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引きニートの兄を更生させるために異世界転生  作者: 桜木はる
第2-3章 【気分をあげていこう】
166/232

152話 『私の出来事』

☆★☆


 私が気絶している間に、関係者以外非公開の裁判が行われた。

 罪状は、『叛逆』。

 シドモンに付いていたカイシェル三兄弟に手を出したからというよりも、自身よりもランクの高いものに逆らったという内容での叛逆だった。

 叛逆はこの大陸では最も重い罪らしく、一回の判決で処罰、つまり処刑が決定されるとか。

 カースト制度を最高に悪くしたような、そんな話。

 そのおかげで、シドモンの不可良で裁判の行方が決まってしまうらしく、弁護人側は全く手出しができず、裁判をするとなると、有利であろうが不利であろうが全て負けてしまう。

 それで、私の時も、お兄ちゃんたちが弁護側についたけど、結局何も言い返せず、そのまま私の刑罰が決まってしまった。

 その後、すぐにテイシング監獄島に連れられて、あの牢獄に入れられた。

 ちなみに、その間お兄ちゃんは、裁判が終わった後からずっと外に出ず、テントの中で蹲っていたみたいで、どこかしらで私が処刑されるという話を聞き、今度は毛布の中に隠れて現実逃避を始めた。

 シルエさん、ガイザーさん、双子の二人、マミさんも、あのエミさんですら気を使って、お兄ちゃんには話をかけないようにしていたらしい。

 そして、テントの中に異臭と負のオーラが瞬く間に広がり、芸の道具は殆ど外へ、食糧も、お兄ちゃんの分以外は外に出した。


 それから一週間と一日後、私がここに帰ってきた。

 それが今日で、昼頃に帰ってきたが、私はぐったりとしていて、とても安全な状態ではなかったらしい。

 昨日に、テイシング監獄島から脱獄者が出たとの知らせがあったが、私やシーゼルの名前は伏せられ、脱獄者がいたことだけが知らされた。

 その話を聞いてあと、私が帰ってきて、脱獄者は私だと確信した。

 シーゼルの方は、私とマミさんは認識があったが、シルエさんたちは顔も合わせたことがなかったため、最初は困惑したとか。

 その後、マミさんが色々とカフェでシーゼルと出会ったことを説明し、事情を理解して、快く受け入れた――。


☆★☆


 シルエさんの口からはそんな風に経緯を伝えられた。


 「まだ体が完全に治りきっていないから、今日は休養所で休むことにします」


 私がそう言うと、「では、休養所の管理人に伝えておきます、ゆっくり身体を休めてきてくださいね」と、シルエさんは立ち上がり、管理人がいるという白いテントに向かって歩き出していった。

休養所に戻ると、シーゼルかシルスかは分からないけど、鼻提灯を膨らませて、気持ちよさそうに寝ていた。

 私は自分の入っていた布団に潜り込んで、枕のある方から頭を出した。

 これから、シーゼルやシルスさんと、どう過ごしていこうか。

 名前を公表していないという事は、恐らくあっちから私たちを捕まえにやってくるはず。

 もしそうなったら、皆に何かしらでも迷惑がかかるだろうし、お兄ちゃんだって、今より悪い状態になるに決まっている。

 この町からエルフが突然いなくなったことは、町の人には伝わっているだろう。

 シドモンがあのカフェにやってきたことだって色々な人が知ってるだろうし、きっと、他のエルフたちが皆処刑されたことも……。

 そうなると、シーゼルという名のエルフがいることに違和感を持たれ、不信感も持たれてしまう可能性がある。

 シーゼルがエルフだという事を誰にも悟られない為には、エルフの特徴的な部位である耳、白い肌、顔立ちだって、微妙に生えている蝶のような青く透き通った羽根も、色々と隠さないといけない。

 本当は、どこかでシーゼルを匿ってくれる所があればいいのだけれど、私はこの町に来たばかりで何も分からないし、知り合いだっていないし、信頼できる人すらもいない。

 むしろ、信用できない人の方が多いような気がする。

 この大陸のシステム上、そう思わざるを得ない。

 明日早朝、シーゼルに似合いそうで、変装にぴったりな服を買ってこよう。

 この際、最悪マミさんから買ってもいい。

 あの人ならたぶんそういう服を作れる。

 半年くらい同じ服装で、ファッションセンスは皆無かもしれないけど、耳を隠す装備品くらいは作れるはず。もし、装備屋でいい服が見つからなかったら、マミさんに頼ろう。

 あとは、シーゼルがどれくらいで昏睡状態から回復できるか、それもシルスさんに訊かないといけない。

 今後について、シーゼルと色々と話をしたいから、早めに回復してくれると嬉しいのだけど……。

 シーゼルの身体を酷使してしまったこと、私の反省すべき点はそこかもしれない。

 今後、もし私がシーゼルの意識を乗っ取るときは気を付けよう。

 これ以上、シーゼルに辛い思いをさせてはいけない、そう思った。

次話もよろしくお願いいたします!

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