表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引きニートの兄を更生させるために異世界転生  作者: 桜木はる
第2-3章 【気分をあげていこう】
153/232

139話 『誰の声』

本編更新遅れました。

 とりあえず、疲れをとることが大事。

 そういえば、お兄ちゃんとかメルちゃんとか、今頃何してるかな。

 夜だから寝てるとは思うけど……。

 そういえば、裁判がどうたらこうたらとかシーゼルが言っていたような気がする。

 ……こうなってくると、お兄ちゃんの心情が心配。

 ついでに、私たちを助けてくれたあのちびっこ三兄弟も心配。

 あ、そういやあの時、袋の中身がどうたらとか言ってた気がする。

 あとで調べてみよう。


 …………。


「ぐぅぅ」


 シーゼルの鼾がうるさい。

 私は毛布から顔を出し、寝台から起き上がって目をしっかりと開いた。

 ああもう、考え事をしてると眠りにつけない! それと、気になることがあるとついつい調べちゃう癖が!

 私は自分のポーチが掛けてある壁に向かって歩いて、ポーチを手に取り中身を探った。

 ……特に変わったものはなかった。

 元々、ポーチの中には魔力回復薬とか、何かしらの材料とか、読めない本しか入ってなかったし……。

 なら、シーゼルの袋とかは……?

 寝台を見て、シーゼルが起きていないことを確認し、シーゼルの袋の中身を見てみた。

 ……? おや、適当に丸められた紙が入ってるみたい。

 私はその紙を開き、くるまれていた紙の中の数個の粒が落ちそうになったのを、何とか右手で受け取って、紙に書いてあった字を、目を凝らしてみた。

 えーなになに? 『この粒を潰して、俺たちを呼んでくれ、いつまでもつか分からない。頼む』……?

 ……ああ、そういうことね。

 袋のことを言っていたのはそういうことだったんだ。

 しょうがないなぁ……まぁ、調べること一つ終わって少しスッキリしたし、今日は寝て、明日の昼にでも助けてあげようかな?

 あの速さなら敵を翻弄して、今頃身を隠している頃かもしれないし。

 大丈夫大丈夫。


 そして、私はポーチや袋を元に戻し、自分の寝ていた寝台に仰向けに乗り、毛布を頭までかけて目を閉じた。


 …………。


 …………。


 うーん、寝れない、寝れない。

 やっぱりあの三兄弟が心配。

 なんでこう、私って優しいんでしょう……。

 寝台から起き上がって、シーゼルの袋をもう一度覗いた。

 まるめた紙を取り出して、その中から粒を一つ粒出した。

 でも、これを潰すったって……こんな小さいのどうやって潰せばいいんだろう。

 かみ砕くとかじゃダメかな。

 いや待てよ私。もし仮にかみ砕いて成功したとき、目の前でいきなりあの三兄弟が出てきたらどうする。

 そもそもどこから出てくるっての……?

 煙を出してバッと出てくるのかな?

 それとも眩い光を放って召喚獣風に出てくるのかな?

 もし口の中で出てきたらと考えると、恐ろしや恐ろしや……。

 やっぱロードローラーとかで粒を潰すべき……? いやあの三人潰されちゃうか……。


「ぐぅう」


 それにしてもシーゼルの鼾がうるさい。


 やっぱり明日にしよう。

 こういうのは、数人で話し合って決めるべき。

 あの三兄弟には悪いけど、安易にやってはいけない気がする。

 よし、寝よう。

 また先ほどと同じ行動をして、毛布をかぶり眠りについた。


 …………。


 今度は眠れたようだ。


 …………。


 ん?

 夢の中のはずなのに、なんで意識が明瞭なんだろう。

 目を開けている感覚はあるのに、私が寝ている部屋に私はいないし……。

 今いる空間は真っ暗でよく分からない。

 ただ、地面に足がついている感覚がある。

 かぶっている毛布を触っている感じはない。

 下を見ても私の足は見えない。

 この空間が暗すぎるのか、それとも、私の身体が存在していないのか……。

 この空間は一体なんなのだろう……。


((聞こえますか……聞こえますか……私の声が聞こえましたか……?))


 私は唐突に聞こえてきた声に、返す言葉がなく、黙り込んでしまった。


((え、聞こえてますよね? 返事はないのです?))


 あるかも分からない首を、横に振った。


((聞こえてるじゃないですか……。あ、もしかして、私の姿が見えないから驚いていらっしゃるのでしょうか))


 あるかも分からない首を縦に振る。


((そうですか……姿を見せたいのはやまやまですが、私の姿は公開するにまだ早い気がするので、やめておきます……))


 何言ってるのこの女声。


((そうですね……今回は、私の名前だけを告げておきます))


 ……名前?


((私は、エルフの祖、エルフの文明を築いた女神、そして、シーゼルの身体に宿りし神霊の欠片、シルス……今はまだ体が完全に構築されていないので姿をお見せすることはできませんが、いずれ、現世うつしよに姿を出すことになるでしょう――これでいいでしょうか?))


 …………。


((納得してませんか? どうすればいいのですか?))


 話す言葉が見つからないし、まず言葉を発せない。


((今度、というか明日。力を使い切って昏睡状態にあるシーゼルに乗り移って、あなたに色々話します。あと、あなたについても訊きたいことが山ほどあるので……私が寝ている間に、勝手に重要な契約進んでましたし……))


 は、はぁ……。


((今夜はゆっくり休みたいでしょう。明日、良い時間になった頃に起こします。それでは、それまで……))


 女性の声は少しずつ離れていき、やがて消えた。

 そして、私の意識は遠のいていった。


次話もよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ