第8章:大越かっさんのゲーセン(2)
・・・ぼくがいま、
「記憶の中で」立っているのは・・・
1981年当時の、ある交差点だ。
リアル世界の、令和時代のいまは、道路の拡張工事や中規模の区画整理などの影響で、
美絵子ちゃんが暮らしていたころとは、
かなり「おもむき」「印象」が違って見える。
この交差点周辺は・・・
美絵子ちゃんに関する「におい」の記憶・・・「想い出の感覚」でいっぱいだ・・・。
そういったことはあとで語っていくが、
まずは、ここでは、
まだ当時、矢板市では珍しかったゲーセンについて語ってみよう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・1978年、日本。
この年、業界に画期的なゲームが誕生した。
『スペースインベーダー』。
地球に迫りくる宇宙人・・・すなわち、「エイリアンども」を、
高射程のビーム砲で撃破する、という内容の・・・
シューティングゲームの草分けである。
それまで、
こういったタイプのビデオゲームというものが、
ほとんどまともに世界に存在していなかったから・・・
その人気たるや、すさまじいものがあった。
たくさんの「コピー基盤」「海賊版」なんかのクローンも作られ、
それでも、この偉大なゲームは、
サラリーマンを中心とした人々や大学生などにも受け入れられ・・・日本全国を巻き込んだ、
一種の「社会現象」にまでなった。
ゲーム機のガラス台の上に、100円玉を山のように積み上げて、
自分ひとりで何時間も台を独占・プレイしてしまう、不当なヤカラもおったそうな。
・・・ぼくが、ここ、
「大越ゲームセンター」でビデオゲームにめざめたのは、
その「インベーダー・ブーム」が、かなり落ち着いてからのハナシであった。