冬至
手探りの肌感を頼りに進んでしばらく
もう指先の感覚は無いようだ
足を踏み外し手をついたときから
痛みも感じていない
ただぬるい物が滴ったまま
そこで手の感覚は止まっている
ただ白い、それだけで
先が見えないのは幸いだ
まだかまだかと思うことも無く
あと少しだと焦ることも無い
そういえば脚の感覚も無いようだ
見える限りは動いている
そして私は震えている
それは寒いからだ、そうだ凍えている
私は寒さに凍え震えている
これは雪か、雪だったのか
そうか冬だ、冬だったのか
私は冬に至ったのだな
そういう事なら顔を上げよう
真白な雪景色の中に
大きな城が見えるはずだ
そこには私の傷を治してくれる
名医が住んでいるはずだから