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引きニートの兄を更生させるために異世界転生  作者: 桜木はる
第2-3章 【気分をあげていこう】
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146話 『意思は固い』

 地面からいつやってくるかわからないのが恐ろしい。

 目の前にいる敵を、前の三人が薙ぎ払いながら突破する。

 それにしても、魔物が結構いたとは思わなかった。

 鰐のような口をした二足歩行の生物に、空から私たちを追ってくる、頭に角が生え、羽根が四つもある水色の生物、それに、ドロドロとした紫色の体液を口から垂らして近づいてくる、真っ黒い目のスライムのような、そうでないような変な見た目の魔物。

 そのほかにも色々いる。

 パミルではそこまで魔物は多くなかったし、そもそも魔物が友好的だったから、囲まれることはなかった。

 あの大陸では、攻撃したり回収したりしたらそりゃあ怒ったし、なんかよく分からず燃やして倒しちゃった、大きいオークかミノタウロスか高級食材か知らないのもいたけれど。

 このルミーナじゃ魔物がお構いなしに襲ってくるらしい。

 イベントボス的なのもいるし……。

 後から、荒野の大蛇って呼ばれているあの怪物も、倒さなくちゃいけなくなるかもしれない。

 酒場のクエストで依頼があるかも。

 あーあ、どうせなら、なろう系(特に無双系)みたいに、異世界転生してのんびりクエスト熟していきたかったなぁ。

 クエストゆっくりこなしてみたいな。

 今回に関しては旅芸者。ゆっくりできるはずもない。

 ガイルさんの酒場にいた時の頃が恋しい。

 そういえばこのゲームの趣旨ってなんだっけ。


「さぁ姉貴! もうすぐ町だ!」


 そんなことを考えているうちに、私たちは町に着いたらしい。

 私は真正面を向いた。

 

「ってまだまだ遠いじゃないですか! 豆粒程ですよ!」


 巨大なテントや何かしらの家が遠くにぽつんとあるだけで、他に要素がなさすぎる。


「いいや、あとものの数分でつけるだろう! この速さでいけたのなら!」


 強行突破とかいう割に道中にいた関係のない魔物まで巻き込んで蹴散らして行っているから、魔物に恨みを飼われている可能性がある。


 そしてまた、目の前の土が盛り上がり始めた。


「みんな止まれ! 最後の足止めをするぞ!」


 リークの声で、両隣にいた二人が徐々に速度を落として立ち止まり、すぐに動くことができるような構えをとった。

 私もそれに従って、徐々に速度を落とそうとした。

 ただ、まだ全然慣れていないからか、少し躓いて転びそうになった。


『キュカアアアアァァァァァ!』


 荒地の大蛇がまた姿を現した。

 今度は土に隠れず、姿を現したまま、私を鋭い目つきで睨みつけてきた。


「よーし兄弟、さっきのやつを発動させるぞ!」


 さ、さっきのやつって何?

 もしかして、さっきの、あのぐるぐる回っていた時のやつかな?

 三人は少し距離を取り、小さなポーチの中から青色の液体を取り出して、それを飲んでから、リークが一つの石を三人の位置を線で結び、丁度重なったくらいの位置に石を置いた。

 それから、三人は何かをもごもごと言うと、先ほどの液体の色の靄が三人の身体に纏わりつき、少しずつ、中央に置かれた石に集められていった。

 三人から靄が全て消え、中心の石に青い靄が纏まった後、リークは私に「これをあいつの近くに投げてくれ!」と言った。

 私は、リークが投げた意思と石を受け取り、シーゼル(シルス)を降ろし、デカブツ目掛けて思い切り投げた。

 靄の出ている石が、こつんと大蛇に当たった。

 そしてすぐ、医師が眩い光を発し、一気に冷気が広がり、大蛇の身体が凍り付き、大蛇を包む巨大な氷柱が作られ、その周りにいた敵も凍りつき、動かなくなった。

 冷たい風が肌に触れる。

 風を身に纏っているから、益々寒さを感じる。


「これは最近覚えたスキルなんだ」

「……へぇ」


 なんかいきなり説明しそうな雰囲気に入った。


「三人で、水分の染み込んだ繊維を相手に巻きつけておき、水分を固めさせるための液体、『イヤイロ』っていうのを飲み、体内で魔素に変換、何でもいいから、別のものに三人でその魔素を宿させて、敵に投げつけるんだ。その宿したものは、水分の染み込んだ特殊な繊維の絡みついた物体の近くに投げると、魔素が爆発して冷気を放つ。それは、近くに投げるほどその威力は増す。そして、近くにいた物体にも凍結の効果を発揮するんだ。人や俺らを対象外としてな」


 …………。

 (説明ありがとう)


「さあ、いくぞ姉貴!」


 リークは、また私の手を叩いた。

 どうやら、リークの加速の効果は、立ち止まると効果が消えるらしい。

 最初にかけてもらった時より、さっきの方が時間的には長かったことから、そう考えることができる。

 それに、疲労感もそんなにないということは、走る際に生じる疲労感とかも激減されているのだろう。すごい。

 そして、凍り付いた魔物たちを避けながら、私たちはまた走り始めた。

 さぁ、次こそ町に戻ることができる! たぶん!

次話もよろしくお願いいたします!

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