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42話 『作戦会議 ②』

来年度まで1500文字程度と、短めになります。

「ねえお兄ちゃん?」

「なんだ」


 少々気になることがあり、お兄ちゃんに話をかけた。


「何でカグラさんとお兄ちゃんって、依頼やってたはずなのにそんなレベル差があるの?」

「いや、これは、その……」


 お兄ちゃんは苦笑して、目を私の顔から逸らした。

 何やら事情があるらしい。


「なんで?」


 私はちょっと強めに、少し圧を加えるように言った。

 お兄ちゃんは依然目を泳がせ続けている。これは確実に聞き出す必要があるみたいだ。

 お兄ちゃんがいつまで経っても口を塞いだままで、喋ろうとしないので、カグラさんに訊こうと思ったが、いつの間にか顔面を机にベタっとつけて寝ている。


(ええ…………)


 私は仕方ないと思い、最終手段として、ある方法をとった。


「言わないとお兄ちゃんの過去全部暴露するよ?」


 目を細くしながら、私は最後の手段【暴露話】を持ちかける。


「いやいやいやいやいやいやいやいや! そりゃないでしょ!」


 お兄ちゃんは私を必死に止めようとした。


「なら言ってよ」


 私は最後の押しをかける。するとお兄ちゃんはため息をつき、頭を抱えながら話を始めた。


「えっとな……実は、魔物の討伐はカグラに任せて、俺は町で……ペット探ししてました」

「……はあっ!?」


 つい大きな声が出てしまった。

 が、私たちが酒場で頑張っている間、まさか何十日もペット探しをしていたというの!?


「いや最初はさ? 一緒に魔物討伐してたんだけどさ、何か疲れてきて、段々楽な方に、楽な方に行った結果、俺だけペット探しに辿りついたんだ」

「……カグラさんは何も言ってなかったの?」


 カグラさんは依然、机に顔をベタっとくっつけたままでいる。

 お兄ちゃんはまた黙り込み、下を向く。


「それがさ……『わっちの事は気にしないでいいぞ! 結局依頼は依頼だからな!』、って言ってくれてさ」


 と、お兄ちゃんは言った。

 なるほど、甘えさせられたのか。私のお母さんと同じっぽい。

 甘えを許すとどんどんどんどん人間の終わりに近づいていくんだよねえ……やっぱ甘やかすのは良くないよ。


「ペット探しって、何探してたの?」

「犬とか猫とか兎とか」

「へえ……」


 何か可愛い動物ばっかりでずるい。

 汗水流して働いてきた私たちの苦労も知ってほしい。

 それと私もペット欲しい。猫とかすんごく癒されそう。


「……今度猫飼って」

「嫌です」


 澄ました顔で即行否定された。


「まあいいや。とりあえず作戦決めよ」


 私は寝ているカグラさんと、気持ち良さそうに仰向けで寝ているメルちゃんを何とか起こして、何とか改めた。


「えーでは、まず私から訊きたい事があります」


 私は手を挙げてメルちゃんの方を向いた。


「メルちゃん。マグさんのカードはどんな感じでできるの?」


 メルちゃんは一回欠伸をしてから、眠そうに目を瞑って話を始めた。


「カードには、【やまふだ】と【てふだ】っていうものがあるらしくてね、やまふだの方は六十枚まで、てふだの方は五枚まで持てるんだって」

「ふむふむ……他にはない?」


 私はまた訊いた。


「確か五枚は全部属性が別で、火を除く、水、風、地、光、闇の五つだって前言ってたよ」

「なーるほど」


 カードは六十枚、別属性で五枚出てくるってことは、一つの属性につき十二枚山札に入っているという事?

 昼の光景を見ると、おそらくカードの発動は一枚ずつ……

 カードには回復魔法は無いと見た。一々カードにしなくとも唱えられるだろうし。

 それに一瞬でカードは作られるから隙はほとんどないだろう。


「お兄ちゃん何か思いつかない?」


 私はお兄ちゃんに訊いてみる。

 しかし、首を左右に振っている。どうやら思いついてないらしい。


「カグラさんは?」

「わっちには何も思いつかないのだ」


 カグラさんもまた、お手上げらしく首を振っている。

 メルちゃんにも聞こうとしたが、何かぼーっとしている。


「あーーっ! もう一つあった!」


 ぼーっとしていたメルちゃんが何かを思い出したかのように、机を勢いよく叩いて立ち上がる。


「お母さんカードを五枚作るのは早いんだけど、六十枚全部作るのには時間がかかって、その上、やまふだを全部作った後は、何か『動きが遅くなる』んだよね。魔力が膨張しない為とかなんとか言ってたかな……」


 メルちゃんは私の方にガッツポーズを送る。

 メルちゃんは何かに満足したらしく、嬉しそうにして床に座った。

 カードを作ることで行動が遅くなるのなら……

 

「私、一つ、簡単な事だけど良い事思いついたよ」

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