VS勇者
また、間が開いてしまったが勇者との戦いを書きました。
楽しんでいただけたら幸です。
「さてと、始めるか…」
「えぇ、いつでもいいわよ…」
楓と勇者は、互いに10m程の距離を開けて立っていた。
二人の間に緊張が走っており、周りの人々も固唾をのんで見守っていた。
静まり返った広場…そのとき、一家の屋根から滴った水滴が水瓶に落ちて、ピチョンと音を鳴らした。
瞬間、勇者と楓は目にも留まらない速度で動いた。この中で、楓と勇者の動きを捉えたものはガイストとアルベルトの二人だけだろう。
キィン!と、音が一回鳴るが実際に剣がぶつかった回数は4回だ。それほど速くかつ、的確に勇者と楓は戦っていた。
「…すごいな」
ガイストがそう呟いた。
「そうね、カエデの腕が会った時より確実に良くなっているわ」
アルベルトが、ガイストの呟きに答えるようにして呟いた。
「いや、それもあるがあの勇者と言われたヤツだ」
「?勇者がどうかしたの?」
「あの速さの攻防に、カエデのような聖剣を使うわけでもなく俺のような魔剣でもないような剣でよくあの速さが出せるな…と」
アルベルトはしばしガイストを見た後、視線をカエデと勇者に戻した。
確かに凄い。流れるような剣撃と、それを避けるために動く距離なんかも紙一重だ。次元が違う、と言えるほどのハイレベルな戦いだ。
side out
side 楓
(強い。素直にそう思えるほどの強さだ。)
一体どれほどの訓練を積んだんだろう?
私は戦いの最中にそんな事を思っていた。
「中々つえぇじゃねぇか…」
「そっちこそ!」
これは、手加減している場合じゃない!
そう思い、『剣圧』を使った。
ブン!と剣が音速を超えて振るわれ、剣圧が飛ぶ。
「うお!」
勇者が声を上げたが、瞬時に右手に握った剣を振るう。
ガキィィィィイイン!!!っと音がして、剣圧が弾かれた。
「っつ!重いな…」
「…まさか、弾くとわね…驚いたわ」
「だてに勇者名乗ってねぇからなぁ!!」
ヒュ!っと音がして勇者が目の前に現れた。それと、同時に振るわれた剣がきらめく。悪寒を感じ取った私は、瞬時に武器を重くして勇者の攻撃を防いだ。
ギィィィン!っと、重い音が響く。
しかし、楓は怯まない。瞬時に重さを軽くし、下から切り上げる。勇者は後ろに飛んでかわすが、楓の動きは止まらない。上に振り上げた瞬間一歩踏み込み距離を詰めて、剣重くし最大速度で勇者を切りにかかる。勇者がぎりぎりで剣をかざしてガードする。
今までで一番大きな音を響かせ両者の剣がぶつかる。
「くっ!」
「う、ぁぁあああああ!!!」
楓が気合の入った声で叫び、いっそう力を込める。
そして、甲高い音を立てて勇者の剣が折れた。
楓が勇者の首に剣を当てて宣言する。
「私の勝ちね」
「ちっ・・・わーたよ、俺の負けだ」
勇者と楓の決着が付いた。
ちなみに、アリシアさんと戦った勇者と今回の勇者は別の人物です。




