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引きニートの兄を更生させるために異世界転生  作者: 桜木はる
第1 - 4章 【剋殺・過去】
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98話 『海賊ジャック』

 剣を掲げてアホみたいに大声を上げ続ける海賊の長。あれを叩きのめせばいいのかな。

 乗客も殆ど避難して鍵をかけられた船内に入ったみたいだし、今は冒険者達が海賊と戦闘を繰り広げている。


「みんな、いこう!」


 私たちは駆け抜けて海賊の長の前に立ちはだかった。


「んー? なんだおめぇら。まさか俺とやるってのかぁ?」


 海賊は不気味な笑みをしながら近づいてきた。


「おい野郎ども! こいつら俺とやる気なんだってよぉ! 笑えるじゃねえか!」


 海賊たちは私たちをバカにするように笑い出した。


「ここは平等に同じ人数同士での勝負といこうじゃねぇか……姉ちゃん。おめえらが勝ったら俺はこの船を襲うのは金輪際やめてやる。だが、お前らが負けたら皆殺しだ!」

「……わかった」


 私は装備が入った箱から取り出したパラソル型の武器を取り出した。

ちなみにこの傘は、あの箱から取り出した二七レベルから使用できる武器で、ただの日傘に見えるが、実は取っ手を強く引き抜くことで剣が出てくる。それと、傘が盾の代わりになる。ヒーラーには絶対に似合わない武器だよ。

他の装備に関しては、回復魔法での回復力を少し上げる赤色のリボンをポニーテールを結び目に使い、防具は回復力を底上げするための白いローブに素早さを上げるため靴、攻撃魔力を上げる翠玉のペンダントを、港町の防具屋から買って装備してる。

 だから今、所持金はほぼゼロ。それを知っていたセナさんは切符を自ら買ったというわけです。


「俺様は自慢の子分二人と戦うとしようかぁ……おい! ジャック、イーグル!」

「へい!」


 二人の海賊が船の中に何処からか飛び込んできた。


「本物の海賊ってのを思い知らせてやるよ……へへへ」


 海賊たちは剣を取り出して私たちに近づいてきた。


「おらぁ!」


 ジャックと呼ばれる海賊の一人がジャンプをして剣を私に振り下ろしてきた。私は咄嗟に傘を開いて攻撃を弾いた。


「私達もいくよ!」

「うん!」

「おう!」


 お兄ちゃんも剣を取り出し、メルちゃんは杖を取り出した。


「俺の初撃を防ぐとはなかなかの奴と見た。親分! 俺はあの女を狙いやすぜ!」

「よぉし、ジャックは姉ちゃん、イーグルはショボい格好をしてる奴、俺はあの杖を持っている女を狙う! それでいいな?」

「はい!」


 それぞれ一人ずつに標的を絞った海賊たちが、一対一の戦闘に持ってくるため、海賊の長とイーグルと呼ばれる海賊員が剣を構えながら私たちの背後に回り込んできた。


「仕方ない……みんな一人ずつ任せたよ!」


 私は傘を構えながら皆との距離を放した。お兄ちゃんも距離を放して、私たちに干渉できないように海賊を引き離した。

 この船のデッキが広いお蔭で戦闘範囲が広がった。私の武器では複数人で戦う時に対処がしづらい。

 他の海賊や冒険者は戦闘をやめ、私たちの戦闘を少し離れた場所で見ていた。


「よぉし……三十秒で殺してやるよ」


 ジャックと呼ばれる海賊は二本目の剣を取り出した。


「俺は二刀流のジャック! そんな傘でこの俺を倒せると思ってもらっちゃこまるぜぇ?」


 この海賊はは一体どんなタレントを持っているんだろう……三十秒で決着をつけると言ってるということは、初めだけ能力があがるタレント……?


「おっしゃぁぁ!」


 ジャックが雄叫びを上げると、ジャックの体にオーラが纏わりついた。

 明らかに強化された、という感じだ。

 ジャックが目にも止まらぬ速さで走ってきて、私に剣を振るった。私は何とか避けたり防御したりして猛攻撃をかわし続けた。


「チッ……おとなしく当たりやがれぇ!」

「おとなしくなんてしていられないに決まってるでしょ!」


 海賊は猛攻撃を続けた。

 私は取っ手をとり、傘から剣を取り出し、回転しながら横に斬った。しかし私の攻撃は海賊に防がれてしまった。


「まさか仕込んでいたとはなぁ……だがまだまだ使いこなせてねぇ感じがするなぁ姉ちゃん!」


 海賊はもう一本の剣を私の横腹のほんの少し横に突き刺してきた。


「あぶな……!」


 脇のお腹に少し掠った。ピリピリした痛みがお腹にくる。


「外したか……だが少し掠ったみてぇだな」


 海賊は少し離れた場所に後退して、ポケットから、小さな瓶に入った緑色の液体を取り出した。それを飲み上げて瓶を地面に投げ捨てた。


「今何を飲んで……」

「あぁ? これは強化薬だ。それがなんだァ?」

「そんな卑怯な……!」

「海賊に卑怯もなんもねぇんだよ!」


 強化薬を二本飲みあげた海賊はまた雄叫びを上げた。


「いくぞォォ! 風斬り(サイクロンエペ)!」


 海賊はその場で高速回転した。すると、海賊は竜巻を作り出し、私に竜巻を飛ばしてきた。

 竜巻は予測不能な動きで私に近づいてきた。私はとにかく傘を構えて身構えた。しかし、傘は竜巻に弾き飛ばされてしまい、遠い場所に落ちた。

 それと同時に竜巻は消滅した。


「防御の手段が……」

「これでお前を思う存分甚振れるなァ!」


 こうなったらアレを使うしかない……でも使ったらバレちゃう……

 いや……? バレない方法が一つある。少し強引だけど、こうすればバレないだろう。

 私はポーチからいつの間にか逃げ出していたウサギのぬいぐるみを引っ張り出した。


「ほらァ! よそ見をしてると八つ裂きにするぜェ!?」


 案の定、海賊は剣を構えて猛スピードで走り込んできた。

 ポーチから引きずり出したウサギのぬいぐるみを正面に出し、剣を置いた。


「ついにあきらめたかァ!?」


 海賊は不気味に笑いながら剣を振りかざした。


「ちょ、なにっ――」


 セナさんは目の前の出来事に困惑していた。が、私はお構いなく魔法を小声で唱えた。


「ショック……!」


 そう唱えた瞬間、ウサギと海賊は眩い光に包まれて気を失った。


「まったく、私に近づくからこうなるんだよ。セナさんがかわいそうでしょ?」


 ウサギのぬいぐるみと海賊は白目をむいて気絶していた。私はセナさんをポーチの中にしまって傘を拾いに行った。

 皆に奇妙がられてないかな……もう少し物理的に熱い戦闘をすればよかったなぁ……

 さてと、ジャックのブックでも見てタレントやスキル、魔法を見せてもらおうかな。あと、ジャックが持っている道具も少し掠め取っちゃおうかな。

 お兄ちゃんもメルちゃんも、海賊たちといい勝負をしているところだし、私は私なりに色々とやっておこう。

 私はジャックの腰についているポーチの中を探って、ブックを取り出した。ついでに、先ほど言っていた強化薬も取り出した。これは強盗や窃盗なんかじゃない。戦利品をもらうのはどこのゲームでも当たり前だよね。

 自分のポーチの中に薬を全て入れ、ジャックのブックを起動しステータスを開いた。目の前にはステータス画面が大きく表示された。

 レベルは三二、職業は海賊……? HPやMPも標準くらいだ。だけど攻撃力や素早さがとんでもなく高い。これが海賊の特徴か……? タレントは――リードスタート……?

 『力を込めて雄叫びを上げた時、自身のステータス全域が超強化補正される。ちなみに、強化は、今のレベルから二十レベルほど上がった時の状態くらいになる』……?

 つよそう。


 スキルは、海賊のスキルとして『風斬り(サイクロンエペ)』、『海賊の勘』、『海斬かいざん』。タレントとしてのスキルは、『スキルリード』、『アタックリード』、『ガードリード』。

 タレントについてのスキルは全て、先制攻撃や素早い防御が可能になるものばかり。私に初撃で使ってきたのがアタックリードだろう。防げばなんともないけれどね。

 魔法は覚えてない……と。なるほどなるほど。

 私はブックをそっとポーチの中にしまった。仕込み刀などがないことを確認して、ジャックの持っていた剣を端に寄せた。


「あの二刀流のジャックさんがやられちまった……あんな女に……」


 海賊たちのどよめきが聞こえてきた。

 あんな女とは失礼な!

 私はデッキに置いてあった樽を背もたれにし座り込んで胡坐をかいた。

 他の二人に干渉したらきっと他の海賊たちが暴動を起こして襲い掛かってくるかもしれないから、私はここで他の人の戦闘を見てるとしようかな。

次話もよろしくお願いいたします!

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