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2028年3月
「仁志、美礼!準備はいい?」
「もちろんだぜ!姉さん!」
「当り前ですわ。今日も滅多叩きにしてやるんですの!」
私は、2人の返事を聞き、うなづく。智秋は…、あーまたフライングしてるし。ちらりと、智秋のほうを見ては、ため息をつく。こうして会話している間にも、あー。うー。と会話になっていない言葉を発しながら、奴らはすこしずつ近づいてくる。
私は、目を閉じ、深呼吸をする。
さあ、死者のライブの始まりだ!今日も楽しんでいってもらおうか。
「のぞみなんて今はない。(ない)この今を生きるそれだけが私たちの願い…」
私は、歌いだした。作詞作曲はすべて私。ちなみに、私はプロの音楽家でも、歌手でもなんでもない。カラオケ行ったら、ちょっとうまいかなレベルのいたって普通の女子大生だ。精密採点でも90後半なんて一回もとったことがない。いや、そんなことはどうでもよかった。なぜ自称いたって普通の女子大生がこんなところで、アイドルのものまねをやってるかというと、ちょっとわけがあるんです。そうアレは忘れることもできない日。昨年の9月のことだった。