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管理都市の魔女  作者: 白葉 四季香
【第1章】管理都市の管理者
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管理者の違い


「それは大変なのです。 魔導というものを知らないまままに精霊魔導(スピリット)だけは扱える子ということなのですよね。 千鳥の話を聞くだけではその子は魔導師として危険なのかも不明なのです」

 紫雨は千鳥の話を聞き終えると、鵺をどうするかについて考えだした。

 だが、千鳥にはもうその答えは鵺の魔術戦を見た時から決めているのだ。

「私は並木 鵺を殺すわ。 魔導師であるにも関わらず魔導を知らず、魔導の心得も無い。 それなのに魔術を習いに学校に来る、しかも魔導に関しては私に聞いてくるなんて馬鹿げてるわ」

 千鳥の言葉に慌てて答える。

「でも千鳥さんは魔女しか殺さないのではないのですか? 魔導師は人間と同じ扱いをするのではないのですか?」

「確かに私の心情は昔からその通りよ。 でもそれは時と場合があるわ、今はあの子は消すべきだと思うのよ」

「でも何でそこまでその子を殺そうとさせるのです」

「あの子は何の感情も無いかのような顔をしいてたわ。 まるで人形のようだと思わない? しかも、さっき紫雨はその子がどこからともなく発生したとか言ったわよね? それで改めて思ったのよ、そんな不気味なら殺してしまったほうがましだってね」

 でも……と言いよどむ紫雨は俯いた。


「では、会議は終わりましたよねッ! さぁ、魔女狩りに行きましょうよ!! ターゲットは並木 鵺!」

 重苦しい空気をぶち壊すかのように隣の部屋からハイテンションでやってきた桜時はたくさんの服を抱えている。

 紫雨に放課後の話をしているときに暇だぁと嘆いた後、隣の部屋へと逃げていった桜時は話しが終わったタイミングで良くも悪くも戻ってきた。

「今日は千鳥はどの服にしますか? あと、紫雨様には今日作った新作を! 魔女狩りに行くなら私の礼装が必要になりますからね」

「私も魔女狩りに行くことになってるのです!?」

 混乱する紫雨は桜都から逃げるように部屋を出る。

 千鳥は魔導戦で使う礼装に着替えるため、自室へと向かった。



 平屋の隣、本殿の裏手にある武器庫として使われている平屋よりも小さい蔵は少しジメジメしており外気よりも余計に汗が吹き出る。

 着替え終えた千鳥はいつも使っている自分の身長より少し長いくらいはある薙刀を手に取ると外に出た。

 日は既に空にはなく、その代わりとして見事な満月が登っている。


「武器は今日もこれなの? 千鳥には気分転換というものは無いのかね?」

「そんなものどうでもいいわ。 使い慣れてて切れ味が良ければ何でもいいわよ」

 桜時はつまらなそうにむぅーと漏らしている。

「それよりも紫雨が本当に来るとはね。 しかし、その衣装は何よ?」

 雲がかっていた桜時の表情はその言葉を聞くとすぐに晴れていく。

「よくぞ聞いてくれた! この礼装は今日の新作、誰でもロリ可愛くなる衣装であるのです!」

 そね衣装というのはフリルがたくさんついたピンクのワンピースで白いニーハイソックスを履いていた。まるでメイド服のような雰囲気があった。

 確かに可愛いと言われれば可愛いが普通の人は絶対着たくない代物である。

 紫雨は嫌そうにしているがそれはこれから始まる魔女狩りが嫌なのかこの服が嫌なのかわからない。いや、どちらともなのだろう。

「では行くぞぉ! オォー!!」

 桜都はスキップするように石段を降りていった。

 千鳥も続くように歩こうとしたが、後ろから服をつままれていることに気づき振り向いた。

「本当にいいのですか? 魔女狩りなんて物騒なことをあの魔導師にしてしまって……」

「私は魔女狩りというものは嫌いよ。 でもこの都市は私が管理する責任がある。だから、それで大勢の人間が日常を無くならずに済むのなら魔導師一人くらい犠牲が必要なのよ。 私の都市はそういう都市よ」

 確かに鵺の魔導が危険か安全かはわからない。最初に殺すと言ったときは大袈裟だと思っていたが、管理者会議に出されたくらいのものであるなら危険なのだろう。ならば最初の決断が合っていたと今は思える。

 紫雨は相変わらず納得いかないような顔をしていた。

 千鳥は紫雨の手を取ると一緒に石段を降りていった。


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