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管理都市の魔女  作者: 白葉 四季香
【第1章】管理都市の管理者
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機械魔術授業にて


 無色透明のガラスで囲まれた箱のような施設の中には赤と緑の光が何度もぶつかり合い、チカチカと響くように光っていた。


 ここ、屋外魔術練習場には千鳥のクラス1組の生徒と五希のクラスの6組の生徒らが集まり機械魔術実技授業が行われていた。

 この授業は月に一度行われる機械魔術実技試験の練習試合のようなものだ。一般の学校における体育のようなものだろう。

 実技授業は週に三回あり、抽選された2クラスで行われる。

 実技試験と実技授業の試合の内容はほぼ同じだが、大きな違いは実技試験ではくじ引きで戦う相手を決めるものだが実技授業では組まれた2クラス内であれば自由に試合を組むことができるということだ。

 基本的試験以外では戦うことはしない千鳥だったが、たまたま五希のクラスと対戦が当たったことで五希との戦いが決まった。千鳥は前々から五希は挑んでみたい相手でもあったため胸が高鳴りつつあった。


 ちょうどガラス越しの試合が終わり、炎の光だけが残っていた。

 おそらく今の試合の勝者は火の魔術使いなのだろう。

「圧勝ってところね。 風魔術のヤツは基礎が全然出来ていないから勝敗なんてものは目に見えていたようなものね」

「相変わらず随分辛口なコメントだね。でもあの風使いの少年は千鳥の友達かなんかじゃなかったのかな? 毎日学校一緒に来てるから仲いいのかと思ってたんだけど」

 隣にいる五希は渋々出口へと向かう智樹の姿を指さしていた。

「確かに学校には一緒に来てるわよ。でも アイツがつきまとってくるからしょうがなくってことよ。 変な誤解とかしたら怒るわよ?」

 その話を出され、半分怒り気味だった千鳥は五希を睨みつける。

「そんな顔で見なくても私は誤解なんてしないよ! でも、あの人がストーカーみたいなことしてるなんて初耳だなぁ」

 智樹をストーカー扱いした五希に少し修正を入れようと「でも……」と言いかけたがスピーカーから二人を呼び出す放送が鳴り、急いで試合の準備室へと向かうことにした。その説明は今度にすることにした。


 準備室は少し肌寒く感じるほどの冷房の空気が充満しており身震いした。

 試合用の礼装に着替え終え、左手には機械魔術を使うための礼装である黒い手袋をつけた。

 礼装は黒い膝くらいのドレスにフリルがたくさんあしらわれた全属性の対機械魔術に特化したものだ。

「やっぱりこの格好は何度見ても見慣れないな。 外見的には合ってるけど中身には合わない謎の矛盾を感じる衣装って感じだよね」

 五希も着替え終わったようで千鳥の礼装を眺めていた。

 自分自身似合っているかと聞かれたら悩むところがあるが、術式自体には自分には合っていると感じてしまうため礼装を変える考えは今のところなかった。

「私に比べて五希は会いすぎってくらい普通よね。黒いフードのついたマントにミニのワンピースなんて服を着てない以上に自然なんじゃないかしら?」

「何それ? 褒め言葉として受け取っていいのかな? 一応千鳥のとこの神社のやつに頼んだものなんだけどな」

「あら、そうだったの?なら私の礼装と同じ人が作ったってことね」

 私以外にも桜時の作ったものを使う人がいたことに少し驚いたがよくよく考えてみれば質はそこらで売っているようなものと比べれば断然高いのだから納得できた。


「そろそろ試合だけどエリアコードはどうする? 確か序列の高い人が決められるんじゃなかった?」

「そうだけど五希が考えていいわよ。 私がそのコードを言えばいいんだから」

「じゃあ何処がいいかなぁ。 ちょっと考えさせて」

 エリアコードというのはガラスで囲まれた練習場を自由に書き換えて作る仮想空間のようなものだ。コードはおよそ100種類がこの学校にはデータとしてある。

「じゃあNo62でお願いしていい? 私の得意なとこだから下剋上できる希望あるしね!!」

「私はやったことないとこだけど負ける気はしないわね。 じゃあコード報告行ってくるから先に入ってなさい」

 五希は「はいはーい」と言いながら後ろを向いたまま手を振っていた。


 2人はそれぞれ違うガラスのドアへと向かっていった。


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