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48話 『初級魔法を覚えよう』

 廊下の窓からも外の光が入ってくる。昨日よりも空が澄んでいるのだろう。

 私は階段を降り、昨日夕食を食べた部屋に向かった。

 部屋に入るとやはりみんな揃っていて、悠々とお茶していた。

 どうやらもうお昼を食べ終えたらしい。私とセナさんが話している間に食べたのだろうか。私はメルちゃんの隣に座り、机の上に置いてある皿に乗っていたパンを見る。

 黄色いジャム……? そういえば、ジャムで思い出した。今マミさんってどうしているのだろうか。

 私たちを送り出してくれたのはいいのだけれど、酒場、最近イライラしている人が来たりして荒れていたから心配である。


「あ、なつめさん。こんにちは」


 マグさんがイスに座った私に話をかけてきた。

 ——まさか今気づいたの!?


「あ、こんにちは」


 私はパンにジャムをつけながらマグさんに挨拶をした。レモンのような、甘くて酸っぱい匂いが鼻の中に入って来る。


「今日十九時頃戦いましょうね。それまでどうにか時間潰してきて」


 そう言い、マグさんは部屋から出て行ってしまった。

 これから夜までどう時間を潰そうかな。

 そういえば昨日——正しくは今日かな……? お兄ちゃんがメルちゃんに魔法を教えてもらったとか何とか言ってた。私も少し教えてもらおうかな……


「メルちゃん。私に魔法教えてもらえない?」


 メルちゃんはティーカップで紅茶を飲みながら、私の方を向き、にこやかに笑った。


「いいよ! じゃあ、なつめが食べ終わったら行こっか!」


 私は頷いて、すぐにパンを食べた。

 それから、椅子から立ち上がり、メルちゃんに連れられて、夜中に行った書斎のような部屋に入った。

カグラさんは庭で体を少し動かしてくるとかで、お兄ちゃんは部屋でゴロゴロしてると言っていた。まあ心配することはないだろう。

 部屋に入り灯りをつけると、メルちゃんが本棚から赤、紫、緑の分厚い本を三冊取り出し、長い机に広げて見せてきた。


「これ何て書いてあるの?」


 メルちゃんに訊くと、メルちゃんは、夜中はあまりよく見えなかった綺麗な椅子に座り、本に書いてある内容を読み始めた。


「これは『ファイヤ』。魔力を消費して火を創り出す魔法だね」


 私はメルちゃんの持っている赤い本を覗き込むと、メラメラ燃えている小さな火の玉のようなイラストが、薄茶色くなった紙に描いてあった。

 メルちゃんが次のページをめくると、次は先程よりも少し大きめの火の玉が描かれている。おそらくファイヤの上位互換魔法だろう。


「基本的に攻撃魔法は一から三段階目まで、補助魔法は一から二段階目まであって、それぞれ上位下位が決まってるんだ。一応上位の魔法を覚えても、それまで覚えた魔法は使えるよ。ただそれぞれレベルの制限があって、使える魔法、使えない魔法があるけれども……あっ、でも回復魔法は難しいから、なつめの場合だったらレベルアップで覚えた方が楽だと思うよ」

「へえ……」


 頭がこんがらがってきそうだ。


「ちなみにね——」


 メルちゃんは紫色の本を手に取って、本の最後にあるページを開いて私に見せてきた。

 虹色の壁のようなイラストが描いてある。これはどのような魔法なのだろうか。


「今の私たちじゃレベルが足りなくて使えないけど、この魔法は『ジルドー』って言って、あらゆる攻撃を少しの間完全に防ぐ魔法なんだよ。ただレベル制限が二百九十四レベルだから、私たちじゃ絶対に無理だけどね」


 そう言い、メルちゃんは笑った。

 あらゆる攻撃を防ぐ……使ってみたいけど、確かにレベルが桁違いだ。

 しかし、今でも謎であるゲームでよくある、百レベルという大人の事情制限が無いってことに私は期待感が生まれている。

 ……少しだけだよ?


「とりあえず、初級魔法から覚えよっか」


 それから初級魔法を全て教えてもらい、庭に出て魔法を練習した。

 火魔法は家の外であれば使っても大丈夫とメルちゃんが言っていたので、心置きなく魔法の練習ができる。

 マミさんから魔力回復薬を九百九十九個もいただけたから、MP切れを心配することはない。

(実はマミさんの魔力回復薬七十パーセントオフと言う衝撃的な言葉につられて、ついつい大人買いしてしまった)

 まあ九百九十九個で数万ギフだったし、全然良い方だと思う。一個で百くらい回復するらしいし。

 ……所持金四分の一くらい消費したけれども。

 その後、私は休憩を途中途中に挟みつつ、カグラさんが刀を振る練習をしている隣で、メルちゃんに指導してもらいつつ、夕方まで魔法の練習をした。

 初級魔法は全部完璧にできるようになった。


そろそろ勝負しましょうよ、ね!

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