第6話 美しすぎる赤色〜ハルサイド〜
俺が見た物それは… 美しいと錯覚する程の赤い色。そして、何故か泣きじゃくっているエヴァの姿。この泣き方は尋常じゃない。何故なのか?そして、泣いているエヴァの人差し指が一点を指している。俺はエヴァの指差す方向を見た。そこには、見たことを後悔するような「物」があった。それは死体だった。思わず口に手を当てた。そしてゆっくり近づき、
「これは……イヴァンなのか?」
そう言うとエヴァが頷いた。
「1回目が覚めた時には無かったのに2回目起きてたらこんな事になっていたの」
「2回目?どういうことだ?」
エヴァはハルとレインに今まで自分の身に起きた事をありのまま話した。ただ気絶する間に聞こえた声の事以外を。
「そうか・・・そんな事があったのか・・」
「ハルとレインは何もなかったの?」
エヴァの質問に少し戸惑ったがこのゲームの事について知ってる事を話した。
「人を殺す?生贄?1人だけ出られる?意味が分からない」
「それは俺達も一緒だから、共にここから出る事を考えようよ」
「嫌っっ」
「私は殺されるかも知れないのに一緒に行動することは出来ない」
「俺達はお前を殺したりしない!」
「何処にその根拠があるの?」
「それは・・・」
そんな根拠は何処にも存在しない。現にイヴァンが殺されているのだ。そう思っても仕方ないだろう。少なくとも俺もエヴァと同じ状況になった時に俺はエヴァと同じ事を言うだろう。
「お前の気持ちはよく分かった。レインもいいよな?」
「うん」
「じゃあ私はこの場から離れてもいいかしら?」
「それは無理な相談だ。だってイヴァンを殺した可能性が一番高いのはお前だからだ」
「ちょっとそれどういう意味?」
「そのまんまの意味だ」
「ハァ?」
「まあまあ、二人とも落ち着いて」
俺達2人の会話を聞いていたレインが慌てて止めに入った。
「だったらイヴァンが何で死んだか調べようよ」
「調べるってどうやって?」
「天井に吊るされているイヴァンを下ろして検視をするんだよ」
「検視?私は絶対に嫌!」
「とりあえずやるしかないだろう」
つべこべいうエヴァをよそ目に俺とレインはイヴァンの死体を丁寧に下ろした。そして俺たちはイヴァンの死体を調べ始めた。