表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引きニートの兄を更生させるために異世界転生  作者: 桜木はる
第1-2章 【チュートリアル】
41/232

36話 『元勇者の一人はやっぱ強いね!』

 そうだ、一昨日の盗賊……見られると、震えたくもないのに、脚が竦んで動けなくなってしまう不思議な現象が起こる。恐らくこいつのタレント能力だろうけど、かなり厄介なものである。


「一昨日の盗賊……!」


 盗賊は歩くのを止め、私の方をじっくり見る。


「そうさ……お前らにやられてから、何とか町に戻ってきて、後をつけてみたら、湖の上に立ったりとか訳分かんねぇことしやがる。だが、お前等が湖の上でいきなり消えてから、湖の上を歩いてみれば、変な花びらが落ちててな、変だと思ってよーく顔に近づけて見ると、頭がぐらっときて、目を開けた途端この家が現れたって訳よ」


 盗賊はニヤニヤしながら話した。後を着けられていたなんて……もしや姿を消すスキルでも使っていたのかな。町を出てからここに来るまで全く気付く事が出来なかった。


「仕返しのついでに、ザル警備すぎるこの館の高そうな物は貰ってく。どうせこの大陸で俺の【目視戦慄】に敵う奴なんていないだろうかならぁ! そこで俺が出て行くまで震えあがってな! 」


 震えているメルちゃんを強引に引きずり、私たちの事を見ながら後ずさりをしていく。

 私もスリルさんも脚が竦んでしまって、歩く事が出来ない。立ち上がりたいのに……立ち上がりたいのに立つ事が出来ない! このままじゃメルちゃんが……


「……罪で汚した手で私の愛娘に触れるんじゃない……!」


 マグさんが凄い剣幕で盗賊を睨みつけている。その目は真っ赤に染まっていて、怒りを露わにしているようだった。


「どうせ俺に、八十七レベルの俺に敵わねぇんだからよぉ……そこで大人しくしてるこったな。はーっはっは!」


 盗賊は口を大きく押っ広げ、得意げにバカ笑いして言った。マグさんですら敵わないというのだろうか……

 さっきからその場を全く動いていない。でも、脚が震えている様に見えないのは私だけかな……? 

 てか、もう! こんな時に何でカグラさんもお兄ちゃんも寝ているの!?

 カグラさんは仕方がないとしても、お兄ちゃんは助けに来るべきなのでは!


「そんなクソ雑魚タレントが何だって……? まさか自分がこの大陸で一番強いとでも思っちゃってんの……? それともう少し、周りを見ようか」

「…………なんだ?」


 いつの間にか、盗賊の周りには4枚のカードが浮いていた。さすが元勇者! やっぱこんな87Lvの盗賊に負けるはずがないよね! 


「何をするつもりだ! こ、こいつを殺してもいいのか!」


 メルちゃんの首元に更に近く刃物を近づけ、追い込みを入れようとする。しかし、マグさんは動揺している様子を全く見せず、ぶつぶつと何かを唱え始める。


「一枚目」


 盗賊の右上に浮いている黄緑色のカードが光を放ち、粉々に砕ける。カードから放出された光が、鋭い刃物状に変わり、盗賊の、ナイフを持っている手を風の様に切り裂いた。


「ああぁぁっ!」


 盗賊は悲痛な叫びをあげあげ、ナイフを放した。生々しい血液が垂れている左手を右手で抑える。そのおかげで、メルちゃんは盗賊から解放された。


「二枚目」


 マグさんがそう言うと、盗賊の左上に浮いている黒いカードが、黒い閃光を放ち、黒煙に変化する。その黒煙はメルちゃんを包み込み、マグさんの隣にメルちゃんを運んできた。


「三枚目」


 盗賊の右隣に浮いているカードが鮮やかな水色の砕け散る。少しひんやりとした風が流れてきたと思うと、盗賊の周りが凍える様な冷気に包まれ、盗賊の体が完全に固まった。


「四枚目、エンド」


 盗賊の左隣に浮いている茶色いカードが、盗賊の体より大きくなり、盗賊の全身を覆い、そのまま固まって、大きな岩となった。

 ……私は一体何を見ていたのだろうか。目の前で起こった一部始終が全く頭の中で理解出来ない。それにカードがいつの間に盗賊の周りに……? 


「スリル、この醜い『物』を海に沈めてきて頂戴」

「分かりました……」


 スリルさんは立ち上がり、この館にそぐわない、不釣り合いな人型の岩に近づき、軽々と持ち上げて、玄関の扉から出て行った。

 私は、ほんの少し震える脚を、一昨日と同じ様に手で支えながら何とか立ち上がる。メルちゃんはまだ恐怖が取れないらしく、震えながら倒れたままでいる。マグさんはメルちゃんの体を横抱きし、心配そうにメルちゃんを見ながら、階段を上っていく。


「あの……」


 私はお礼を言おうと思い、階段を上っているマグさんに話をかけた。


「あ、ありがとうございます……」


 マグさんは立ち止まり、私の目を金色の目で見つめる。あれ? さっきは赤くなっていた様な気がしたけども……静かにじーっと見つめてくるので、さすがに恥ずかしくなってきて目線を下に逸らす。


「……ねぇ」


 マグさんが静かな声で私に話をかけた。


「は、はい……?」


 私は恐る恐る返答をした。正直心の中がヒヤヒヤしている。


「……あなた……誰? いつからそこにいたの?」

「……え?」


 予想外の質問だった。

 今まで気づいてなかったのかぁ。


ギリギリ2000文字になりませんでした。後47文字でした。頑張りました。深いためはぁぁぁぁ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ