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第参話:破壊神 爆誕

 世歴 一九三五年二月一四日、ナチス・ドイツ第三帝国・ベルリン――

「これがイタリアの海底で発見された古代の戦艦なのか?」

 幻灯機に映された巨大な岩のようなものにナチス・ドイツ総統、アドルフ・ヒトラーは目を見張った。

 表面には苔などが張り付いているがそれでも全長二百メートルはあるという船体に巨大な翼、両側の巨大なエンジンなどが確認できる。艦首には巨大な砲のようなものが上下二基ずつ。剣の様なその外観はまさに要塞。下部にいる作業員が蟻のようだ。

「それにしてもでかい。本当にこんなものが海底から引き上げられたのか。信じられん」

 側近のハインリヒ・ヒムラーは桁外れの大きさに半信半疑だった。

「これぞ古代の超技術というものなのか。ジュベール君、この戦艦は一体何なのかね?」

 ヒトラーが問い、技術者のハイド・ジュべールは恐る恐る言った。

「調査の結果、形状からして恐らく飛行船かと」

「飛行船だと? こんなものが空を飛ぶとでもいうのか。馬鹿馬鹿しい」

 空軍元帥のヘルマン・ゲーリングは嘲笑する。

「しかし、我々のツェッペリンとは全く違うようだが」

「はい。これは従来の飛行船のような気嚢を使ったものではありません。簡易的な調査の結果、両舷の飛行船のようなものから凄まじい電磁波が出ています。この影響で多くの機材と五人の人命を失いました」

「うむ。彼らは大いなる犠牲として後世に名を残すであろう。問うが、本格的な調査にはどれぐらい時間がかかるかね?」

「少なくとも数年以上は……」

「よろしい。本調査は我がドイツの最高国家機密とし、必要があれば随時、私へ報告するように。ムッソリーニには適当に理由をつけて口止めしておけ。ナチスの技術でなければこれがどういったものなのか見当もつきはしないと」

 実際、現段階ではヒトラーでさえ、この戦艦の真の価値は半信半疑であった。


 月日は流れ、世歴 一九四二年一月二四日、ナチス・ドイツ第三帝国帝都・ベルリン――

「総統閣下、準備がととのいました」

「よし、D作戦を発動させろ。ソビエトを叩く」

 ヒトラーはしばらく官邸から帝都・ベルリンの朝の風景を眺めていた。

 超古代戦艦の研究は困難を極めるものであったが、その利益はとてつもなく大きいものであった。

 しばらく経って重爆撃機・He277と共に新型空中戦艦・デストロイアが姿を現す。

 ヒトラーはいつの間にか不気味な笑みを漏らしていた……


 十時間後、ソビエト社会主義共和国連邦首都・モスクワ上空……

 死の魔物はとてつもない爆音をたてて首都上空へ達していた。

「目標上空に到達。N1、投下準備完了」

「後部格納庫開け」

 空中戦艦・デストロイア艦長のゲオルグ・ガーラーは狭いビスマルク級戦艦の艦橋とは比にならないほど広大な総合司令室(艦橋)を見回し、机の上の画面に視線を戻す。画面中の緑のデストロイアの後部格納ハッチがゆっくりと開く。

「爆撃隊は全速で後退。N1投下用意!」

 N1、それは古代戦艦から得た史上最強にして最悪の兵器。

「各ブリッジ遮閉。エンジン出力最大。N1、射出!」

 静かな時が流れ、N1という爆弾はソ連の心臓へ……次の瞬間、夜の首都モスクワとその周辺が光に包まれ、ベルリンからでもわずかだが一瞬明け方のように明るくなる。

 もちろんそれは超高温の熱線と放射能の光、“核の光”だ。光が消えた頃、そこにあった首都は消滅し代わりに今なお放電が続く超高温の赤いクレータがあった。直径四〜五キロメートルはありそうである。それと共に周囲を飛んでいた味方爆撃隊の姿も無くなっていた。

「こ……これが……超古代技術のそして、N1の威力なのか・・・・・・」

 ガーラーは放心状態でつぶやいた。


 同刻、ナチス第三帝国帝都・ベルリン――

 総統のアドルフ・ヒトラーは“核の光”を眺めて、不気味に笑いながら宣言した。

「素晴らしい……我は大いなる支配者なり! 世界に闇を、我に光あれ!!」

翌日、


 一方、大東亜帝国広島県・呉、帝国海軍呉基地

 月夜、軍港の闇にまぎれ、複数の影が潜んでいた。

「隊長、全小隊潜入完了しました。」

「第五、第六小隊は看守を。第七小隊は爆薬設置。第二、第三、第四小隊は第一小隊とともに予定通り作戦開始。ヤツを奪取する。」

 しばらくして、美しい満月の夜に銃声とけたたましいサイレンと複数の爆発音が鳴り響く。そして、火炎共和国第一特殊小隊の木村隊長を先頭に次々と目標の大型戦艦に乗り込んだ。

「占拠完了しました。」

 異常に気付いた陸軍部隊が一斉に基地内へ流れ込んでくる。

「これより離脱する。全速前進、沿岸砲撃地帯を突破する。第五機動艦隊に打電、航空支援を要請しろ!一番、二番ヨーイ。撃てーッ!」

 強奪した大型戦艦から続々と砲弾が放たれる。陸上砲台からも撃ってきたが、戦艦には効かない。戦艦から放たれた砲弾のうち一発が陸砲に当たり凄まじい轟音を上げながら爆発した。

 豊後水道を抜ける頃には攻撃機や爆撃機が襲ってきたが、間一髪のところで共和国海軍の第五機動艦隊の護衛部隊に合流、被害も最小限に収まり、作戦は見事成功した。そして、その戦艦は火炎共和国へ向かった。その艦名は、大和―。

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