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第29章:美絵子ちゃんも通っていたであろう、駄菓子屋のお話(3):ヨネちゃんち(その2) 

 ・・・美絵子ちゃんが、その店を、


 実際にどう呼んでいたのかは不明ですが、


 少なくとも、


 そろばん塾に通っていた仲間どうしでは、


 「ヨネちゃんち」と呼称しておりましたね。


 「美絵子ちゃんち」っていうのと、おんなじ感覚ですよ。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 ぼくの「脳内映像」によると、


 建屋の正面の向かって左側が、スライド式のガラス戸になっていました。


 たしか、雨戸やカーテンのようなものはなかったです。


 だから、夜間の暗い時間帯も、昼間同様、


 外から丸見えだったわけですね。


 ガラス戸がある建屋の左半分の床が、コンクリートの土間どまになっていて、


 その空間・・・


 3畳ほどでしょうか・・・。


 そこに、メンコだの、水鉄砲だの、


 ゴムひものついたパチンコだののおもちゃ類が陳列してありました。


 このY字型したパチンコのゴムひもの部分に、小石なんかをセットして、


 カラスめがけて発射する男子もいましたけど・・・


 まず当たんないっすよ。


 カラスちゃんは、アタマも目もいいからね(苦笑)。


 こちらの「殺意」だって、的確に読み取るチカラがあるし。


 お菓子や花火も、置いてあったなぁ・・・。


 そうそう。


 シャボン玉セットや、小さいゴム風船、


 それから、


 「銀弾ぎんだまピストル」なんてのもあったなぁ・・・。


 このゴム風船を、


 そろばん塾のとなりにあった公民館の水道の蛇口にセットして、水を入れてふくらまして、風船のクチをしばって閉じてから、


 いたずらに、誰かの足元あたりめがけて、投げつけるわけですね♪


 「ブシャーー!!」


 ネズミ花火や爆竹ばくちくもあったっけ。


 この「ネズミ花火」はね、


 地面に置いて着火するタイプの花火なんですが・・・


 いったん火が着くと、


 「シュルシュルシュル!」って感じで、激しく回転しながら、


 そこらにいる人間めがけて、


 まるで「自由意志」でもあるかのように、襲いかかってくるんですよ。


 しかも、どういう了見なのか、


 ぼくらが逃げるほうへ逃げるほうへと、花火様がしつっこく追いかけてきたりしてね(笑)。


 ・・・アレ、


 マジで恐怖ですわ♪ 


 「かんしゃくだま」もあった。


 ズボンのポケットあたりに入れる子なんかがいましたけど、


 マジで危ないんですよね。


 万が一、すっころんだ場合に、


 皮膚の上で爆発すっから(汗)。


 運が悪いと、ヤケドじゃすまないです。


 「ゆうれいのけむり」みたいなのもあって、


 ネバネバしたものを人さし指と親指でコネコネすると、


 妙なケムリのようなものが、うねうね出てきたな♪


 建屋の右側が、畳の和室になっていて、


 やはり、4畳半くらいの狭い空間でした。


 その奥が、店主のヨネちゃんの台所だのの生活空間だったと思います。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 ・・・次に紹介する「チイちゃんち」もそうでしたが、


 ヨネちゃんの駄菓子屋も、


 昔ながらの、「昭和テイスト」が、プンプンしてました。


 ・・・あたりまえか。


 昭和時代だったんだから(笑)。


 ポテトチップスやキャラメルコーンなんかの、


 大き目の袋物ふくろものは、あまりなかったような気がします。


 透明な四角い容器に入った、


 赤いすっぱい汁にかった「すもも」みたいな商品がございまして、


 けっこう子供たちに人気がありました。


 ・・・ぼくは、なんか、すっぱいにおいが苦手なので、一度も買わなかったっす。


 容器に短いストローで刺して、あのすっぱくてくさい赤い汁を、うんまそうにチューチュー吸ってる連中もおりましたね。


 あんな健康に悪そうな、すっぱい液体を喜んで飲むなんて・・・


 あの人らの気が知れないや(苦笑)。


 あとは、細かいお菓子が多かったですね。


 「おとくでっせ」とかいう、


 50円硬貨をかたどったような、中ぐらいのチョコレートや、「ふ菓子」も。


 チロルチョコみたいな、四角くて、ちっちゃいチョコ類も置いてあったな。


 焼き鳥みたいに串刺しになったような感じの、


 パサパサした食感のダンコみたいな甘くて丸い、平たいのが4個くらい木の串の棒にくっついた、20円くらいのお菓子もありました。


 砂糖が表面にたっぷりまぶしてあったから、


 ジャリジャリした食感でもありましたね。


 ようするに、


 はやいハナシが、


 「パサパサして乾燥した、甘い串だんご」でやんす❤️


 (あぁ・・・文章で説明するのは、マジで骨が折れますわ。写真で見せればイッパツなのにね・・・。ぼくの表現力が足りなくって、ごめんちゃい。)


 ヨネちゃんは、高齢のおばあさんでしたが、


 物静かな方で、


 ちょうど、美絵子ちゃんのおばあちゃんのセツさんみたいな雰囲気でしたね。


 口数が少なくて、子供にも礼儀正しい人でした。


 ヨネちゃんがいつも座っていた畳の和室には、


 「くじ引き式のカレーがけスナック」がありました。


 透明な大きいビニール袋の中に、そのカレースナックが大量にストックして置いてありました。


 そんでもって、


 子供らが、ヨネちゃんが差しだす箱の中の「くじ」を、1回20円くらいで引くんですよ。


 ・・・おみくじみたいにね。


 その「くじ」は、


 ふだみたいな小さな紙で、貼ってある紙をはがすと、


 「飛行機」だの「戦車」だの、「自動車」なんかの絵が出てきました。


 すると、


 その絵に応じた回数で、ヨネちゃんが、


 透明な大袋に入ったカレー味のスナックを、


 専用のカップで、


 「5はい」「10杯」「20杯」って感じで、量をはかってすくいとって、子供に渡す・・・


 こんなシステムでしたね。


 ちなみに、


 1等賞が、「飛行機」で、20杯でしたね。


 なかなか当たんなかったけど。


 ・・・しっかし、ヨネちゃん。


 下級生の「小室こむろ」くんに、よく似ていんさったなぁ・・・。


 彼のじつのおばあちゃんなんじゃねーの??


 なんて、カンチガイしたほどでしたよ。


 ・・・あ。


 こんなこと書いたところで、


 読者の皆様には伝わんないか(笑)。


 小室くんの写真でも見せない限り、わかんないもんね・・・。


 美絵子ちゃん、


 君は、ヨネちゃんのこと、おぼえているかーい?


 m(_ _)m


 追伸:


 ヨネちゃんは、昭和時代には、亡くなられていました。


 気がつくと、


 いつの間にか、店は閉店して、たたまれておりましたね・・・。


 令和のいま、


 彼女の店舗は、かげもカタチもありません。


 ・・・ただ、ぼくらの記憶と思い出の中でのみ、


 ヨネちゃんは生きています。

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