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管理都市の魔女  作者: 白葉 四季香
【第1章】管理都市の管理者
9/30


 五希を追うように熱風が吹き荒れ、通った道はその熱で更地と化していく。

 四方八方に走る五希を狙い、不死鳥は荒れ狂うかのように火を放つ。


 右手を軽く動かすと不死鳥はその手の通りに動く。

 ヒトは昔から言葉をかわせないとき、または通じない動物などの獣の類との会話にさハンドシグナルを用いて自分の意志を伝えてきた。

 今、不死鳥が動いているのは右手のハンドシグナルで動いているものである。


 並の人間なら不死鳥の速さになど追われればすぐに勝敗は決まる。

 だが、五希の速さは人間の力だけではなく恐らく魔力で強化されているかのようにも見える。

 ただでさえ運動が得意な五希が強化されれば不死鳥でも手こずる。

 だが、それもやはり魔術には不可能なことなのだ。

「残り5分を切ってるようだけど、いつまで逃げ続けるのかしら? そろそろ攻撃が来ないと私もそんな獣を出した意味がないじゃない」

 その言葉を聞くなり五希は不死鳥から逃げるのを諦めたのか、不死鳥と向き合うように立ち、思いっきり地を蹴る。

 それは不死鳥と並ぶ位置につくくらいの飛躍をし、銃弾を撃ち込んだ。

 そのレーザーのような銃弾は不死鳥に穴をあける程の威力だ。

 硝煙の匂いとともに視界が霞む。火の魔術と水の魔術をぶつければ蒸発によって水の粒子が舞うまでは予想は出来ていたがここまで霧が濃いと不死鳥を操るのも一苦労だ。

 右手にはまだ熱がこもっている。あのレーザーにやられてもなお、不死鳥は消えることはない。不死の力というのはこれほどの攻撃でも消え去ることはないものなのかと改めて思うと同時に恐ろしい使い魔だとも思う。


 この霧の中だと先に敵を見つけた方が有利だろう。

 恐らくこの状況で有利となるのは恐らく五希。

 ガンナーでありスナイパーでもあった五希は視力も優れている。千鳥を見つけてしまえば遠距離攻撃は容易い。

 だが、今日の五希の格好からは狙撃銃は持っている様子は無かった。隠し持っていたとしても1丁くらいだろう。

 それでも、もし銃の光学照準器にでも映ればすぐに試合は終わるだろう。

「…………なら。 不死鳥をこっちに戻して待機させるまでよ」

 不死鳥は千鳥の背後に戻る。

 こちらからは目に見えずとも不死鳥に意思を伝えるだけで戻ってくる。

 五希の気配は無に近い。狙撃手というのは私の敵になると本当に扱いずらいものだと感じた。

「どんなに防御を固めても無駄だよ? もう全ての照準器は千鳥を向いているからねぇ」

 どこからともなく聞こえる声に冷や汗がつたう。

 やはり何らかの狙撃銃は持っているのだろう。

「さぁ、勝負をつけさせてもらうよッ!!」

 無音の銃弾が頬を擦る。千鳥は不死鳥に銃弾の方向に向かわせ銃撃の反対へと慌てて走る。が、そこにはあるはずのない銃弾が目の前へととんでくる。ギリギリで避け切り、静止する。

 近くの焦げた木の幹のちかくには氷のように透き通った、大きい弾丸が転がっていた。

 数秒後またも、弾丸が飛び交う。それは一定の場所からでなく、周囲全体から。

 そこまでくると何となく察しができた。

 五希は超加速の速さを使い、多方向から撃ち込んでいる。それか何丁もの銃を使い同時に撃っている。

 恐らくこの場合は後者だろう。

 どのように撃っているかは分からないものの不死鳥が向かった後に五希のいる手応えはなかった。

 それこそが五希の魔術なのかもしれない。


 もう少し経てばこの視界にも慣れるだろう。恐らく、その前に五希は勝負を付けに来る。

 なら、五希が動いたところでこちらから向かうまでよッ!!

 銃弾を見極め、全てを避ける。背後からは散弾が飛ぶ。

「見つけたッ!!」

 千鳥は背後に周り加速。銃弾を避けながら右手で殴り込む。

 右手の熱の中には確かに当たった感触があった。

「グァッッ!?」


 気づけば木のそばには五希が横たわっていた。

 天井近くの数字は1.25で止まっていた。気づかなかったが残り時間は2分を切っていたようだ。

「五希なんかに13分もかかっちゃうなんて驚いたわ」

「……ハハッ。勝ってそのセリフは無いんじゃないかな? それより、上見ろよ?」

 五希の指さす方を見る。

 そこにはいつもなら数人しかいないであろう見物用の部屋に十数人の生徒の姿があった。

「練習戦なんかにあんなにたくさんの人に見てもらえるとはな。 あんな人数見るのは私ははじめてだよ」

「そう……。なら負けて良かったじじゃない」

「それは別に決まってるでしょ!!」


 不動の2位の強さを持つ幻獣使いの千鳥と神速の速さを持ち百発百中で狩る五希の戦いは他生徒にも息を呑むようなものであったのだ。

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