学校へ行こう 3
冷たく鋭いその声に、今度は食堂が騒ぎ出します。
ギャラリーの女の子はキャーキャー騒いで耳障りです。
視線の先にはさっきの女の子を片手で抱えている、しかも風紀委員会の腕章をしている男の人がいました。
これを見て納得です。
なんせ目の前にいるのはあの風紀委員なんですからね。
この栂崎高校では風紀委員会に限らず、全委員会から生徒会まで果てにはOBである一部教師陣までいたるところにイケメンばかりです。
しかも、金持ち。
なので『ファンクラブ』なるものまで存在らしいです。
噂によると目立つ行動をとったら制裁されるんだとか。
・・・コワスギマス。
話は戻して
「ここで何をしていたか聞いているのだが」
と女の子を抱きかかえていた手をさり気なくはずして当事者たちに聞いていきます。
さっきまでの険悪ムードもなくなり、一瞬でほぼ元の状態に戻ります。
せいぜい元に戻っていない、というよりもむしろ悪化しているのはファンクラブのメンバーの熱ぐらいでしょうか。
これで一安心と思ってあの子を見てみると―――――
―――――恋する乙女と化していました――――――――
えっ、なんですかこの展開。
頬を赤く染めてモジモジとスカートをすり合わせる彼女に気づいたのか、風紀委員は少しだけ頭をなでてやり仕事に戻ります。
その一瞬、僕の中の時間が止まりました。
この人は頭をなでたのです、普通の人には見えないあの子の頭を。
あの風紀委員の人はもしかしたら自分と同じかもしれないけど、偶然かもしれない、でもさっきはあの子をかばうように女の子を抱いていたしと頭の中がぐるぐるしだしました。
頭から湯気が出そうなほどにぐるぐるして倒れる寸前で
「おい、俊平」
と声をかけられ意識が戻ります。
この状況で倒れていたらと考えると、馨に感謝です。
「行くぞ」と言って何故か少し不機嫌そうな馨はさっさと食堂を出て行きます。
僕も遅れないようについていきながら、ギャラリーの会話と見た目から盗み聞いた学年と名前を忘れないようにします。
2年生の荒木徹[あらき とおる]先輩のことを。
それからは食堂の騒ぎがなかったようにいつもどおりに授業を受けて学校が終わりました。
僕は帰宅部なのでさっさと家路に着きます。
家と学校は少しばかり距離があるので家の近くまで来ると、日が暮れてきます。
閑静な住宅街には小さなこうもりが2,3羽飛び交っています。
さあ、家に着いたと思ったら――――
「うわぁああぁ!!!」
自分でもみっともない悲鳴をあげたと思いますが、勘弁してください。
だっておぞましいくらいの血を垂れ流した犬がいたんですから。
ノープランで始めると落ちとかストーリーとか考えるのが大変ですね。
無計画ですみません・・・