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管理都市の魔女  作者: 白葉 四季香
【第2章】貧家の令嬢
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御三家の存在


 夕暮れ時のいつもより遅い帰宅に桜時は社につくなり千鳥の方に飛んでくるようにしてこちらへ寄ってくると肩を掴んで前後にはげしく揺らしてきた。

「むぅ~、心配しましたよ! もう7時を回ってるのに帰ってこないんですから」

 高校生にもなって心配性の桜時にやれやれと思い、自分にくっついてく桜時を手で払う。

「連絡忘れててごめんなさいね、ちょっと面白い話を五希から聞いてね。 夕飯さっさと済ませて御三家討伐会議を始めるわよ」

 その言葉で桜時の表情は晴れていき真っ直ぐこちらを見た。

「はい、わかりましたっ!」



 食器を全て台所に片し、机の反対側に桜時が座る。

 桜時は御三家の話が出るなり急いで夕飯をす食べていたため、すぐに会議が始まった。

「それで、御三家討伐会議とは何をするのでありますかっ!」

 そこはかとなく意気揚々としている桜都を落ち着かせるかのように一言(ひとこと)追加する。

「御三家討伐とは言ったものの、相手はあの復刻の御三家なのだから討伐なんてできるか微妙だわ。 せめて言い聞かせるくらいまでなら私でもいけるとかもしれないけれど」

 正直なところ言葉で行動を制限させることすら不可能に近いと感じていた。

 そんな話し合いをする前にまず弱者であろう自分が死ぬと考えていたからである。

 そんなことに悩まされている千鳥を知ってか知らずかいつものハイテンションで話を進める。

「言い聞かせるですか……、それもいいとおもいますよ! 御三家を自分の思うがままに動かすなんて、きっとこの世界が今より平和になるくらいにはできるような気がしますね!!」

 ネガティブという言葉を知らない桜時は戒めることすらも最終的にはハッピーエンドのようだ。

「じゃあ《御三家討伐か言い聞かせちゃうよっ!会議》ってことだね」

 変なタイトルに一気に硬い空気は緩み、もうなんでもいいかと私も諦め始めた。

 こうして桜時のやりたい放題で殺しながらの戒める方法を考えるというような意味不明な題名の会議が始まった。


「それでどんな名案がうかんだんですか?」

 熱い眼差しで見つめる桜時と反対に千鳥はその期待を追い払うかのように首を横に振る。

「名案なんてものはないわ、実際に戦ったことがないのだからざっくりとすごく強いと言われているだけだもの」

「そんなんじゃ言い聞かせることはおろか討伐なんて不可能じゃないですかっ!」

 ぎゃーぎゃーとまた騒ぎ始めた桜時になだめるように促し、仕方なしと黙って正座する。

「名案は無いけれど御三家の名前と能力、それと特徴がわかったのよ。 ただ、それだけでもゼロだった可能性が結構上がったと思わない? 」

 桜時は「むぅぅ」と唸る。その様子から納得いかないのだろう。

「じゃあ、考えてみなさいよ。 今まで現代の魔導師には御三家は黒の影で消えた世界から元の世界に戻したという情報程度しかなかったのよ? それが御三家の魔導の能力まで知れたのよ、少しは喜びなさいよ」

 桜時は次に「むにゅぅぅ」と唸る。なんとも微妙な反応だ。

「文句があるようだけど続けるわよ。 今日聞いた情報は五希からのもの、家にある本で覚え……」

「ちょっと待ったぁ! 五希ちゃんってあの五希ちゃんだよね、魔導師ではないただの人間の子の」

 予想は何となくしていたものの、やはり桜時も人間である五希が何故御三家を知っているのか驚いているようだった。

「思っていたような反応を見事にしてくれるわね。 まぁ、そこら辺をはっきりさせないと桜時の場合、気になりすぎて会議に集中できないだろうから、五希のことから話すわよ」

 急かすかのように桜時は両手を上下に振る。この様子を見る限りでは先ほどの微妙な気分も晴れたようだった。


 桜時は感情の変わりが早くて本当に扱いやすい。もちろん、良い意味でだ。


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