているだけで、防犯意識は皆無と見た。それにこれ、言うなれば迷いようのない迷路だ。迷路である意味のない迷路だ……

 他の道は奥まで続いているらしい。むしろ他の道に行ってどこに辿り着くかが気になるところだけど、どうせ後で『あー、無駄だった。やっぱ灯台下暗しってサイキョー』って言うことになりそうだからやめておこうね。


「では行こう」


 カグラさんは私の横を通り抜けて、右の扉の前に立った。


「人はそれ程いないと思うが、今日はここで一晩を過ごすことにしよう。さすがに今日は遅すぎるであろうし、皆も疲れていることだろうしな」

「そうだね。作戦会議とかも少ししたいしね。相手の情報ゼロだけど」

「そうだね。私もちょっとゆっくりしたいし」

「あ、俺も俺も。久々にゴロゴロしたい」


 このバカはいつまで経ってもゴロゴロすることしか考えない。


「ではようこそ、私たちの村、サンソンに」


 そう言って、カグラさんが扉を開けた。

お絵描きしていて更新を忘れていていた模様です。だから更新が遅くなりました!

次話もよろしくお願いいたします!

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