131話 『シーゼルのステータス』
ただ前に前に走っている。うん、ほんとに。
この島はどんな構造をしてるんだろうとさっきから思い始めてた。監獄島なんてもんだから、きっと海へ行く道なんて絶壁しかないんだろうなぁ。
エルフだけど羽があるわけじゃないし、身体能力だけでは島は渡れないだろうし……まぁ、それが普通なんだけども……。
それにしても、森みたいに木が多い。物見やぐらみたいな見張り塔もあるけれど、灯りがついてるだけで人はいないみたい。
そういえばシーゼルの体に乗り込んでから、シーゼルの声が全く聞こえない。ちょっと寂しい。ちょっと。
私が意識を乗っ取ったからシーゼルの意識がなくなったのかな?
と、そうこうしているうちに森みたいなトコを抜けて、崖まで来てしまった。
結局これからどうやっていくかも決めてないのに……。風もやけに強いから、うかつに近づいたら飛ばされちゃいそう……。といっても、風は島側に来てるから海の方に飛ばされることはないと思うけど……。これじゃあ海の方に出ても流されて戻されちゃうよ……。
もしかしてあの屋敷の所にこの島から出るためのワープポイントがあったりして……。
いやそんなこと考えるのはやめよう。そんなのあったらあの扉さんの存在意義がなくなっちゃうし……。
とりあえず、海を渡れる道具でも作らないと…………
木かぁ……木ねぇ……木…………。
イカダ……?
いや~この風じゃとてもじゃないけど無理だよね。
(いやそうでもないんじゃないかな)
うわ、なんかいきなり出てきた!
(今までちょっと意識とんでたけど、何とか戻ってこれたよ)
なにそれ。
(今のなつめなら、私の真の力を発揮することができる。この海を渡れるくらいの凄い力をね)
なんて滑稽な。
(今の私は特別な能力が使えるようになってると思う。たぶん)
どんな思い込みですか。
(何か確認する方法とかない? こっちの世界の人はそういうのできるんでしょ?)
(えー、どうかなぁ……)
私そもそもこっちの人じゃないし……。
あ、もしかしたらブックを使ってどうにかできるのかも。
ブックをポーチから取り外し、自分のステータスを覗いてみた。いつも通り、目の前には青い画面が現れた。私のレベル30超えてたんだ。
ん、ステータスに新しいページが増えてる。『契約した魔物のステータス』だって……?
そっか、じゃあこれがシーゼルの……。
えーなになに……?
―
☆シーゼル・シルスのステータス☆
【シーゼル・シルス】
《Lv.1》
《タレント能力:魔矢必中》
《HP:167/99(最大は契約者に依存)》《MP:123/57》
《物理攻撃力:71》
《魔法攻撃力:65》
《物理防御力:48》
《魔法防御力:89》
《素早さ:130》
《必然回避率:6%》
《偶然回避率:17%》
《性格:ちょっと短気・意地っ張り》
《趣味:オリジナルパフェ作り》
《好きなもの:にんじん》
《嫌いなもの:加齢臭》
《スキル》
・庭園への導き(消費MP0)
・(真)シルススケイヴ(消費MP37)
・魔弓生成(消費MP5)
・魔矢生成(消費MP2)
・(真)繧オ繧、繧ケ繧ソ繝ォ繝(消費MP12)
・ステルス(消費MP8)
・描跡(消費MP1)
・(真)森の精霊呼び(消費MP9)
《魔法》
・(真)ウィンデイル(消費MP37)
・キュアー(消費MP4)
※スキル・魔法の詳細は技名タッチで閲覧することができます。
※(真)の付く能力は、契約者が魔物を制御する際に使用できる特別な能力です。
☆おわり☆
―
スキルが一つだけ文字化けしてる。
詳細は…………?
文字化けのスキル名をタッチすると横に別の小さな青い画面が出て、技名とその下に説明らしいものが表示された。
―
スキルの説明
・繧オ繧、繧ケ繧ソ繝ォ繝(消費MP12)
⇒谺。縺ォ菴ソ逕ィ縺吶k繧ケ繧ュ繝ォ縺ョ螽∝鴨繧剃コ悟?阪↓縺励∪縺吶?
縺溘□縺励?√◎縺ョ谺。縺ォ菴ソ逕ィ縺吶k鬲疲ウ輔?蜉ケ譫懊′蜊頑ク帙@縺セ縺吶??医∪縺溘?√%縺ョ閭ス蜉帙?驥崎、?@縺セ縺呻シ
―
……だめだこりゃ。発動するのが怖い。直るまで使わないでおこう。
そういえば、なんかステータス欄充実してない? いつの間にこんなアップデートしたんだろ……。趣味とか好きなものとかあるし。あとでセナさんに訊いてみようかな……。
そういえばそのセナさんは何処へ……? ポーチから出てこないし……。
もうそろそろ『私を忘れないでよ!』って言いながら出てきそうなところだけど……あー、そもそもそんな出てこないから存在わすれかけちゃうんだよなぁ。
(え、こんなに私の情報出てくるの? 恥ずかしいんだけど)
「うん……私もこんな個人的な情報が追加されてるとは思わなかった」
(追加? この変な物体にそんなことできるの?)
「うん。そういうことをできる神がいるの」
(へぇ……シルス様以外にも神様がいるんだ……)
世界が狭いなぁ。もしかしたらここにきてお店しかやっていないのかもしれないし、今度色々連れて行ってあげようかな。シーゼルには、この世界のことをもっとよく知ってほしい。
あと、お兄ちゃん、メルちゃん、それに他の人のことも。
もちろん、わたしのことも。
(さぁ、なつめの考えたものを準備して! そのあとの指示は私がするから!)
「あ、うん!」
大丈夫かなぁ……イカダで。
私は、自分の傘武器の持ち手を引き抜き、剣を取り出した。
この剣で斬れるかは分からないけど、とりあえず試してみよう。
文字化けの詳細はSJIS-winからUTF-8に変換すると殆ど見れます。(完全な変換はできないですが……( ゜Д゜))
もし自分でRPG的なゲームを作るとしたら、この性能は少し癖があるんですけど、正直かなり強いですよ笑
次話もよろしくお願いいたします!




