31話 『ゲーム三昧の女神サマー』
短め。
数分後、本当にセナが目覚めた。
「あら、おはよう杏果」
「え、あ、おはよう……」
「そんじゃ、私は行ってくる。鍵はどこ?」
「机の上」
「あ、ほんとだー。じゃ、行ってくるね~」
起きたばっかりなのに、もう行ってしまった。
これからどうしようか……。
そうだ、もらったゲームを遊ぼう。
VRゲームは初めてだから、最後に遊ぶとして……。
まずはサンタからもらったゲームを全部やってしまおう。
今日はゲーム三昧になりそうだ。
そうして、数時間の時が経った。
ゲームシステムが分かりやすく、最近マイブームの戦略性ゲーム。
とりあえず、シナリオはある程度終わらせた。
さて、次はVRゲームに移ろう。
このDVDディスクをパソコンに入れて電源を入れ、次は頭に機械をつける。
……お、おぉ!
これがパッケージの説明文に書いてあった大自然!
ザ・森。
目の前にはエルフの少女が一人いる。
茫然と立ち尽くして、私の顔を見ているようだ。
――ガサガサ。
ピュー、ピュー!
す、スライムだ。
スライムが出てきた!
【魔物が出てきました。目の前にいるエルフに指示を与えて、魔物を倒しましょう! ちなみに、コマンド方式でも、声でも指示ができます】
急にメタいな。
「えと、じゃあ、攻撃!」
「え、え、え、急に言われても武器が……何かありませんか?」
「えー……」
スライムの攻撃:【その場で跳ねる】
【言い忘れていました。武器はご自身の道具箱の中に入っています。今回は特別に木の剣を支給します! どうぞ、そこのエルフちゃんに渡してあげてください!】
肩には、いつの間にか道具箱がかけてあった。
中には木の剣が一本。
戸惑うエルフにそれを手渡すと、スライムに目掛けて剣を投げた。
ぷにゅっ!
絶対に使い方は違うけど、まぁ倒せたからいいかな。
「や、やりましたよ! 女神サマ!」
私の手をとって目を輝かせる。
とても喜んでいるようだ。
すごい、手の感覚まである。
柔らかい触感が神経を伝ってやってくる。
【従えたエルフは訓練をすることによって強くなり――】
と、その後は長い説明がいくらか続いた。
そうして、エルフたちが過ごす小さな村にやってきた。
それから、私は数々のエルフを従えて物語を序盤をクリアした。
この物語、想像以上に長いらしく、最大のエルフ数は1万を超える。
やり込み要素も相当あるようだ。
ちなみに、エルフの信頼度や好感度を高めることができ、それによって物語分岐がある。
強気のエルフ、弱気のエルフ、幼いエルフ……。
色々いる。
皆それぞれ、得意分野が不得意分野がある。
得意分野だけを訓練しても弱くなり、他を補おうとすると火力乃至回復不足に陥る。
ちなみに、訓練し直しもできるという。
バランスのとれたゲームとはこのことだ。
今じゃ珍しい。
「女神サマー! 見てください、このカブトムシ! ちっちゃくて惨めで可愛い! 人間国の愚民みたい!」
最初のエルフ少女が一番ヤバイ奴だった。
でも、ステータス全般が全エルフの中で最高値。
そして好感度、信頼度共にいつの間にか100%。
つまり、チョロかった。
さて、ゲームの世界ではやっとのことで一日が終わった。
もう寝ることにしよう。
そうして、ゲーム内で急遽作った家のベッドに横たわった。
本当に、この世界に自分が入ったみたいだ。
本当に眠くなってきた……。
…………。
「おやすみなさい、女神サマ……また明日、会いましょうね」
そう、耳元で声が聞こえたと同時に、視界が暗くなった。
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次話もよろしくお願いいたします!




