勇者の内情
ひっさびさの更新
皆様お久しぶりです。
アリシアとか言う女魔族に負けた俺、ロイズはリーズブル近くのハルサキの森に転移魔法で飛ばされた。
「ぐぉ!いってぇ!!」
ズタボロの身体を何とか動かすために腰に入っていたポーションを一気に飲み干す。
動けないほど重傷だった傷があらかた塞がっていく。
しかし、失ってしまった体力は戻らないので一度休息をとることを決めた。
「それにしてもあのクソ尼、次あったらただじゃおかねぇ…しかし、今のままじゃ勝ち目はねぇな…もっと修行積んで己を鍛えなければ…そして、いつかアイツを殺さなければ…」
その声には憎しみや怒りといった負の感情が込められていた。
「今はそのことを考えてる場合じゃねぇ、少しでも休息をとって回復しなくては…つっても、ここはおそらくリーズブル近くのハルサキの森だからそう強い魔物はいねぇだろうな…ちょっくら休憩するか」
地面に座って目をつぶり瞑想する。
一流の冒険者は半刻でも寝れば一日に必要な睡眠をカバーできるというが、勇者である彼は瞑想をすることにより半刻未満の時間で体力をあらかた回復できるぐらい自然治癒能力が高い。
数分もすると勇者は目を開けた。
「さて、リーズブルの街まで移動するか…」
そういい、リーズブルに向けて歩みだした。
数刻ぐらい歩いた後だろうか…草原を歩いていたところで轟音とともにナニかが弾けた音が耳をたたいた。
ついで、女の悲鳴も響く。
「なんだ!?何があった!!」
俺は声がした方へ全速力でかけていく。
ほどなくして、血の匂いが立ち込めてきた。
「こいつはひでぇ臭いだな…一体、どれだけの血をぶちまけたらこんな臭いになるんだ?」
俺は鼻に手を当ててそう呟く。
走っていると戦場はすぐに見えてきた。
戦場では、魔族の男が人族の女に打ちのめされているのが見えた。
女のほうは圧倒的に強く、男の魔族はなすすべもないまま打ち負かされて八つ裂きにされた。
女は後ろを振り向きその背後に倒れてる女に駆け寄ろうとした。
魔族を倒した女の視線の先を追って…瞬間、心を奪われた。
こういうことを一目ぼれというのだろう。
倒れていた女の歳はおそらく20歳より下。
瞼は閉じているから瞳の色は分からないが、艶のある茶髪で小柄だ。
俺のものにしたい。
自然と心の中からそんな感情が生まれてきた。
その女が魔族であることは分かっていた。
勇者は神から祝福を受け、その身に様々な特殊な力を宿す。
その中の一つに『神眼』と呼ばれる、擬態やトラップなどを察知できるスキルがある。
魔族には恨みがある。
しかし、あの女魔族に俺の心は奪われてしまった。
本能ではあの女を手に入れるべきだといっている。
しかし、理性では魔族は敵だといっている。
内心で永遠と押し問答をしていたときふと顔を上げると大量の魔物の死骸と魔族の死骸があることに気づく。
その中には人間の遺体もあるが数は少ない。
先程の四人組はどこに行ったのかと視線を巡らせると、そのうち気絶している女を除いた三人が怪我をしている冒険者たちを治療していた。
俺は驚きに目を見張ってしまった。
魔族が人を治療していたからだ。
そんなことはあり得ないと思っていたからだ。
「あいつらはなんで人を治療している?何か思慮があるのか…いや、あの顔を見るとそうじゃないことは分かる…」
その後、なぜ魔族が人を治療しているのかでしばらく考えたが四人が移動を開始するみたいだったのでとりあえず、あの魔族たちを観察することに決める。
「さて、見極めねぇとな…あいつらが人に害をなすのかどうかを…あと、あの女について知る機会もあるだろう…」
考えているうちに冷静になった頭でそう結論付ける。
言葉もどうやら戻ったようだし、一度あいつらを追ってリーズブルに帰るか…
しっかりとした足取りで勇者は大地を踏んで楓たちを追う。
たぶんまだ続く…




