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引きニートの兄を更生させるために異世界転生  作者: 桜木はる
第2-1章 【締めつけられる】
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117話 『遅く、遅く』

あけましておめでとうございます!

更新が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。年末年始は休みのはずなのに色々とやること多くて大変です。

 私の周りには、白と黒で描かれた幾何学模様の魔法陣が現れた。


「属性は闇。中級魔法で、消費魔力は三十二、効果は、同空間にいる私以外の全ての生命や無機物に対し、行動速度の急速な減衰、威力はなし。名称は『スロウ』」


〈名称が既存の魔法と同様のものがあります。変更してください〉


 そんなこともあるんだ……。


「じゃあ、『ラングザーム』で」


〈――魔法の創生が完了しました〉


「へっ、これで終わりだ!」


 三人組は一体となって、擦り傷だらけの私に、空中から突撃をしてきた。

 自分たちから一まとめになってくれるとは……。それじゃ。


「ラングザーム!」


 唱えた瞬間、敵の動きが遅くなった。これが魔法の力……! そして急速なインフレ! そして、どう対処するかを考えるのだけれど……あまり傷つけたくはない。かといって危害を加えられた以上、相手には損傷を負ってもらわないと気が済まない。こんな狭い空間で作り置きしておいた融合魔法玉を使うわけにいかないし……だからこう……ほっぺを抓ってみるとか。

 私はとても遅く空中を移動している三人組の頬を、一人ずつ抓っていった。

 うーん、微妙だけど、これくらいで勘弁してあげよう。

 私は回復魔法を自分に唱えて、今まで受けた傷を治した。

 さて、あとは縄で拘束して、事情を色々訊きだすだけかな。この三人組が戦闘前に言っていたことも含め、この三人組のことも詳しく訊き出さないと。

 私は偶々洞窟に落ちていた縄を取りに行き、傷ついた縄に回復魔法を唱えて縄を修復し、三人組のところへ戻り、直した縄できつく縛り付けて地面に座らせた。

 あ、そういえば解除方法設定するの忘れた。どうしよう。うー……これは致命的なミス。後のことを考えないでやるかたいつも面倒なことになるんだ……。早めに話を訊き出したいし、もう記憶を見る魔法を作っちゃって、訊き出すんじゃなくて、勝手に見ちゃおうかな。その方が色々と簡単に終わりそうだし。

 よし、それでいこう。その方が私もこの三人組も温厚な形で別れることができるだろう。


「マジッククリエイト!」


 …………。

 おかしい。さっき出来たはずなのに、何故かできない。魔法陣が発動しない。

 おかしいな……。時空間を歪めているから? でも、私に影響がある魔法ではないし、何の影響もないはずなのだけど……。


〈――魔法創生上限に達しました。これより――創生魔法の消化に移り、創生上限を増やします〉


 なっ……?


〈現在創生してある魔法を消化し、再度創生不可に設定します〉


 ちょっと、それってどういう……!


 私が考える間もなく、私の周りには見たこともない魔法陣が描かれ発動された。


「……っ!」


 視界が少しずつ霞んできて、私は静かに気を失い、地面に倒れ込んだ。。



 体が思うように動かない。体が焼けるように熱い。ここは一体どこだろう。倒れている私は誰だろう。記憶の隅に固まった片鱗の記憶が私を苦しめる。私を炎の渦が包み込む。この閉鎖空間は誰が作り出したものなのだろうか。

 ……熱い。体が焼けるように熱い。目が熱い。……いや、もう私の体は焼け落ちて散り散りになってしまっているのかもしれない。確認できる景色は殆ど限られている。浴槽……洗面台……鏡……懐かしく感じているような……でも拒絶をしている私もいて、思考が混沌としている。制裁を加えられた後の苦い味の水……洗面台から流れ出て落ちてくる水を少し口に流し込むと、喉が焼けるような感じがして……そう、胃酸が喉まで戻ってきた感じだ。もう声を出すこともままならない。ずっと喉が渇ききっているよう。

 私は少し動かせるようになった体で、ゆっくりと立ち上がり、消火のため、シャワーの水を出そうと、ハンドル反時計回りに回した。しかし、水は一滴も出なかった。

 ……熱い。このままでは焼け死んでしまう。出口らしい扉も見つからない。いや、ここが風呂場と決まったわけじゃないか。ただ炎壁で隔たれられているだけの空間と考えれば、私は絶対脱出不可の領域に監禁されているということになるだろう。

 ――何故私がこんな場所に立っているのだろう。

 本来の居場所…………。

 『本来の居場所』とはなんだろう。私にとっての本来の居場所は……? いるべき場所は……? いなければならない場所なんてあるのだろうか。そもそも、私に居場所なんてあったのだろうか。

 頭が内部の中枢部からくる痛みで、押し潰されて、壊れてしまいそうになる。

 でも、少なくとも、この空間が私の居場所ではないということが感覚で分かってしまう。


「なつめ――なつめ――! しっかりしろ!」


 誰かを呼びかける男性の声が、この炎壁の空間に響き渡った。

 なつめ、なつめ、なつめ、なつめ……なつめ……? 『なつめ』というのはどのような人物なのだろう。女性? 男性? 声は? 身長は? 性格は? 髪の長さは? 趣味は? 特技は――? そもそも人間なのだろうか。もしかしたら犬の名前かもしれないし、猫の名前かもしれない。将又、もっと別の、蛇だったり、得体のしれない生物だったりするかもしれない。

 視界が霞んできた。頭が割れるように痛む。もう倒れてしまいそう。

 私は力が思うように出ない体で、洗面台に手を掛けて、何とか倒れないように洗面台に体重を寄せて踏ん張った。

 今の自分が、どのような容姿なのか、とても気になった。

そして、目の前にある鏡で、曇った視界の中、自分の姿を確認した。

 目の前には、やつれた顔の、髪の長い女の子が苦しそうな面立ちで立っていた。これが私……? こんな醜い姿の私は……私は一体…………。


 ――誰なのだろう――


 ずっと締め付けられて、いつまでも、ちぎることのできない鋼鉄の鎖に縛られているかのよう……。

 ああ、頭が痛い。こんな時間、早く終われば、いいのに……。


 視界が完全に閉ざされ、私は意識を失った。


 …………。

 …………。



〈――『フレイム』デリート――『リフレクションミラー』デリート――『ショック』デリート――『シャットアウト』デリート――『ラングザーム』デリート――創生魔法の消化が完了しました。今後、これらの魔法と同様の名称ないし効果の魔法は創生できません。また、創生魔法上限を十に再設定。新たに一からお創り戴けます。それでは、お目覚めください――『逋ス―区ーエ●「』様――〉


次話もよろしくお願いいたします!

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